日本アイ・ビー・エム株式会社とオリンパス光学工業株式会社は、ヘッドフォンステレオ程度の大きさの小型ウェアラブルパソコンの試作機を開発したと発表した。今回発表されたものは、'98年9月に日本IBMの大和事業所が発表した試作機を、より実用レベルへと発展させたものとなっている。
パソコン部分は日本IBMが開発を行ない、単眼式のヘッドマウントディスプレイ(FMD)「PC Eye-Trek」をオリンパスが日本IBMの協業のもと開発した。
'98年に発表されたものとの違いは、インターフェイスがUSBのみだったものが、I/O拡張ボックスを接続することでPCカードスロットType3×1、シリアルポート、パラレルポート、ThinkPadディスケット・ドライブの4種類のインターフェイスが追加できる。
また、FMDはビューワ部分が約100gで、50cm先に10インチ相当のディスプレイに見えるとしている。解像度は800×600ドット16bitカラー表示で、ビデオ信号インターフェイスの改良も行なわれている。FMDのLCDは、反射型LCD(Colorado Micro Display製144万画素相当)を採用している。
今回の試作機の発表にあたって日本IBMは、「今回発表したものは、'98年に発表した試作機のように基板が見えるようなものではなく、デザインも商品化してもおかしくない程度にまで高めた。また、空冷用ファン機構の装備による発熱量の低減やマシン強度など、製品化に向けて実質的なツメを行なったもの」とし、「今回、試作機を完成させ、これから現場レベルでテストしていくことになるので、すぐさま商品化というわけではない」と解答している。同社は'98年9月の発表会で「技術的には'99年の後半で製品化のめどが立つ」と発表しており、ほぼスケジュール通り開発が進んでいると思われる。
また、FMDを開発したオリンパスはリリース内で「パソコン用途での単眼式FMDを有望な市場と考え、同タイプの製品の開発を進めていく」としている。
【主な仕様】
ウェアラブル本体。'98年9月に発表されたものはトランスルーセントでいかにも試作機といった風貌だったが、今回は製品化されてもおかしくないデザインとなっている | I/O拡張ボックス。本体の下にドックのように接続して使用する | ポインティングコントローラもより手にフィットした洗練された形になっている。500円硬貨と比べると大きさがわかる |
オリンパスの開発した単眼式のPC Eye-Trek |
('99年11月25日)
[Reported by funatsu@impress.co.jp]