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★ ゲームソフトインプレッション 特別編 ★

2つの「ウルティマ」の全貌に迫る
ウルティマの生みの親、Richard A. Garriott氏インタビュー


Richard A. Garriott氏

【Richard A. Garriott氏】

エレクトロニック・アーツ・スクウェアのホームページ
http://www.japan.ea.com/
ウルティマ オンラインのページ
http://www.japan.ea.com/archive/uo/index.html
ORIGIN Systemsのページ(英文)
http://www.origin.ea.com/
Ultima IX:Ascemsionのページ(英文)
http://www.ultima-ascension.com/
■関連記事
【8月16日】EAスクウェア、ウルティマオンライン新バージョンを発表。サーバーも増設
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990816/ea.htm



ウルティマオンラインは成功するとは思わなかった!

Garriott氏
パッケージを片手に説明するGarriott氏
 まず最初に「ウルティマ オンライン」だけど、我々が一番最初に考えていたときよりもずっと成功している。当初は1つのサーバーやっていこうと思っていたくらいだった。βテストをアナウンスしたときお金を払ってやってもらうのにも関わらず5万人もの方がダウンロードされたと言うことで、これで、あ、これはこんなもんじゃないなと気がついたんだ。

 そのために、実際に製品を出荷する前に、そして出荷した直後にサーバーの数を急激に増やさなければならなくなった。現在、16のサーバーが世界中で稼働している。もう1つ特筆すべきことは日本のユーザーがそのうち1/3近くになることだ。ただ、日本では初期の段階から複数の人間がバーチャルな世界に入って何かをするといったコンセプトやシステム、たとえば「ハビタット」といったものがすでにポピュラーだったので、日本では受け入れられやすかったのかもしれない。
 さらに通常のパッケージソフトは、発売してパッと売れればそれで終わりだが、ウルティマオンラインは発売以来ずっと売れ続けていて、今でも週に500人以上のユーザーが増加している。


ウルティマ オンライン
 今度、新しいパッケージを発売するのは、もっと幅広いユーザーに遊んでいただこうという意図からだ。これまでのウルティマ オンラインはどちらかというとコアユーザー向けのものだと思っている。今回発売するものは、もっと幅広いユーザーに受け入れてもらうための工夫をしているんだ。
 最初に手を着けたのは初期画面についてだ。今はまだ予定だが、初期画面はゲームの中だけではなく、ウルティマ オンラインのWEBサイトのトップページのデザインに合わせるつもりなんだ。ゲームをスタートするとこれまで同様サーバーにアクセスし、すでに使っているキャラクタか、新しく作るかを選択する。ここで従来のバージョンでは、全くゲームの知識がない状態で質問をされてキャラクタを作らなければならなかった。極端な話、その後ゲームをスタートして初めて「なぜ最初にそういった質問をされたのか?」を理解できる時もあるほどだ。
 今回は階層的に構成された質問となっている。まず冒険家になりたいのか、商人になりたいのかと言ったところから質問がスタートし、徐々に絞られていく。そして最終的にキャラクタの属性が決定することになる。もちろんコアユーザーはダイレクトに属性を打ち込んでもらってもかまわない。さらにキャラクタの容姿などもビジュアル的に見ながら選択することができる。これまでは顔や肌の色などを決定できたが、新バージョンでは、さらに服の色も決定することができる。今までは新しいユーザーが入ってきても個性がなくみんな同じように見えたが、それぞれが違うルックスをつけた方がいいと思い、今回この機能を追加した。


ウルティマ オンライン
 そしていよいよ、実際のブリタニアのバーチャルな世界が表示される。地図には各都市が表示され、それぞれどのような街なのかといった説明も表示される。各都市で難易度は変わるし、職業によってある街では簡単だが、別の街では難しくなるといったこともある。たとえばムーングロウという街は魔法使いの街で、“魔法使い”を選択したユーザーはこの街を選択すると簡単だろう。また、上級者であればわざとムーングロウに行かずに魔法使いが少ない街でゲームをスタートし、その街で商売を始めればそれなりの利益を得ることもできるだろう。

 今回は、初心者向けにいろいろと変更点が加えられているが、もちろんサーバーにも変更が加えられている。その1つとしてあげられるのが“ウルティマメッセンジャー”と呼ばれるものだ。いままではブリタニアの住人に連絡を取ろうとしても、相手がオフラインの時は連絡を取ることができなかった。今回から住人はすべて“メールバッグ”を持つことになる。このメールバッグを相手にドラッグすれば相手にグリーティングカードを渡すことができる。このメッセージシステムはゲームの中だけでやりとりできるE-mailのようなものだと考えてもらえばわかりやすい。ただし、ゲームの中だけでなくORIGIN社のWEBでも読むことができる。
 メッセージにはキャラクターネームと本文だけがやりとりされるだけで、それ以外の情報は付け加わえられない。メールの出し方は先述のとおり出したい人にグリーティングカードを出すだけだが、もしたくさんの人に出したいときでも各人に同じように出していかなければならない。もし、簡単にたくさんの人に出せてしまったら、それを利用した問題がおこるかもしれないからだ(いたずらに悪用するユーザーが現われるかもしれない)。さらに、リボークというボタンがあり「こいつからは絶対受け付けない!」というボタンも付いている。
 ウルティマメッセンジャーに関しては、従来のユーザーに対しては自動的にPatchがダウンロードされ、機能が付加される。このPatchに関しては近いうちに配布が開始されるだろう。


 サーバーに関して言えば10月1日から5番目のサーバーが新たに開設されることになる。新しくサーバーができれば、ユーザーは色々と新しいことを実現することができる。それに新しいサーバーができれば、まっさらなわけだから、みんな新しい土地を取るために必死になるだろうね。(サーバー開設から)時間がたつと土地を得るのが難しくなり、家や土地を持っている人が、売買したりしているんだ。米国の某大学教授の経済学研究によれば、ウルティマ オンラインの中でのゴールドの価値を計算し、実世界と比較してみるとイタリアのリラよりも価値が上だったというくらいなんだ(笑)。

 このほかにも新規ユーザー向けのニュークエストと、既存ユーザーのボランティアによる新規ユーザー支援プログラム「コンパニオン」が加えられる。ゲームの遊び方を教えてくれたり、カウンセラーなどプログラムは多岐にわたっているが、米国ではテストの開始時にボランティアの応募が何千人もの規模になった。現在米国ではコンパニオンプログラムのテスト中で、良好な結果を得られた時点で全世界に導入するつもりさ。
 コンパニオンになる資格は年齢制限(18歳以上)のほかPK(プレーヤーキラー)でないことなど若干の要素はもうけて選定している。また、ゲームの中のプレーヤーに「コンパニオンは役立ちましたか?」といった質問を逆にすることなども検討している。

ウルティマ オンライン ウルティマ オンライン
ウルティマ オンライン ザ・セカンド エイジ



20年続いた物語がついに終章に突入「ウルティマIX:アセンション」

Garriott氏
自分でキャラクターを動かしながら説明してくれたGarriott氏
 続いて「ウルティマIX:アセンション」だけど、昨年のE3の段階では「IX」がついておらずサブタイトルの「アセンション」だけだったが、今年のE3で「IX」が付け加えられた。
 これは、1つはマーケティングの問題で、「IX」と言う数字は大きいのでこれを入れてもいいのか論議となったからだ。たとえば、新規ユーザーに1~8までをプレイしなければこのゲームがわからないのでは? という印象を与えることについて危惧を感じていたからだ。
 今年のE3で「IX」を付けた理由は、ユーザーの中に「IXは発売されないのか?」、「IXがほしい」、「この物語はウルティマシリーズの最後のものなのか」といった意見が多く聞かれたためにこのタイトルとなった。内容的には従来から何ら変わりなく、3部作×3(全9作)となり、壮大なすべての物語の最終章となる。
 もうひとつ、タイトルを付けるとき悩んだのは、「アセンション」はウルティマシリーズ初の完全3Dで世界が構築されたゲームとなるため、既存のユーザーにはウルティマシリーズの最終章であると言うことを伝えなければならない。そして、新規ユーザーには全く新しい3D世界を舞台とした体験ができることを強調したかった。


ウルティマIX アセンション
ゲームの中ではあちこちに登場するムーンゲート
 ゲームのスタートはいきなりブリタニアの地で始まるのではなく、アバタール(主人公)の自宅から始まる。オープニングで流れるムービーはアバタールの見たブリタニアの夢で、夢から覚めたところからゲームが始まる。アバタールはまず自宅で目覚め、自分の服を着たり(クローゼットにはなく、結局は洗濯機から汚れた服を選択することになる)、本を読んだり、コンパスを見つけたり、ブリタニアへのゲート用の鍵を見つけたりしなければならない。すなわちこれが、ものの使い方やゲームの遊び方を学ぶチュートリアルになっている。
 そして最終的には森の中にいるジプシーを探しだし、ブリタニアへの入り口となる「ムーンゲート」を開けてもらうことになる。アバターはこのジプシーからいくつかの質問を受けることになりここでキャラクタを作成することになる。


 システム的なことだが、画面の中央にある星はカーソルだ(写真参照)。カーソルはアバタールの視点と連動していて、星のカーソルを中心に周りを見ることができる。また星の色は対象物までの距離を表わしている。たとえばグリーンの時はさわることができ、黄色の時は物を投げたり矢を撃ったりできる距離で、赤はさらに遠いということだ。
 このほかにマウスカーソルを自由に動かせるフリーカーソルモードと、アバタールの姿が見えなくなる1人称視点の3つの中から視点を選択することができる。

 前作では距離感がつかめずジャンプが難しいとの意見をいただいたが、今回変更をしてジャンプを失敗したことで死ぬことがないようにしている。カーソルがグリーンであれば指定したところに確実にジャンプしてくれる。

 また、バッグのほかにツールベルトという簡単に物にアクセスする入れ物がある。ベルトに物をぶら下げていると考えてもらえばわかりやすいだろう。このツールベルトはファンクションキーに対応していて対応した物を即座に取り出すことができる。

 魔法だが、炎の魔法や水晶を地中から生えて敵の足場を悪くしたり、追っ手が追いつくのを遅らせる魔法など、たくさん用意されている。昨年のE3ではマウスの動きによって魔法の効果や威力が変わるといったシステムも考えていたが、取りやめになった。

ウルティマIX アセンション ウルティマIX アセンション ウルティマIX アセンション
見えにくいが画面中央にグリーンの星形カーソルが見える 画面下に見えるのがいわゆるツールベルトと呼ばれるもの 左上がリュックサックというかアイテムを入れておく袋
ウルティマIX アセンション ウルティマIX アセンション
魔法も数多く用意されている こちらは雷で敵を一撃する瞬間



ウルティマIX アセンション
夜になると満天の星が夜空を彩る
 音声に関してだが、キャラクタが音声でしゃべるだけのモードから、テキストと音声、テキストだけといったモードを選択できる。
 そして3D音響も使用している。これまでのウルティマシリーズの中では、ストーリー性では「4」が、ゲームシステムやバーチャルワールドの構築では「7」が優れていた。「アセンション」ではこれらを越える世界観を目指している。それを実現する上で3D音響はもちろん重要な要素となる。ORIGINはゲーム会社としては初めて、そして唯一、THX音響システムに対応したスタジオを社内に持っているんだ。だから「アセンション」はTHXに対応した初めてのゲームになるだろう。DirectXとSoundBlaster Live!があれば3D音響を再現できる。それに、音楽は実際のオーケストラを使ったものも用意している。

 ゲームの中の世界では時間が流れており、朝は日が昇り、昼になり日が輝き、日が沈み夜になれば暗くなり、星や月が動く。これらの時間の概念は大切で、ブリタニアに入れば2つの月があり、その月の満ち欠けにより世界を結ぶゲートが開いたり閉じたりすることになるなど、ゲームに関係してくる。
 天候も自然に変化していく。たとえば雨だけど、一粒一粒がきちんと3Dで描かれているので、地面に当たり跳ね返るところまできちんと描画されている。これまでのゲームでは雨は背景として別に描かれるなどの手法がとられることが多く、あるゲームでは(画面の表示に失敗したのか)建物の中に入っても雨が降っていることがあった(笑)。「ウルティマIX:アセンション」ではすべて3Dのポリゴンで描画されているので、そのようなことはない。建物の中に入れば雨風をしのげアバタールの健康も守られることになる。
 ほかの物についても言えることで、すべての物は3Dで作られており、トイレでは水を流せるし、浴槽には水を入れることができ、本も3Dで作られていて1枚1枚めくることができる。
 「アセンション」は3Dグラフィックアクセラレータが必須となるし、かなりのマシンスペックを要求することになるが、それだけの魅力のあるゲームになる。


 「ウルティマIX:アセンション」は私の20年の仕事の集大成と言うことで、完成することが私自身うれしいですし、制作チームのみんなも喜んでいる。それをユーザーのみなさんのも感じ取ってもらいたい。

ウルティマIX アセンション ウルティマIX アセンション
数多くの敵が登場し、戦闘を繰り広げることになる
ウルティマIX アセンション ウルティマIX アセンション
変化に富んだフィールドが展開する ブリタニアには数多くのキャラクターが独自のAIで生活している


(c)1999 ORIGIN System, Inc.

インタビュア:谷川潔(DOS/V POWER REPORT)、小笠原誠、船津稔(PC Watch)

【特別プレゼント】

Richard A. Garriott氏サイン

 
 ここまで読んでいただいた読者のみなさまに、素敵なプレゼントがございます。
 ロード・ブリティッシュことRichard A. Garriott氏のサインを運良く入手できました。つきましては下記の応募要項に従い、必要事項を記入の上「俺とウルティマ」と題したコメントを一言以上添えご応募ください。合計4名様にサイン入り色紙を、1名様にサイン入りマウスパッドをプレゼントいたします。

【応募方法】

応募締切  :8月31日 12:00(正午)到着分まで
応募のしかた:電子メールでご応募ください。

 ご希望の方は、Subjectを、 [ultima] とし、本文に“「Garriott氏のサイン」希望”と明記してください。マウスパッドをご希望の方は、別途その旨ご記入ください。

 本文には、送付先ご住所(勤務先でもけっこうです。宅配便の受け取れるところにしてください)、お名前、お電話番号を必ずお書き添えください。
メール宛先 :pc-watch-present@impress.co.jp
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