春の写真関係イベントのラストを飾る「IPPF1999(第28回国際プロフェッショナル・フォト・フェア)」が本日3月11日から13日まで、池袋サンシャインシティ・コンベンションセンターTOKYOで開催されている(入場料1,000円)。このイベントは、主にプロ向けの写真機材を中心としたもので、元々は銀塩システムがメインだったが、近年は多数のデジタルイメージング関係機器が出展されるショーとなっている。
プロ機材ショーのせいか、パーソナル向け200万画素モデルの人気はまずまずといったところ。むしろ数百万円台のハイエンドデジタルカメラや、比較的手頃な価格で高画質なデジタルデータが得られるフィルムスキャナに人気が集中していたのが印象的だった。
民生用機材については「フォトエキスポ'99レポート」をあわせて御覧いただきたい。
●人気の高いフィリップスの600万画素CCD搭載機
今回のIPPFのなかでも、とくに注目度が高かったのが、フィリップス社の35mmフィルムサイズ600万画素CCDを搭載したデジタルカメラバッグ。その双璧といえるのがフォトフェーズ社の「LightPhase」と、メガビジョン社の「S3」といえる。これらはいずれも300万円台のきわめて高価な、中判カメラ用のデジタル撮影アダプタだ。
フォトフェーズの輸入元であるイメージアンドメジャーメント社ブースや、メガビジョンを扱っているマミヤブースなどでは、各デジタルバックを使った実写デモが行なわれており、その実力を体感することができる。やはり画質は、パーソナル向けの200万画素モデルとは比較にならないレベルだ。
フォトフェーズ 「LightPhase」 | メガビジョン 「S3」 |
●コダック
コダックはPMAで発表された、ニコンF5ベースの200万画素デジタル一眼レフ「DCS620」を国内初公開。さらに、キヤノンEOS-1Nベースの600万画素モデル「DCS560」や、ニコンのAPS一眼レフであるプロネアベースの150万画素モデル「DSC315」といった、デジタル一眼レフも出品されていた。
●京セラ
●ポラロイド
日本ポラロイドは、PMAで発表された4,000dpiの35mmフィルムとAPS兼用のフィルムスキャナ「POLASCAN4000」を発表。このスキャナは4,000dpiという超高解像度を実現したもので、スキャニング時間も4,000dpi時で60秒と十分に高速だ。さらに、今回はドライバソフトが一新され、スキャニング時の微調整が容易になった点も注目に値する。また、ダイナミックレンジも最大濃度3.4までカバーでき、A/D変換も12bitと余裕のスペックだ。価格はアメリカでは2,500ドル前後といわれていたが、日本では189,000円と意外なほど安価な設定となっていた。
●マイクロテック
駒村商会ブースでは、日本マイクロテックの新型スキャナ「ArtixScan2020」を出品。このスキャナはA3版までのスキャンが可能で、しかも2,000dpiと超高解像度を実現したもの。しかも、透過原稿専用のスキャニングテーブルを内蔵しており、本格的なフィルムスキャナに匹敵するレベルのスキャニングができる点が大きな特徴といえる。もっとも価格は998,000円と高価だが、業務用としても利用できる実力の多目的フラッドベッドスキャナとしては、なかなか魅力的な製品といえる。
●フィット
みなと商会ブースでは、フィットというメーカーが、QuickTime VRを使った360度の全周撮影システムを出展。このシステムは、デジタルカメラに185度のフィッシュアイレンズを装着し、それを専用アプリケーションを使ってQTVR化するもの。
このタイプのものでは、ニコンのフィッシュアイアダプタとIPIXというソフトを使ったものが有名だが、同社のシステムも、それと同等のものといえる。
ブースでは、「ニコン COOLPIX900」用(26,000円)、「オリンパス C-840L/C820L」用(〃)、「オリンパス C-1400L」(45万円)用のほか、「エプソン CP-500/600」用(31,000円)、「三洋電機 DSC-X1」(〃)、「コダック DC200」(26,000円)に対応したフィッシュアイレンズが用意されていた。オリンパス C-1400L用のみ高価なのは、他機種用と異なり、業務用として設計開発されたため。
これらのレンズで撮影した画像データは、専用ソフトを使ってQTVRデータを作成するわけだが、そのアプリケーションは現在開発中で、4月頃に発表予定という。しかも、IPIXのように画像を保存するたびにライセンスキーが必要になるわけではなく、何度でも自由にQTVRデータを生成できる仕様になるので安心だ。なお、配布形体は現時点では未定というが、きわめて入手しやすいものになるという。
■注意■
('99年3月12日)
[Reported by 山田久美夫]