■ インデックス
■ '99年2月に待望の200万画素モデルが登場
■ 変貌する130万画素クラス
■ '99年のデジタルカメラのポイントは総合力だ!
■ オーバー200万画素モデルのXデーは2月!
FinePix700。150万画素CCD搭載、アルミ合金を採用した斬新なデザインなど話題をまいた。'98年前半のデジタルカメラ市場を席巻。 |
問題はその第一弾が発表される“Xデー”。昨年最も早くデジタルカメラが発表されたのは1月末であり、大半のモデルは2月の上旬に集中している。これは、大きな市場へと成長しつつある米国で開催される、米国最大のカメラショー「PMA」をターゲットにしていためだ。
'99年の場合、PMA開幕が2月17日であることを考えると、その週の月曜日の15日までには、数社が発表する事が確実だ。その中でも第一弾はおそらく、'98年前半の大ヒット作となった「富士フイルム FinePix700」が2月3日(火)だったことを考えると、今年の場合には曜日の関係もあって、2月1日(月)か2日(火)あたりに発表される可能性が高い。つまり、あと1カ月ほどでデジタルカメラはオーバー200万画素の世界に突入することになる。
では、具体的にどんなモデルが登場するのか? もちろん私自身、現時点では知る由もないが、おおよその予測はできる。
まず、'98年に130~150万画素モデルが各社から登場してきた時と同じ状況となる可能性が高い。なぜなら、130万画素CCDも200万画素CCDも、現時点で(当時の)新しいデバイスであることに変わりはないからだ。130万画素モデルが'98年春に登場した当初は、価格を抑えやすい単焦点レンズ付きモデルと、3倍クラスのズームレンズ搭載機で10万円を超える価格帯のモデルが出た。それが'98年後半になってようやく、売れ筋になる実販7万円前後のズーム機と、5万円前後の単焦点レンズ搭載機が登場してきた。
おそらく、この構図は、'99年の200万画素時代にも、そのまま繰り返されると思われる。つまり、今年前半は定価ベースで8~9万円前後の単焦点モデルと、10万円オーバーのズーム機が先行して登場する可能性が高い。
200~230万画素クラスのCCDはいずれも1/2インチサイズであり、従来の130万画素クラスが採用している1/3インチCCDよりも大きい。81万画素から130万画素へ移行したときには、CCDサイズがほぼ同じ1/3インチクラスだったため、ボディーやレンズなどを流用することができた。しかし、今回は単純にCCDだけを入れ替えるわけにはいかず、ボディー全体か、最低限でも新規の1/2インチ用レンズを搭載する必要がある。そのため、結果的に各社とも、ボディーを新調することになるため、コストアップは避けられない。
C-840L(左)、CP-600(右)。両機種とも、前モデルの筐体を流用することで低コスト化を図っている。 |
もちろん、これはごく普通の採算ベースで考えた場合で、もし、戦略的な展開をはかるメーカーがあるとすれば、今春からいきなり200万画素モデルで、現行の130万画素モデルと同じレベルの価格帯で新製品を投入する可能性もある。とくにこれがズーム機の場合には、昨年秋から冬にかけて登場した130万画素3倍ズーム機が軒並み色褪せてしまい、このクラスでは独走態勢になることが考えられ、かなりドラスティックな展開になる。
だが、こんな冒険は、特に高画素モデルの低価格化を積極的に押し進めてきたオリンパス、フジ、コダックなど、ごく限られたメーカーでなければ実現は難しいだろう。
なお、元旦の日経産業新聞によると、ソニーは4月にも200万画素CCD搭載でメモリースティックを採用した新型Cyber-shotの発売を予定しているという記事も流れているが、ズームか単焦点かという点や価格帯については言及されていない。
一方、10万円を超える「パーソナル・ハイエンド」クラスのモデルは、春から夏にかけて、オーバー200万画素モデルへと進化する可能性が高い。
というのは、当初量産が予定されているオーバー200万画素CCDは、1/2インチサイズが主流のためだ。現在、1/2インチCCDを搭載しているモデル、つまり「ソニー Cyber-shot PRO」「キヤノン Power-shot PRO70」「コダック DC260」「ミノルタ DimageEX」などであれば、CCDをそのまま200万画素タイプに換装することで、とりあえずスペック的には200万画素モデルになるわけだ。
左から順にCyber-shot PRO、Power-shot PRO70、DC260、DimageEX。 いずれも1/2インチサイズのCCDを採用しているため、CCDを200万画素もものと交換するだけで移行ができる。 |
C-1400XLは2/3インチCCDを採用しているため、何らかの変更が必要だ。 |
なお、クラスは異なるが、1/2インチCCDながらも中央部の131万画素相当しか活用していない「富士フイルム FinePix」系も200万画素化しやすいモデル。だが、この場合には当然のことながら、1/2インチCCDをフルに生かせるレンズを新調する必要があるため、上記のモデルに比べると、それほど簡単に移行できるわけではない。
1/2インチ 200万画素モデルの実力は、現時点では未知数だ。もちろん、プロ用の200万画素モデルは実在するが、パーソナル機はCCDサイズが小さいため、同等の画質は期待できない。
CCDの1画素あたりのサイズも、現行の1/2インチ150万画素クラスの2/3程度(約4ミクロン)と小さくなるため、実効感度やダイナミックレンジ(再現域)がより狭くなる可能性もある。さらに、レンズの解像度も、CCD本来の性能をフルに発揮するためには、1mmあたり200~250本クラスの超高解像度が要求されるため、それに見合った解像度のレンズが量産ベースで安定して供給できるのかという点も心配される。
さらに200万画素クラスになると、データ容量も130万画素クラスの約1.5倍になるため、撮影時の記録時間が長くなる可能性がある。もっとも、この処理系の高速化は、搭載するCPUをワンランクアップすることで対応できるため、されほど心配はない。
上記のように懸念される問題もあるが、各社とも200万画素クラスがパーソナル機のひとつの到達点と考えており、かなり力の入ったモデルを投入してくる。そのため、これらの欠点はきちんと克服して製品化してくることだろう。
具体的に画質面で確実なことは、きちんと撮影された画像であれば、A4判にプリントしても実用十分なレベルの解像度を備えることだ。もちろん、ポストカード大ならば、銀塩フィルムで撮影したものと比較しても、ほとんど遜色のないレベルの仕上がりを得ることができる。
ちなみに、銀塩フィルム自体は、画素数に換算すると35mm判で1,600万画素、APSフィルムでも1,000万画素相当といわれている。だが、実際には撮影レンズの解像度やプリント時の画質低下などがあるため、「写ルンです」に代表されるレンズ付きフィルムで撮影し、普通に同時プリントしたプリントは、実質130万画素相当。
もちろん、画質は解像度だけの問題ではないが、少々乱暴にいえば、200万画素クラスのデジタルカメラは、レンズ付きフィルムの実質画質と同等かそれを越える実力であり、普通のコンパクトカメラから同時プリントしたものに匹敵する。
このレベルになれば画質的には、一般的な用途においてデジタルであることを意識したり、我慢することなく、普通のフィルム式コンパクトカメラと同じ感覚で扱える“カメラ”へ成長していることだろう。
('99年1月5日)
[Reported by 山田 久美夫]