鈴木直美の「PC Watch先週のキーワード」
第59回:12月14日~12月18日


■■キーワードが含まれる記事名
●キーワード

【お知らせ】 次回、年始の掲載は1月13日となります。ご了承ください。(編集部)


12月14日

■■後藤弘茂のWeekly海外ニュース
  「Voodoo3はKatmai搭載PCがターゲット、次のステップはモバイル製品」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/981214/kaigai01.htm

ジオメトリ処理 (geometry processing)

 3Dグラフィックスの描画時に行なう、座標変換を主とする幾何学計算処理。
 3Dグラフィックスは、数学的に表現された物体を仮想的な3次元空間に配置し、一定の視点から眺めた時に見える情景を2次元の画像として描画する技術である。個々の物体や光源、視点などのデータを入力する作業をモデリング(modeling)といい、一般には、個々の物体の形状や色、質感を定義して仮想空間上に配置し、照明や視点を設定するという方法が採られている。定義されたこれらのデータをもとに2次元画像を生成する作業はレンダリング(rendering)と呼ばれ、視点の延長上に置かれたスクリーンに、物体を投影するかたちで(透視変換)画像を生成する。実際の工程は、形状データをもとに3次元空間に物体を展開し、その後、表面の色や質感、照明などのデータから陰影を計算して着色していく。

 ジオメトリ処理はこの前者の工程のことで、物体の座標や空間の座標、視点の座標などの座標変換を行なって物体の位置を割り出す。ちなみに普及型の3Dアクセラレータは、ジオメトリエンジンを搭載していないものが多く、レンダリングの第1ステップはもっぱらCPU側で処理し、アクセラレートは第2ステップの表示処理のみというタイプが多い。



 
DCT(Discrete Cosine Transform)
ディーシーティー

iDCT(inverse Discrete Cosine Transform)
インバースディーシーティー、逆ディーシーティー

 JPEGやMPEGの圧縮プロセスなど(※1)で用いられている変換符号化技術で、入力信号を周波数成分に変換する離散コサイン変換(DCT)、およびその逆変換(iDCT~逆離散コサイン変換)。

 PC上で扱っているプレーンな画像データは、一般に各ピクセルの輝度レベル(カラー画像ならRGBの各成分の輝度)を数値化したものだが、JPEGやMPEGでは、正方形の領域(8×8ピクセル)に対して離散コサイン変換を行ない、変化の度合を示す周波数成分に分解する。すなわち、領域(空間)を構成する輝度成分の集合という表現を、周波数成分の集合という表現に変換しているのである。

 空間周波数は、エッジの様に隣接するピクセルが急激に変化する部分では高く、変化のゆるやかな部分では低くなるが、自然画はその大半を変化のゆるやかな部分が占めるため、変換後の係数は低周波項にエネルギーが集中した(大きな値をとる)、偏ったデータになる。iDCTは、これを元のピクセルブロックに戻す逆変換で、この時点では、データは完全に元の状態に復元することが可能である(変換誤差は含まず)。

 JPEGやMPEGでは、より高い圧縮率を得るために、変換されたDCT係数をある一定の値で割った整数値にする処理を行なっている。これを量子化といい、除算することによって量子化のステップ数が削減され(より少ないビット数で表現できるようになる)、小さな値に関しては完全に0に丸められてしまう(※2)。復号時には、量子化時の除数を乗算する逆量子化が行なわれるが、得られるDCT係数はあくまで元の値の近似値であり、丸められた分の情報は失われる。すなわち、量子化後のデータは非可逆データであり、量子化時の除数によって、画像のクオリティと圧縮率がトレードされる。

【参考】
□JPEG
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980715/key38.htm#JPEG
□MPEG-2
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/981015/key50.htm#MPEG_2
□MPEG-1
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/981007/key49.htm#MPEG-1
□MP3
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980924/key47.htm#mp3

12月16日

■■沖データ、印刷速度が向上したA4ページプリンタ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/981216/oki.htm

LocalTalk
ローカルトーク

 Appleが開発した、バス型のネットワーク。
 古くからMacintoshで標準的にサポートされていた、AppleTalk用の伝送メディアで、電気的にはRS-422準拠のシリアルインターフェイスを使用し(インターフェイスは8ピンのミニDINもしくは9ピンのD-Sub)、最大32台までのデバイスを接続。230.4kbpsの伝送速度でコミュニケーションを行なう。

 メディアにはこの他に、Ethernet(イーサネット)を使う「EtherTalk(イーサトーク)」と、Token Ring(トークンリング)を使う「TokenTalk(トークントーク)」があり、最近の機種では、標準でEtherTalkもサポートしている。

【参考】
□AppleTalk
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980729/key40.htm#AppleTalk



 
RS-422(Recommended Standard 422)
アールエスよんにいに

 EIAが策定した、シリアルインターフェイス規格。
 現在の規格は「ANSI/TIA/EIA-422-B」だが、旧勧告名の「RS」や旧リビジョンの「A」を付けて呼ばれることも多い(現行のBは2番目のリビジョンで、'94年にリリースされている)。

 PCのシリアルポートをはじめ、多くのシリアルデバイスでは、一般に「RS-232C」と呼ばれているインターフェイスが使われている。232は、信号線の一方がアースと共通の不平衡型(unbalanced~アンバランス型)インターフェイスであるのに対し、422は2本の独立した信号線を使用する平衡型(balanced~バランス型)のインターフェイスになっているのが最大の特徴で、耐ノイズ性が高く、高速な伝送速度(最大10Mbps)と長い伝送距離(最大1.5km)をサポート。AppleのMacintoshが、シリアルインターフェイスにこの422を採用している(※1)

 同種の規格にはこの他に、不平衡型タイプの「ANSI/TIA/EIA-423-B」、デバイスをバス型に接続してマルチポイント通信をサポートする「ANSI/EIA-485-A」などがある。

□EIA(Electronic Industries Alliance~米国電子工業会)
http://www.eia.org/
□TIA(Telecommunications Industry Association)
http://www.tiaonline.org/
□ANSI(American National Standards Institute~米国規格協会)
http://www.ansi.org/
【参考】
□RS-232C
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/981021/key51.htm#RS-232C

[Text by 鈴木直美]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp