【ソフト】

★ ゲームソフトインプレッション ★

伝統のシリーズが大胆なシステムで蘇る
三國志VI

ロゴ

  • ジャンル:シミュレーション
  • 発売メーカー:光栄
  • 標準価格:13,800円
  • 対応OS:Windows 95/NT 4.0
  • 発売日:発売中
 
【ゲームの内容】
     中国を舞台にした歴史シミュレーションゲームの第6弾。関羽、張飛、諸葛亮などのキャラクターが登場。西暦184年に始まる黄巾の乱から、西暦234年までの50年を7つのシナリオに分けて描く一大歴史絵巻。
【動作環境】
  • CPU:Pentium 75MHz以上(Pentium 150MHz以上推奨)
  • RAM:16MB以上(24MB以上推奨、NTの場合32MB以上推奨)
  • HDD:160MB
  • CD-ROMドライブ:倍速以上(4倍速以上推奨)
  • 解像度、色数:800×600ドット、256色以上表示可能なディスプレイ(推奨:1,024×768ドット以上)

光栄のホームページ
http://www.koei.co.jp/
ニュースリリース
http://www.koei.co.jp/products/ee/Rlsan6.htm


ゲーム画面1 ゲーム画面2 ゲーム画面13 ゲーム画面15
雰囲気満点のデモムービー シナリオ選択画面。シナリオが7本用意されている 中国全土のマップ。かなり広い 武将選択画面。慎重に選ぼう

●シリーズ最新作、ここに登場!

ゲーム画面3
イベント画面、四者会談が行なわれている
 歴史物シミュレーションゲームといえば、光栄。光栄といえば、歴史物シミュレーションゲーム。もはや歴史的名作となった「信長の野望」や「蒼き狼と白き雌鹿」で知られる同社から看板タイトルのひとつでもある三國志シリーズの最新作、「三國志VI」がリリースされた。
 背景となるのは、西暦184年に始まる黄巾の乱から、諸葛亮(諸葛孔明)が五丈原に没して蜀が滅びる西暦234年までの50年。この間を7つのシナリオに分け、それぞれの時代を自分の好きなキャラクターでプレイすることができる。今回は新たにショートシナリオモードが追加され、史実としても有名な「赤壁の戦い」や「呂布討伐戦」など7つの戦闘を手軽に楽しめるようになった。これにあわせてゲームスケールも拡大され、シナリオの中に盛り込まれたイベントは実に100種類以上。人物も500人を超え、知将や豪傑が次々と登場する。シミュレーションゲームとしての厚みも増して、よりドラマチックな作品としてリメイクされた。


●シンプルな操作で、わずらわしさを感じない

 ゲームの目的はもちろん、群雄割拠する中国大陸を統一し、自分の帝国を築き上げること。プレイヤーは登場する人物の中から好みのキャラクターを選び、その城(都市)を本拠地として戦いを開始する。あるときは敵と講和し、またあるときは武力でこれを撃破して、自分の領土を広げていく。街を開発し、食料と兵力を貯え、徹底した富国強兵策を貫くのが基本だ。

 こうしたシミュレーションゲームはえてして操作が面倒になりがちだが、「三國志VI」では大胆にコマンドを整理し、とてもわかりやすくまとめている。基本的には担当大臣を決めて任せるだけでよく、プレイヤー自身が細かく采配する必要はない。軍事や外交に関する命令もすべて選択式で、実行前に軍師が適切なアドバイスをしてくれるから安心だ。わずらわしい操作に悩まされることなく、いきなりシナリオに没頭できるのはありがたい。戦闘シーンもシンプルで、部隊ごとに「城門を開けろ」「敵の大将を討ち取れ」など、大まかな指示を与えるだけ。兵種も歩兵や騎兵、山岳兵、水軍などが用意されているが、部隊によって攻撃力や移動力が違うだけで、指示の与え方や操作方法はまったく同じだ。操作はすべてマウスのみで行なえるので、キーボードが苦手という人はもちろん、お茶やお菓子を片手に楽しめるところもいい。
 「三國志」というタイトルの重さからか、つい、重厚長大で複雑なゲームであると連想してしまいがちだが、今回リリースされた「三國志VI」はシナリオの楽しさはそのままに、初めてこのシリーズをプレイする人でも楽しめる、とても遊びやすいシミュレーションゲームとしてまとめられている。

各種コマンド画面

ゲーム画面5 ゲーム画面6 ゲーム画面7 ゲーム画面8 ゲーム画面19
内政を誰にどう任すのかを決定する 都市がどうなっているのか細かくチェック 群雄選択画面 群議フェイズ画面 捕虜の処遇を決定するのもプレイヤーの宿命

●統率者としての資質が重要

戦闘画面
ゲーム画面10
ゲーム画面11
ゲーム画面12
 しかしある程度ターンを進めると、このゲームが他の戦略型シミュレーションゲームと違って、登場人物の才能や心理に重点を置いた采配が必要であることに気がつくだろう。

 なんといっても最大の特徴は、プレイヤー自身に「統率者としての懐の深さ」が求められるという点だ。「三國志VI」のコマンドは「内政」「軍事」「外交」などいくつかのジャンルに別れているが、基本的には1フェイズに1人の家臣が1コマンドしか実行できない。仮に5人の家臣を従えている場合、自分+家臣5人で、最大6コマンドを実行することができる。つまり、家臣が多ければ多いほど複雑な指示を与えることができるが、逆に家臣が少なければ自ずと行動に制限が生じるというわけ。したがってただ戦闘を繰り返し、闇雲に領土を広げても、十分な家臣を従えることができなければ、ゲームは自然に行き詰まってしまう。領土の拡張にあわせて、家臣もまた増やさなければならないのだ。
 とはいえ、家臣として使えるならどんな人物でもかまわないというわけではない。各登場人物には知力、統率力、魅力、政治力など様々なパラメータがあり、性格や能力はそれぞれ違う。同じコマンドを実行させても、誰にやらせるかによってその結果は大きく変わるのだ。たとえば徴兵や条約の締結なら「魅力」や「政治力」の高い人物にやらせたほうが成功しやすいが、街の開拓や商業化なら「知力」や「統率力」の高い人物のほうが効果があるのは当然のこと。戦場においては、やはり「武力」がモノを言う。こうした能力の違いを把握し、どれだけ有能な人物を登用できるかが、このゲームの明暗を分けることになるだろう。在野の知将や名将を、いかにして取り込むか。また戦闘で捕らえた敵の家臣を、どのように懐柔して自分の「手駒」に加えるか。敵を倒し、斬首するだけでは、味方は増えない。統率者として魅力ある行動を取ることができなければ、大陸全土を支配することはできないのだ。

 このほかにも、家臣同士の相性や忠誠心の揺らぎなど、「三國志VI」には単なる戦闘シミュレーションゲームを越えた複雑な要素が盛り込まれている。家臣の志に合わない命令ばかりを繰り返せば、次第にその心は離れ、いつしか忠誠心も失われてしまう。逆に志を汲みとり、同じ理想を抱く人物と共に仕事をさせれば、持っている力以上の能力を引き出すこともできる。実際「三國志」の魅力とは、関羽や張飛、諸葛亮など登場人物のつながりにあることは誰もが認めるところだ。
 冒頭にこのゲームのことを「歴史シミュレーション」と紹介したが、中国史に登場する英雄を演じ、登場人物の志や心理が複雑に絡み合って物語が生まれることを考えるなら、むしろ「歴史RPG」と位置づけたほうが正しいかもしれない。人材の登用と適正な配置は企業経営にも通じるところが多く、ある種の「経営シミュレーション」的要素も感じる。


●果たして歴史は変わるのか!?

ゲーム画面16
ヘルプ画面もちょっと凝っている
 「三國志」というドラマチックな背景をモチーフにして、戦略シミュレーションや経営シミュレーションを上手に織り込んだ、なかなかの秀作ゲーム。グラフィックやBGMも丁寧に仕上げられ、完成度の高さもピカイチだ。プレイするたびに新しい発見があり、噛めば噛むほど味のある、実に「光栄らしい」ゲームであると思う。50年に渡る長いドラマを7本のシナリオに分けたこと、手軽に遊べるショートシナリオモードを用意したこと、プレイヤーの好きな場所でセーブできる点も高く評価したい。最近のゲームの中では質/量ともにやや重めだが、それだけにじっくり腰を据えて遊べる作品だ。登場人物になりきってイレこんだプレイをするもよし、空いた時間を使って少しずつシナリオを進めるもよし。自分のスタイルで気楽に楽しんでもらいたい。

 知ってのとおり史実では、戦いの中で関羽、張飛が相次いで倒れ、劉備と諸葛亮も志し半ばに世を去った。「魏は蜀を滅ぼし晋となり、晋は呉を滅ぼす」というのが、史書の一節。さて今宵、あなたのパソコンではどんな歴史が生まれるのだろうか。


(C)1998 KOEI CO.,LTD.

【筆者紹介】  



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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp