ThinkPad 535のHDD換装実例付き

春だ! ノートPCをパワーアップしよう!! その2

~自分でHDDを換装する場合~


 第2回目の今回は、自分でHDDを換装する場合の注意点や、実際の作業の手順などを紹介する。ThinkPad 535のHDD換装の実例も掲載しているので、参考にしてほしい。


●自分で改造する場合

 HDDの換装は技術的にはそれほど難しくない場合が多く、自分で行なうこともできる。2.5インチのHDDが手に入る環境にいる人は、挑戦してみるのもいいだろう。ただし、改造を行なった時点でメーカーの保証は受けられなくなるので、くれぐれも自己の責任において行なってほしい。

 自分でHDDを換装する場合もっとも問題になるのがHDDの厚み。現在、ノートPCに主に搭載されているのは8.45mm、9.5mm、12.7mm、17mmの4種類。下記に代表的な機種のHDDの厚みを掲載したので参考にしてほしい。ただし、同じ機種でも変更される恐れがあるので、一度ノートPCの中を開けて、確認してから買いにいった方がいい。

ネジ穴
上:ThinkPad 535のHDDマウンタ
中央:旧規格のHDD
下:新規格のHDD
 そのほかにも、右の写真のようにネジ穴には新規格と旧規格があるのでこの点にも注意したい。旧規格では中央より、新規格では端よりにそれぞれネジ穴が作られている。写真のように機種によっては、両方の規格に対応しているものもあるが、この点にも注意して、機種に合ったHDDを購入してほしい。


 なお、2.5インチHDDの価格調査もあわせて行なった。秋葉原でも、2.5インチのHDDを取り扱っているショップは多くはないが、5店で調査を行なっているので、購入時の参考にしてほしい。

注:
 HDDの厚みはメーカーにより、微妙に表記が異なることがあるが、今回は8.45mm、9.5mm、12.7mmに表記を統一している。

【ノートPC搭載HDDの厚み】
メーカー/機種名搭載HDDの厚さ
IBM ThinkPad 53512.7mm(E以降は9.5mm)
IBM ThinkPad 56012.7mm(X以降は9.5mm)
NEC Aile NXシリーズ12.7mm
NEC 98NOTE Aileシリーズ12.7mm
シャープ メビウスシリーズ12.7mm
SONY VAIO 7シリーズ12.7mm
SONY VAIO 5058.45mm
東芝 Libretto 20/30/40/50/608.45mm
東芝 Libretto 709.5mm
松下 Let's note/ace12.7mm
松下 Let's note mini9.5mm
注:
・機種によっては、元から搭載しているHDDより厚いHDDが搭載可能な場合もあります。
・Librettoについては、東芝が数値を公開していないため、マクサスコンピューターアップグレードサービスの調査値を掲載しています。

【調査地】東京・秋葉原(5店)
【調査日】3月19日(木)

【2.5インチHDD相場調査】
メーカー
/製品
容量 店数 最安値 最高値 平均価格 最安値店
厚さ8.45mm
東芝 MK-1004MAT 1.0GB 2 16,800 18,980 17,890 d
東芝 MK-2105MAT 2.1GB 3 28,800 35,980 31,527 b
厚さ9.5mm
IBM DDLA-21620 1.6GB 4 19,800 24,800 23,300 b
IBM DYKA-22160 2.1GB 4 28,800 32,800 30,845 b
IBM DYKA-23240 3.2GB 5 44,800 49,980 47,436 bc
厚さ12.7mm
東芝 MK-1403MAN 1.44GB 1 19,800 19,800 19,800 a
東芝 MK-2104MAV 2.1GB 2 23,400 25,980 24,690 b
IBM DTNA-22160 2.1GB 1 25,800 25,800 25,800 d
東芝 MK-3205MAV 3.2GB 4 32,800 39,980 35,095 b
日立 DK226A-32 3.2GB 3 35,800 42,800 39,000 d
IBM DTCA-23240 3.2GB 4 38,800 42,980 41,095 b
東芝 MK-4006MAV 4.0GB 3 49,500 58,980 53,760 b
IBM DTCA-24090 4.0GB 4 57,500 59,980 59,020 b

○調査ショップ(調査順)
a:T-ZONE アップグレードギャラリー (03-3257-2655)、b:TWO TOP1号店(03-5244-7692)、 c:OVERTOP(03-3255-3229)、d:アイ・ツー東京Mobile専科(03-3254-1213)、e:BLESS(03-3254-2571)
なお、アイ・ツー東京Mobile専科の価格は、無料で入会できる「電狼倶楽部」の会員価格です。
 このデータは、PC Watch編集部が、3月19日にショップ店頭での表示価格を独自に調査したものを元にしています。この価格で販売されることを保証するものではありません。実際の販売価格は変動いたしますので、購入時にショップ店頭にてご確認ください。ショップの場所等については、各ショップにお尋ねください。
 編集部では、個別のメールや電話でのお問い合わせにはお答えできません。


●HDD換装の作業例

□注意事項
・HDDの換装は改造になりますので、メーカーの保証が受けられなくなります。改造はあくまで自己責任において行なって下さい。PC Watch編集部ではこの記事の内容の改造を実際に行ない動作検証をしております。しかし、改造の動作保証をするものではありません。

 ThinkPad 535シリーズは、'96年5月に発表された非常に息の長いシリーズだ。今年2月のマイナーチェンジでThinkPad 535Xとなり、MMX Pentium 200MHz、HDD 3.2GBが搭載されて、デスクトップの代替えとしても十分利用できるようになった。しかし、それ以前のモデルのユーザーは、特にHDDの容量が不足してきている場合が多い。その場合に、HDDだけでもアップグレードすることで、少しでも環境をよくしたいところだ。

 そこで、今回、実際に編集部のThinkPad 535の内蔵HDD 1GB を、IBM製12.7mm厚の3.2GB HDD「DTCA-23240」に換装したので、その作業を紹介する。

 また、今回はThinkPad 535を紹介したが、手順的には他の機種でも大きく異ならないので、この記事を参考にして、挑戦してみてほしい。


 まず、実際の作業に入る前にやっておかなければならないのは、重要なデータのバックアップ。これは、容量が少なければFDでもかまわないし、大きければMOなどに保存しておく。

バッテリの取り外し

 ACアダプタ、FDD、PCカードなどの周辺機器をすべて取り外して、本体を裏返す。

 写真右側にあるバッテリパックを、ロックを外して抜き取る。このバッテリパックの下に、パームレストを固定しているネジが隠れている。

ネジの取り外し  赤丸で囲んだ、バッテリパックの下に隠れていたネジと、その反対側の端にあるネジの2本でパームレストは固定されている。

 この2本のネジを外して、パームレストを外れるようにする。

パームレストの取り外し  ここで、本体を表側にする。パームレストの端を上側に上げて取り外す。このとき、パームレストは厚くないので、力を入れすぎて割らないように注意する。

HDDマウンタ固定ネジを外す  パームレストを外すと、トラックポイントの右クリックボタンの右下に小さなネジが見える。このネジがHDDマウンタを固定している。

 このネジを外して、HDDを引きだせるようにする。

HDDマウンタを引き抜く  もう一度、本体を裏返して、HDDをマウンタごと引き抜く。最初は少し固くて引き抜きにくいが、なるべく全体に力を入れるようにすると外れやすい。

HDDとHDDマウンタ  HDDは、HDDマウンタに4本のネジで固定されている。このネジ全てを外して、HDDとマウンタを分離する。

 (写真左:取り外したHDD、右:HDDマウンタ)

HDDの取り付け  分離したマウンタに新しいHDD(DTCA-23240)を取り付ける。

 今回使用したHDDは新規格になっているため、HDDマウンタの両端の穴を使って固定する。

 ここまできたら、分解した手順をたどって組み立てれば、HDDの換装は完了する。ただし、新しいHDDは、フォーマットもされていないし、システムも入っていない。使用できるようにするためには、バックアップディスクを使うなどして、システムなどをインストールする必要がある。


●取り外したHDDの活用

2.5インチ3.5インチ変換ケーブル
2.5インチ3.5インチ
変換ケーブル

撮影協力:アイ・ツー
パラレルポート経由の接続キット
パラレルポート経由の
接続キット

撮影協力:マクサス
 取り替えたあとに残ったHDD。これをそのままにしておくのはもったいない。また、古いHDDのデータを転送したいという人もいるだろう。そこで役に立つのがさまざまな接続キット。代表的な物として、以下の3種類がある。

  1. 2.5インチ3.5インチ変換ケーブル(1,000円ぐらい)
  2. PCカード経由の接続キット(15,000円~20,000円ぐらい)
  3. パラレルポート経由の接続キット(10,000円~15,000円ぐらい)

 まず、1番目の2.5インチ3.5インチ変換ケーブルは、2.5インチのHDDをデスクトップPCに接続するもの。これを使って、デスクトップPCにデータを転送したり、デスクトップPC用のHDDとして利用できる。

 2番目のPCカード経由の接続キットは、2.5インチHDDをPCカードスロットに接続するもの。これを使うと、新しいHDDにデータを転送することが可能になる。また、ノートPC同士などでのデータのやり取りにも使えるので、一種のリムーバブルメディアとしても利用できる。

 3番目のパラレルポート経由の接続キットは、パラレルポートに2.5インチHDDを接続するもの。パラレルポートを利用するので、デスクトップPC、ノートPCのどちらでも、簡単に接続できるのが特徴。そのため、デスクトップPCとノートPC間でデータをやり取りする時にも利用できる。しかし、転送速度はPCカード経由に比べると遅いのが難点となっている。

 以上のような製品を利用して、あとに残ったHDDを活用してほしい。


('98/3/25)

[Reported by furukawa@impress.co.jp]


【PC Watchホームページ】


ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp