【コラム】


スタパ齋藤

月1回連載:スタパ齋藤のパソコン的衝動買い的日常コラム

第5回:コンピュータユーザーならデジカメは絶対楽しい!!




■楽しいデジカメ

 デジカメは楽しい。非常に楽しい。コンピュータユーザーなら絶対楽しい。とにかく電気代だけで好きなだけ写真を撮れるというのが良い。撮ったその場で見られるし、不要な画像は消せるし、写真自体に物理的な大きさがない。コンピュータの性能が高まれば高まるほど、おもしろみを増すテクノロジーだ。そう思っている俺は、ショップのデジカメ売り場の前を素通りできないほど、いつもデジカメに魅力を感じている。

 デジカメ大好き野郎の俺なので、今まで何台ものデジカメを購入して使ってきた。

 最初に買ったのは、リコーのDC-1というデジカメで、非常に薄い本体と、分離可能なストロボユニットと、そして何よりもPCカードに画像を記録できるという点が気に入って買った。当時ではかなり先端的な機能を備えていたし、サイズも機能にも非常に満足できたデジカメだったと言える。価格も高いデジカメだったのだが、その高価さを物理的に実感できるような本体もナイスだった。冷たい金属の感触、安っぽさのないスイッチ類、精密感の高い周辺機器類。高級なフィルム式カメラのような手触りを堪能できた。

 それから、カシオのQV-10、QV-10A、QV-100と、QVシリーズもずいぶん買い換えた。DC-1などのいわゆる高級機の対極にあるデジカメで、機能は制限されていたが、そこからくる使いやすさ・簡単さ・クイックさがとても良かった。電池もけっこうもって、非常にフットワークが軽いデジカメなので、気軽に持ち歩いて使えた。低画質ではあったが、その分画像サイズも小さかったので、気楽に印刷したりメールに添付したりできた。高性能・多機能、のような魅力はなかったが、とにかく遊べたデジカメだった。

 で、徐々に世の中にデジカメが出回り始め、雑誌などのメディアでデジカメ画像を使うようになってきた頃、DC-2を購入した。リコーのDC-1の後継機だ。単3電池が使えるようになり、液晶もグッと見やすくなり、PCカードもしっかり使えて、その他DC-1のイマイチな部分の多くを改善していてしかもお値段もかなり安くなっていたので、比較的ムカムカ&カチンと来ながら購入したけどオオッやっぱりリコーさんわかってらっしゃる超イイっすよコレとか興奮して使ったのを覚えている。

 そうそう、それからサイバーショットは良かった。店頭で触った瞬間ドバッと汗が吹き出して思わず衝動買いしてしまった。その件については、PC Watchのコラムでも以前書いたので、ここでは触れない。

リコーDC-2 初代サイバーショット
リコーのデジタルスチルカメラDC-2。
DCシリーズは初期からPCMCIAフラッシュメモリ
カードに対応していた。
ソニーの元祖サイバーショット。
大きな話題となったデジタルスチルカメラだ。


■デジカメはオモチャ!?

 ともかく、けっこう多くのデジカメを使ったわけだが、正直な話、どれも仕事にはあまり役立たなかった。いや、役立ちはしたのだが、納得できないでいた。いやいや、最終的には全然役立たなかったと言える。まるでダメとも言えよう。つまり仕事においては、デジカメは全然使いモノにならなかったのだ。仕事とは、ハードウェアの写真を撮って記事に挿入するような、つまり雑誌などのビジュアル(写真)作りにおけるデジカメの利用だ。

 普通、雑誌などに掲載する写真は、よほどのことがない限り、プロのカメラマンがスタジオにてライティングをバッチリ決めて撮る。急ぎの場合は、編集者が撮ったりもする。

 が、デジカメを使えば、シャッターボタンを押せば即、ビジュアルができる。現像のプロセスが不要なことは、編集業務に大きな時間的余裕をもたらす。そういうわけで、けっこう多くの編集者がデジカメに飛びついた。この俺も、何度もデジカメを使ってビジュアルを入稿した。しかし、すぐに後悔した。

 デジカメで撮った写真を雑誌に掲載すると、もう思いっきりショボいのである。画質が悪い、ピントが甘い、シャープさもない、ノイズっぽい画像。ヒドい誌面ができたりする。でも何とかならないかと、いろいろ工夫した。最終的には、デジカメで撮った画像をPhotoshopなどのレタッチソフトで修正し、なるべく美しいビジュアルにして入稿したりもしたが、結局は最初からカメラマンにビシッと撮ってもらうのが正解だ、ということがわかって、デジカメはほとんど使わなくなった。

 仕事においては、所詮デジカメはオモチャ、という結論を得てしまって、なーんかイマイチな後味を残したまま、趣味のデジカメ遊びを続けた俺であった。



■コレならなんとか……

C-800L
オリンパスのCAMEDIA C-800L。
デジタルスチルカメラらしからぬ、フィルム
カメラっぽいスタイル。
 しばらくの間、デジカメによるビジュアル作成を諦めていた俺だったが、オリンパスのC-800Lが登場した時、再度、気合が入った。この画質なら何とかなる!!
 イケる!! そう感じた。

 C-800Lは、それまでのデジカメより遙かに高い解像度を持っていて、従来よりずっと鮮明な写真が撮れた。しっかり照明をすれば、雑誌に掲載できるレベルの画像が得られた。なので俺はC-800Lで何度も雑誌用のビジュアルを撮ったのだが、でもやはり、プロが一眼レフで撮るような鮮明なビジュアルには遠く及ばなかった。

 いくら高画質なC-800Lとは言え、大きなサイズのカラービジュアルなどにはまず使えず、せいぜいモノクロページの小さな写真まで程度。また、かなり気を使って照明をセットしたりしないと、やはりPhotoshopでレタッチするハメになるし、ビジュアル主体の記事、つまり写真で見せるような記事(写真に注目して欲しい記事=読者が写真をじっくり見ちゃう記事)には使えない。でも記事を書くときに思い通りのビジュアルを自分で撮れるというメリットは大きかったので、俺はけっこう多用した。

 ちなみに、PC Watchの記事では比較的多くのデジカメ画像を目にするが、これはメディアがWebなので許されている状況だ。Web上の記事なので画質より即時性が優先、ということではない。読者がビジュアルを見るときの、メディア上の物理的な特性がもたらす状況だ。つまり、コンピュータディスプレイで写真を見る時は、せいぜい数十dpiの解像度の像を見ることになる。その程度の解像度で、しかもさほど大きくない画像を見るなら、モトがリバーサルフィルムの精細な画像でも、デジタルカメラの粗めの画像でも、それほど違いが出てこない。数千dpiの解像度で印刷されている紙の雑誌とは違い、Webマガジンは元々精細さを持たない装置で読むメディアなのだ。



■凄まじいデジカメだ!!

C-1400L  去年の暮れ、世界一サイバネティックだしデジタルな我が国がメガピクセル時代に突入したので、俺もメガピクセル時代に突入した。名実ともに最強のコストパフォーマンスを誇る、オリンパスのC-1400Lを購入したのだ。どうにもたまらず、購入した。

 だが“欲しくてたまらない”ので“どうにもたまらず購入した”というわけでもない。PC Watchのメガピクセルカメラのテストレポート的記事の、実に美しい画像を見るたびに、“これならそのままビジュアルに使えるかも知れない”と、強く思ったのだ。かつて砕けたチャレンジが、あのツールさえあればうまくいくかも!! と思ったのであった。

 で、買って使ってみたら、コレがまた素晴らしい!! 文句なしに精細で美麗な画像を、何の工夫なしに得られる!! 今まではライティングを工夫して撮って、おまけにレタッチまでしてやっと得られたような画像が、ただボタンを押すだけで得られる。

 驚いたのは、C-1400Lを買ったその足で立ち寄ったファミレスで撮った画像だ。なんとなくファミレス内の全体的風景を撮って、食事して、帰宅したのだが、それを部屋のマシンで見たら、なななナンと、風景の奥の方に見えるファミレスの厨房内までしっかり確認できた!! 厨房の冷蔵庫に貼ってあるステッカーの文字や厨房内の人の表情まで、しっかり確認できた。デジカメにはまるで期待していなかったような解像度と精細さを持っていたのである。

 これはスゲえ!! メガピクセルってやっぱりすげえ!! 試しに自分の顔を撮ってみるゼ!! と、接写モードでセルフポートレイトしてみたら、肌の荒れ具合や毛穴まで写っちゃって比較的イヤな感じであったが、ようやくデジカメで画質を楽しめるようになったということで非常に嬉しかった。

 というわけでその日から俺は他のデジカメを全然いじらなくなり、C-1400Lばかり使うようになった。手持ちの昇華型プリンタが火を噴くゼ~ッ!! みたいな感じで、俺はC-1400Lで撮った画像を印刷して堪能した。同時に、これなら仕事にもバッチリ使えるゼ、という確信がメラメラとわいてきた。



■使い勝手は

 C-1400Lの詳細やサンプル画像などは、当サイトの山田久美夫氏のコラムが非常に詳しいのでそちらを見ていただくことにして、俺が感じたのは、その使いやすさだ。

 C-800Lのときもそうだったのだが、最初手にした時、
「なーんかデカいなぁ。ていうかデカ過ぎ!?」
と思った。デジカメにしてはヤケにデカい。しかし、これもやはりC-800Lのときと同じなのだが、しばらく使ってみると、
「ん。良い。疲れない。使いやすい。良い」
と思った。このデカさがよいのだ。

 思うに、オリンパスは、デジタルカメラをフィルム式カメラからのアプローチで作っているのだ。コンパクトカメラの老舗でありビッグネームであるオリンパスは、最初からカメラの一機種としてデジカメを作ったのだ、と思う。
 他のエレクトロニクス系メーカーが作るデジカメは、CCDから入力された映像をメモリに記憶させる装置、というアプローチで作っている、と思う。

 多数のデジカメをいじくってみて改めて思うのは、オリンパスのアプローチは非常に正しい、ということだ。もちろん、他のメーカーのアプローチもいい。デジカメならではのおもしろみや使い方を追求していたり、フィルム式カメラではできなかったデザインを実現していることには賛同できる。例えばCCD部の首振りなんかは、デジカメならではのギミックだ。

 が、モノがカメラなのだ。カメラとゆーのは、ながーい間かけて、じっくり進化し、洗練され、現在の姿になったのだ。サイズやカタチ、ファインダーやボタンなどの細かなインターフェースなどが、世代を通して試行錯誤した結果、現在の姿になっているのだ。こういった、時間をかけて洗練してきたスタイルを捨て、デジタルカメラならではのカタチを新たに作ってみようということを、オリンパスはしなかったのだと思う。
 だから、普通のカメラと同じ感覚で構え、撮影できる。いや実際の話、普通のカメラと同じ感覚で構えて撮れるデジカメって、案外少ないのだ。構えづらかったりホールドしにくいデジカメが、意外にも多い。まあ、そういう使いづらさを圧倒して高性能だったり魅力的だったりすればいいのだが、それほどヒキの強いデジカメばかりではない。
 その点、最強の画質を誇り、最高に使いやすいカタチのC-1400Lは、かなりイケてるデジカメと言える。



■こればっかりはどうにも……

 画質が良くて使いやすいけれど、残念なトコロがある。
 それは、電池がイマイチもたないこと。ていうか全然もたない。サイバーショットも電池がもたなかったが、C-1400Lに比べるとずいぶんもったのだなあと思ってしまうほどだ。カシオのQVシリーズなんかと比べると、信じられないほどもたない。

 でもまあ、バッテリーのもたなさは、モバイルなデジタル機器における暗黙の不満なので、とやかく言っても始まらない。でもちょっとスナップを楽しんだらアルカリ単3電池4本が空、というのはキビシい。だからぜひ、充電式電池を用意していきたい!! というか、俺は二次電池大好き野郎であって、ニッカド(NiCd)電池やニッケル水素(NiMH)電池を既にたくさん用意してあるので、アルカリ単3電池4本が空の悲しさは一度味わっただけで済んだ。

 どこでも売ってるアルカリ電池は手軽で便利だが、どうせガンガン使っちゃうことがわかっているのなら、ぜひともNiCdやNiMHを使っていただきたい、というか、使うと驚くほどの節約になる。何せ、1本を数百回繰り返して使えるのだ。一度買えば、ある意味一生モンと言えちゃう場合もある。また、たまーにしか必要にならないけど、必要になるときゃなって、しかも最近はあんまり売ってなくなっちゃった四角いアレ、すなわち006P電池なども、NiCdの006P電池を用意しておけば何かと便利だ。

左から、NiCdの006P、NiMHの単3、NiCdの
単3(3種)、NiCdの単4(2種)。
多数の二次電池。リサイクルできるので最終的には安上がり。

 俺の場合、単3電池はNiCdとNiMHの両方を使っている。基本的には少ない電流が流れるような機器(例えばラジオとかCDプレーヤーなど)を使う場合はNiCd、大きな電流が流れるような機器(例えばデジカメとか無線機など)を使う場合はNiMHをと使い分けるのがいいのだが、まあそんなに大きな差はないので、特に気にしないで使っている。肝心なのは、ビシッと充電して使うことと、電池の特性に合わせて使い切ることだ。

 例えば、NiCd電池はメモリ効果が大きいので、中途半端に使ったら、ちゃんと放電してから充電することだ。まだ電池に電気が残っているのに充電すると、どんどん電池自体の蓄電能力が下がるのだ。NiMHはさほど気にしなくても大丈夫なようだが、やはりきっちり使い切って、しっかり充電した方がいい。最近ではNiCdもNiMHも充電できるチャージャーや、放電専用のディスチャージャーなどもあるので、それを利用すれば楽だ。なお、充電式の電池は、ディスチャージャーなどで完璧に放電し切ってしまうと、極性が反転してしまうとかで、オシャカになってしまうそうだ。まあ、ディスチャージャーに一日中入れっぱなしにした程度なら大丈夫なのだが、3カ月間ディスチャージし続けたりなんかするとダメになっちゃうので注意した方がいい。

バッテリチャージャーと、ディスチャージャー。
バッテリ使用直前の放電と充電が、二次電池
の性能を最大限に引き出す。
バッテリチャージャー各種。
上は006P専用、左はPansonic製、左はサンヨー製。特に左のサンヨー製チャージャーは、細かな部分がよく考えられており、使い勝手がよい。

 それから、デジカメのような、比較的大きな電流を必要とする機器では、電池の電圧がある程度下がると、電池がまだ使えるにも関わらず電池切れの状態になることが多い。デジカメさんが、「その程度の電圧じゃあオレは動かないよ。新しい電池入れなきゃ動かないんだから」とダダをこねている感じだ。
 なので、デジカメで使えなくなったからと言ってアルカリ電池を捨てたりしないで、一応バッテリーチェッカーなどを使って電池の残量を確認し、ハンディライトとかラジオとか、電圧の低下にあまり左右されないような機器に使うようにすると、電池を完全に使い切ったという満足感が得られて楽しいかも知れない。

小型のバッテリーチェッカー。
メーカー不明。アーム部が可動なので、各種バッテリーの容量をチェックできる。006PもOK。
ソニーのバッテリーチェッカーBC-330D。
006Pを含む各種電池と、ガム電池の容量をチェックできる。カードサイズの薄型チェッカー。


■バイオのPCカードスロットが……

 C-1400Lの良さは、ストレージとしてスマートメディアを使えることだ。撮って、カードを抜いて、アダプタに填めて、ノートパソコンに挿せば、すぐに見られる。なお、C-1400Lが生成する画像は、jpegファイルで、1,280×1,024ピクセルの高画質・低圧縮画像(SHQモード)、1,280×1,024ピクセルの低画質・高圧縮画像(HQモード)、640×512ピクセルの画像(SQモード)の3種類である。で、現在最大容量の8MBのスマートメディアになら、SHQモードで8枚、HQモードで24枚、SQモードで99枚の画像を格納できる。

 で、俺はいつもだいたいSQモードで撮影し、スマートメディアをPCカードアダプタに填め、愛機バイオノートPCG-715に挿し、画像をサクサクッと閲覧しようと思った矢先に愛機が無限ループに陥って操作を受け付けなくなっていることがわりと多い。なーんか最近のバイオちゃんったら調子が悪いのだ。外付けのキーボードも頻繁に認識しなくなる(この件についてはスペースキー連打殺法で打開できることを発見した)。ドキドキものでPCカードを挿している最近の俺だ。

FlashPATH  が、おもしろいモノを見つけた。話題のフラッシュパス。富士フイルムが発売した、スマートメディア用FDDアダプタだ。コレを使うと、フロッピードライブでスマートメディアを読み書きできるようになる。俺のPCG-715のような、PCカードスロットの調子がイマイチなノートパソコンにもいいし、PCカードスロットを持たないデスクトップ機にも便利だし、新しく発表されてコンパクトで静粛でデザインもカッコ良いけど残念なことにPCカードスロットはないソニーの新型デスクトップ機にもよさげなデバイスだ。まあ、データの転送速度はフロッピーディスクとそれほど変わらなくて、遅い感じだが、このデバイスさえあれば世の中のおおよそすべてのウィンドウズマシンでスマートメディアを使えるという点がグレートだ。

 というわけで、初めてのメガピクセルデジカメを堪能している俺であった。次は、250万画素くらいのが出たら買おうかな~、みたいな感じである。ともかく、高画質高精細は愉快だ。


[Text by スタパ齋藤]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp