【リレー連載 物欲道修行記】

リレー連載 物欲道修行記

第16講 気絶派 師範:スタパ齋藤

 スタパ師範は前回のDCR-PC7に続いてSONY製品、サイバーショットである。編集部でも電池のもちなど、スペックに不満はあるものの、実物のカッコよさはピカイチ、と評判だった製品だ。やはりSONYは「ほしい!!!」と思わせる製品作りがうまい。

 さて、前回予告した通り、気絶派教書「PC道(アスキー出版局、定価1,400円)」の増刷が出来上がり、アスキー編集ご担当者様より、PC Watch読者のみなさまに5冊プレゼント用にいただけることになった。プレゼント希望の方は、編集担当あてにメールをお送りください。発表は来週のこのコーナーで行います。(編集部)


物欲をそそるサイズと質感
SONY サイバーショット

●カッコよくてイカシてるモノは、欲しくなる


dsc1
 約1カ月前、俺はソニーのパスポートサイズデジタルビデオカメラであらせられるところのDCR-PC7を購入した。そして今まで手にしたビデオカメラよりずっと頻繁に持ち歩き、そして頻繁にテープを回した。まあ大したモノを撮るわけではなく、キレイな夕日だとか、旅行先の印象的な光景だとか、友人だとかそんな被写体だ。が、我ながらチョコチョコとバッグから取り出して、いろいろと撮ったと思う。そして実によく持ち歩いた。

 数本の、さほどおもしろいわけでもないデジタルビデオテープを再生しながら、ふと、1カ月間の俺を振り返り、「なぜPC7をあんなに持ち歩いたのか」と自問した。そして出た答えはこうだ。
 例えば、気に入っている腕時計をして歩き、左腕の違和感に満足する。愛車に乗って道を走り、エンジン音の悦に浸る。新しい靴を履いて散歩し、ときおりショーウィンドウに映る自分の足元を見て胸を張る。あるいは、暗い喫茶店でわけもなくサブノートを開き、TFT液晶の光を受けて満悦の笑みを浮かべる……おっと、ちょっとマニアックになってしまった。
 ともかく、気に入ったモノを持ったり使ったりすることは、誰にでもあるとても気分がいいことであり快楽の瞬間だ。俺は、この快楽は、モノの機能や性能からよりもむしろ、そのモノが持つ質感から生まれてくるものだと感じる。

 例えば高機能でコストパフォーマンスが高いモノは、悪い評価は受けない。だが、高機能でコストパフォーマンスが高いモノを持ったり使ったりすることに快感を感じるかというと、そうでもない。早くて極端な話をすれば、高機能でコストパフォーマンスが高くてダサいモノというのは、使っても気分なんかよくならないのだ。

 まあ、何がダサくて何がカッコイイのかは、主観の左右するところが大きいので置いといて、つまり、PC7は俺にとってカッコいいしイカシたモノなのだ。だから大して使うアテもないのに、いつも持ち歩いて、悦に浸っていた。もちろんPC7を衝動買いした第一の理由も、それがカッコよくてイカシてたからだ。なお、俺がPC7のどこがカッコよくてどこがイカしてると思うかについては、バックナンバーに書いている。

 さて、のっけから冗長な物欲論になってしまったが、実は今回レポートするモノも、そのカッコよさとイカシ具合いで衝動買いてしまったハードウェアだ。みなさんよくご存じのソニー製デジタルカメラのサイバーショットである。


●いわゆる、一目惚れ


 ソニーから発売されたデジタルカメラDSC-F1(愛称:サイバーショット)は……、あ、やっぱやめておこう。ここをどこと心得るか!! 天下のPC Watchなるぞ!! ウェブいちデジタルカメラ情報の密度が濃いところだということを忘れていた。サイバーショットの画質や細かな機能に関しては、デジカメコーナーに任せるとしよう。
 で、実は俺は、サイバーショットが発表された時には「ケッ、ソニーが今ごろ。柳の下のナントカ狙いか」とか思って、製品写真を見ても別に何とも思わなかった。デジタルカメラは画質や接続性などの“性能”で選ぶものと思っていたからだ。きっと勝負をモノにするのは、カシオとかリコーとかフジフィルムとか、もしくは気合が入ってるオリンパスあたりだと思っていた。

 が、サイバーショットが発売され、店頭に並んでいるのを見て、俺は猛烈にそれに触れたくなってしまった。サイバーショットを見た瞬間、それが他のデジカメと明らかに違う光沢をしていることがわかったからだ。あ……哲学的な意味じゃなくて、物理的に光り具合いが違ってたってわけです。

 で、ショーウィンドウに近付いた。すると、サイバーショットが明らかに他のデジカメと違う質感を持っていることがわかった。プラスティックっぽくない筐体には、あまりいい言葉ではないが、安っぽさがなかった。なめらかで、美しく見えた。きれいに仕上げられたボディに、俺はもうたまらなく触れたくなった。
 そして、サイバーショットに触れた瞬間、そのひんやりとした金属的な感触と、ハードウェアの密度を感じさせるのに十分な重さを感じ、胸がドキンと鳴った。俺は、俺がほんの近い未来にこのカメラを買っているであろうことを確信した。


●持ってるだけでシアワセ、な一台


 ご察知のとおり、触ってドキンとした瞬間サイバーショットを購入したのだが、コレは、かな~りイイですよダンナ。

 まあ、バッテリーの持ちが悪いとか、後発機種にしては思ったほど画質がよくないとか、IrDAの速度がそんなに出てないとか、メモリカードが使えないとか、細かいコトがイロイロと言われているデジカメではある。が、コレには、そーゆー些細なことをキレイサッパリ忘れさせてくれる質感がある。快楽的感触がある。モノとしての魅力がたっぷりある。

大きさ
 まず、サイズがイイ。
 カサバリ度としてはカシオのQV10とそれほど変わらないサイズではあるが、とてもコンパクトな感じだ。いや、コンパクトなんて安っぽい言葉は似合わない。小型……いや、この言葉もダメだ。そうだ、緻密という感じだ。この緻密さには前述のPC7と同じ、魅力的な装置としての質感がある。イカス!!
 
ボタン類
 それから、パーツの細かさもイイ。
 冷静に考えれば、シャッターから各種機能ボタンまで、どれもずいぶん小さく、押しづらいとも言える。が、この小さいボタンが押しやすいデカさだったりしたら台無しだ。このゾッとするほどセクシーなサイバーショットが、誰でもカンタンパチリの無難型の、俺にとってはカッコ悪ぃカメラになってしまう。液晶も電源ボタンも便利に使うには小さいのだが、この、操作性よりカッコ良さを重視したよーなトコロが、俺を魅了して止まないのである。
 
TC-1&DSC-1
 そして、何より見栄えと存在感がイイ。
 QV10、QV10A、QV100、DC-1、DC-2L、C-800L、そしてこのサイバーショット。今書いて我ながらビックリしたが、7台のデジカメを使ってきたなかで、このサイバーショットがいちばんデジタルデバイスっぽい気がする。電子機器の持つブラックボックス的妖しさ、冷血さ、正確さを強く感じる。俺はフィルム式カメラも好きで、ブローニー判のカメラや35mm一眼レフ、最近流行りの高級コンパクトカメラなどをいろいろと使ったりしてきた。こと最近気に入っている35mmコンパクトカメラのTC-1(ミノルタ、写真左)に匹敵する精密機械的魅力も、このサイバーショットにはある。まあグジャグジャと抽象的なコトを書いている俺だが、要はつまり、そこに置いてあるだけでウレシくなっちゃうような姿のデジカメなのである。あぁ~んアナタそこにいるのね、ずっといてね、アタシ嬉しいわ、みたいな。
 
 というわけなので、ウェブページ上の画像だけではなく、ぜひとも実際、この素敵でセクシーで超カッコいいサイバーショットを手に取っていじくってみて欲しい。きっと欲しくなると思う。


●一応、使用感なども……


持った感じ
 と、読み返してみたら、何だかラブラブ状態の女の子が彼氏の自慢を延々としているような文章が羅列してあるだけだったので、申し訳なく思い、ここはひとつできるだけ冷静に使用感などをレポートしてみたい。  まず、手に持った感じは、ヒジョーにクールでカッコよくてナイスでサイバーでセクシーで……あ、すいません。また興奮してしまいました。
 手に持った感じは、正直言ってやや持ちづらい。どの部分もホールドしづらく、結果、両手で持つのが安心ということになる。片手で撮影ということになると、人指し指をシャッターボタンに当て、親指と中指+薬指でカメラを挟むような感じになり、なーんか落としそうな不安が出てくる。まあ、ストラップに腕を通せば落下は防げるのだろうが、カシオのQVシリーズとか、オリンパスのCシリーズとかより、かなりホールドしづらい感じだ。
 
 次に、液晶だが、これは輝度も高い感じで見やすい。こんなに小さいのに大したモンですな、という感じでクッキリ映る。本体の底面に液晶の明るさを調節するボタンがあるので、晴天下の屋外でもある程度はハッキリ見える。液晶の位置はカメラ背面の中央にあるが、これがもう1センチ左に寄っていたら、きっとグンとホールドしやすかったのに、とも思った。
 
電源ボタン
 それから、小さなボタン類とその操作性だが、液晶左にある各種機能ボタンは、その小ささからやや押しづらい感じはあるのだが、押したときのクリック感が十分あり、慣れれば使いやすく感じられる。また、電源部分は丸いダイヤル型(写真)になっており、その中央に誤動作防止のロックボタンがある。電源[切]の状態から[再生]、あるいは[Auto]や[Manual]に切り替えるには、このロックボタンを押しながらダイヤルを回す。この操作がややしづらい。まあ、これも慣れの問題程度なのだが……。あと、この電源ボタンだけ、他の部分と質感が違って、妙にプラスティック感丸出しなのだが、これはいただけない感じだと思った。
 
メニュー選択ボタン
 そして特徴的なのが、メニュー選択/決定ボタンだ。サイバーショットに各種設定をする場合、ラジオのボリュームのように回せてかつ押せるこのボタン(ダイヤル)を使う。まず液晶上にメニューを表示させ、ボタンを回転させてメニューを選択し、さらにボタンを押すことで決定の操作をする。どこかの携帯電話でも採用していた、あの「回して選んで、押して決定」の、ひとつでふた役のボタンである。このボタンの使いやすさについては、賛否両論別れるところなのだが、俺個人としては非常に使いやすく感じた。
 
 さらに、ストロボ。撮り比べたわけではないので、感覚的な評価になるが、DC-2Lと比べると、光量も十分あって、回り込みのよい光が出るような感じだ。近距離だとちょっと明る過ぎる感じがしなくもない。まあ、どのストロボ付きデジタルカメラもそうだが、ストロボ付きフィルム式カメラのようにはバッチリ映らないので、あまり過多な期待を寄せない方がいいような気がする。なお、ストロボ使用時には液晶左にある小さな[フラッシュ]ボタンを押すのだが、このボタンを押してからストロボ撮影ができるようになるまで数秒待たされるのがちょっと気になった。

バッテリー
 加えて、バッテリーだが、コレは噂どおり、あんまり長時間はもたないようだ。でも、バッテリー自体がかなり小型なので、予備バッテリーを持ち歩けば問題ないだろう。なお、バッテリーはソニーのMDウォークマンに使うリチウムイオンバッテリーも使えるそうだ。あっ、ちょっとp.s.な感じになるが、バッテリー交換は速攻でやらないと、内部の日付・時刻がリセットされてしまう。バッテリーが切れそうになったのでバッテリーを抜き、一服つけ、予備バッテリーを入れる、なんてことをやってると、設定した日付・時刻が消える。再度設定するのは、上記のダイヤル式ボタンで簡単にできるのだが、いちいちコレをやるのもかったるい。ボタン電池でバックアップしてもらいたかったところだ。
 
カメラ/フラッシュ部
 最後に、首振りのカメラ部とマクロ撮影だが、やはりカメラ部が自由に動くデジタルカメラは使いやすい。液晶ディスプレイがあるデジタルカメラはすべて首振りにすべきだ、とか思いたくなるほど便利だ。この点はQVシリーズでも実証済ですな。なお、サイバーショットにはこの首振りを固定するためのロックレバーがあるのだが、コレがイマイチ役に立っていない気がする。まあ、もともと首振りの回転部分はある程度の重さというか抵抗があるので、ロックレバーなど使わなくても問題ないのではあるが。それと、マクロ撮影時にはカメラ部上のマクロレバーを倒すのだが、こうすると、かなり近くまでマクロ撮影できる。被写体の5cm程まで近付けるので便利だ。
 
 というわけで、情報が少ないまま長々書いてきたが、結論としてはこれは超イカスしカッコイイしセクシーだし魅惑的なデジカメなので、ぜひ店頭で触れてみて、ぜひ買っちまってほしい。

●その後のカラーザウルスとPC7


PC7
 ソニーのデジタルカメラPC7は、前述のとおり「持ち歩くのが楽しい、持ち歩けるデジタルビデオカメラ」なのだが、これに加え、パカリと開いてくるくる回る液晶画面はことの他つかいやすいことがわかった。もうファインダーを覗きながらビデオ撮影する時代は終わったのかもなあ、とつくづく感じた。ってこんなコト今さら言ってんのは俺だけですか?
 俺は時代遅れですか?

 あと、カラーザウルスは順調に使用を続けている。どの機能も問題なく便利なのだが、コレのメール受信はすんげえ便利に使っている。携帯電話とつないでメールを受信しているのだ。いつでもどこでもメールを受信できるのはまったく素晴らしく便利なのだ、が、受信したメールに返事を書くことすなわちメール送信がやっぱりどうしても面倒だ。

 かなり"使いモノになる"ザウルスのペン入力なのだが、やはりどう慣れても100文字以上の文章を書くと肩が凝る。やはりココはLibrettoかなんか買って……とホンキで思っちゃうほど肩が凝る。まあ、カラーザウルスのメール機能自体は、俺のモバイル意欲をそれほどまでに高まらせるほど便利なのだ。

 それから、カラーザウルスで初めてエラー(?)らしき状態を体験した。28,800bpsのモデムカードを使ってウェブページを見ようとしたとき、モデムのネゴシエーション中にキャッチホンが入った。すると、カラーザウルスがフリーズ!! と思った瞬間、リセットされて、初期状態(時刻入力画面)になった。あちゃ~と思ってかなりビビったのだが、内部のデータは完全に無事だった。その後、コレと同じ事態をもう2度体験したのだが、やはり初期状態に戻るだけで、内部のデータには一切問題が起きなかった。さっすが家電と並べて売ってる品物だけある。すげえ安心感の高い電子情報機器だ。

[Text by スタパ齋藤]


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