【イベント】


山田久美夫のCOMDEX Fall '97レポート
「その他の気になったモノ編」

 COMDEXC Fall'97は世界最大のPCイベントだけあって、グラフィック系の展示や“なんだコレ”系の製品やデモも数多い。そこで、COMDEXレポートの締めくくりとして、これまでのレポートで触れられなかった製品について簡単に紹介しよう。


●おお! Windows版ビデオトースター?PLAY「Trinity」

 いまやコンシューマー市場ではすっかりマイナーな存在になってしまった「AMIGA」。しかし、AMIGAはとにかくグラフィック、とくにビデオ系に強いマシンで、その最たるものとして、ビデオ用のさまざまなエフェクトや3Dテロップなどが作製できる「ビデオトースター」があった。

 そして今回のCOMDEXでは、まさに「Windows版ビデオトースター」ともいえる超強力な特殊効果を自在に駆使できるシステムが発表された。それがPLAYの「Trinity」だ。

 主に業務用のシステムだが、価格は4,955ドルで、機能を考えるとなかなかリーズナブルだ。機能は実に多種多様で、スイッチャー、3Dビデオエフェクト、ノンリニア編集、ペイント、バーチャルスタジオなど満載。

 会場では、グリーンの背景紙の前で人物や物を動かすと、自動的にクロマキー式の切り抜きが行なわれるなど、予め用意された動画や3Dグラフィックスと合成表示のデモが中心となっており、その巧妙さには感心するばかり。たとえば、金属質のティーポット、グラス、テレビ画面などが置かれた3D画面の中に人物を合成すると、自動的にティーポットなどにその人物がきちんとディフォルメされて写り込むし、それが完全にリアルタイムに処理されるのには驚く。もちろん、ごく普通のニュース番組や天気予報などで使われるような簡単な合成などはお手のもの。このシステムだけあれば、テレビ局並みの自然な画像合成ができてしまうわけで、ローカル局ならこれで十分かも……。興味のある方はPLAYのホームページを参照。

Trinity_4 Trinity_5
Trinity Trinity_2 Trinity_3
Trinity_4 Trinity_5


□PLAYのホームページ
http://www.play.com
□製品情報
http://www.play.com/pages/trinity/index.html


●パソコン上で3D静止画を簡単に作れるVRex「DEPTH CHARGE」

 その昔、かなり流行した、赤と青の眼鏡をかけて見る“3D写真”。それをPC上で作ってしまおうというのが、「DEPTH CHARGE」。しかも、専用のビュワーつきのカラー版もあって、これが結構リアル。専用ソフトとカラー用ビュワーのセットで、会場特価では80ドル弱と、結構お手頃(買ってくればよかった……)。しかも、このソフトをインストールしておけば、3D化された画像を、普段はごく普通の2Dの写真として表示することもできる。

 さらに、3D撮影用のデジタルカメラも用意されている。片側のシャッターを押すと、それにシンクロしてもう一台のシャッターが切れるというシステム。なかなか楽しそうだが、大きすぎるので、ちょっと持ち歩く気はしないが……。

DEPTH CHARGE DEPTH CHARGE_2


□VRexのホームページ
http://www.vrex.com
□製品情報
http://www.vrex.com/depthcharge/index.htm


●デジタルカメラからダイレクトにプリントできるSyntran「CamPrint」

 デジタルカメラ関係のアクセサリーで注目されるものとして、カメラから直接インクジェットプリンタで印刷できる、台湾メーカーSyntranの「CamPrint」があげられる。このアダプターは、カメラ側の液晶モニターでプリントするカットを決め、シリアル転送でデータをプリンターに送るもの。

 シリアル経由でデータを転送するため、対応機種は限定されており、現時点では富士フイルムの「DS-7」「DS-10」「DS-20」などとなっている。また、プリンターはCANON「BJC」、EPSON「EPS/P2」、HP「PCL5」シリーズ(デモではEPSON製プリンター)に対応している。価格は180ドルと、デジタルカメラの周辺アクセサリーとして考えると、ちょっと高め。しかも、単にプリントするだけで、カレンダー作成などの付加機能はなく、面白味に欠ける点もある。だが、PCを介さないダイレクトプリントは、今後需要が増える可能性もあり、なかなか注目の製品といえる。

CamPrint CamPrint_2



●5インチベイ内蔵型のサイカラー式プリンターAZTECH「DPD-100」

 Intelの「ポータブルPCカメラ'98設計ガイドライン」に準拠したデジタルカメラを出品したことでも注目されたシンガポールのAZTECHは、5インチベイに内蔵できるフルカラー式プリンター「DPD-100」を展示していた。これはペーパー自体に発色剤を含んで発色させるという独特な構造を備えており、サイカラー方式と呼ばれる。再現性は今一つだが、消費電力が少ないうえ、さほどスペースを必要とせず、ペーパーだけを補給すればいいこともあって、内蔵化を実現した。

 価格は299ドルと、以前参考出品されていた時の説明よりも高価になっているが、手軽さという点ではちょっと魅力的なプリンターといえる。

DPD-100 DPD-100_3 DPD-100_2


□AZTECHのホームページ
http://www.aztechca.com/
□製品情報
http://www.aztech.com.sg/product/dpd/Dpd-100.htm
□関連記事
【11/4】Intel、ポータブルPCカメラの開発キット
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/971104/intel.htm


●スマートメディア専用スペースを設けた東芝

 今回のCOMDEXでは、海外メーカーからもスマートメディアを採用したデジタルカメラが登場したが、本家である東芝ブースには、スマートメディア専用スペースが設けられていた。というのは、海外、とくにアメリカでは小型のメモリーカードといえば、SanDiskのコンパクトフラッシュ(CF)が圧倒的な存在で、アメリカでPCショップやカメラ店でもCFカードはおいてあるが、スマートメディアの姿を見かけるのはごく希なこと。

 そのため、今回はスマートメディアに対する説明はもちろんのこと、スマートメディア採用のデジタルカメラを一堂に集めて展示を行なっていた。説明用パネルには、「フラッシュパス」については明記されているが、最大64MBまでという点や、5Vと3.3Vが混在している点、現時点では8MB以上のカードに未対応なモデルばかりである点などは(当然のことながら)一切書かれていなかった。

説明 対応デジタルカメラ
フラッシュパス デジタルカメラ展示


□東芝のホームページ
http://www.toshiba.co.jp/
□スマートメディアのホームページ
http://www.ssfdc.or.jp/


●小型メモリーカードに意欲的なSimple Tecnology

 アメリカでもとくにメモリーカード関係に積極的なメーカーにSimple Tecnologyがある。同社は40MBまでのPCMCIA ATA、32MBまでのCFカード、8MBまでのミニチュアカード、4MBまでのスマートメディアなどを製造しており、価格も結構安価だ。

 パラレルポート用のCFカードドライブ「PC PhotoReader」は、すでに日本国内でもOEM品としてイベントに出品されているので、見かけた人もいるかもしれない。このほか、2.5インチHDDをパラレルポートで使うアダプターなど、なかなかユニークな製品を多く展示していた。

PC PhotoReader



●USB対応のカードリーダーを参考出品したインターマートシステムズ

 KERNELブランドのカードリーダーで有名なインターマートシステムズは、今回、USB対応のカードリーダー3種(PCMCIA Type1/2用、CF用、スマートメディア用)を出品。価格は3万円くらいで、発売時期は'98年の2月~3月を予定しているという。

 また、'98年1月にはパラレルポート用の製品も3種(PCMCIA Type1/2用、CF用、スマートメディア用)を2万円前後で日本国内で発売するという。

USB対応カードリーダー


□インターマートのホームページ
(11月28日現在、この製品に関する情報は掲載されていない)
http://www.intermart.co.jp/


●スマートメディア専用ドライブを出品したハギワラ シスコム

 スマートメディア関係では、日本のハギワラ シスコムから、ISAバス用のドライブ2種類が出品されていた。一つはPCの裏面に挿したボードから、ドライブ部分だけを前面にコードで引き出すタイプで、もう一つは3.5インチベイ用。もちろん、スマートメディア専用なので、CFカードやPCMCIAカードは利用できないし、汎用のPCMCIAカード用ドライブとさほど価格は変わらない。そのため、汎用性という点では、PCMCIAカードの変換アダプター経由のほうが便利だと思うのだが……。

 また、ブースでの話によると、'98年早々にも16MBカードが登場するとか……(対応できる機種があるの?)。

専用ドライブ 専用ドライブ_2


□ハギワラ シスコムのホームページ
(11月28日現在、この製品に関する情報は掲載されていない)
http://www.hscjpn.co.jp/


●アメリカ人は防水が好き?

 今回、会場を巡っていて、やたらに目に付いたのが、防水系のヘビーなノートPCやキーボードたち。なにもそこまでしなくても……というほど過酷でサディスティックなデモは、アピール度満点。なんだか、見ているだけで楽しいが、実際に土木や研究現場では、これくらいのヘビーさが要求されるそうだ。

防水デモ 防水デモ_2
防水デモ_4 防水デモ_3



●おみやげ編

 海外取材に行くと、必ずキーボードなどを購入してくるのだが、今回は良品に巡り会えず、マウスとソフト関係を購入してきた(なお、前回購入したお気に入りのIBMのキーボードは会場で15ドルで売っていたが)。COMDEXのサンズ会場は、最終日の午後ともなると展示品の投げ売り(?)が始まる。といっても、意外に不作で、今回購入してきたのは、10ドルの光学式マウスと6ドルの小型スピーカー、シェアウェアメインのゲームCD(各10ドル弱)のみ。

 また、毎回訪れる市内のPCスーパーマーケットでは、キヤノンの“写真の撮り方”学習用CD-ROM(付属CD-ROMつきで24ドル)、もう日本でも買えるようになったIBM「ScrollPoint Mouse」(58ドル)、電卓つきの、写真を挟めるマウスパット(5ドル)など。後は、家内と子供に、現地ではごく普通に売っている「Tamagochi」(アメリカ版たまごっち、約18ドル)という感じ。今回はちょっと不作だった……。

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('97/11/28)


[Reported by 山田 久美夫]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp