後藤弘茂のWeekly海外ニュース
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Microsoftピンチ! 司法省が提訴 ほか


●Microsoftピンチ! 司法省が提訴

 Microsoftがこれまでにない危機に直面している。米司法省がMicrosoftを連邦地方裁判所に提訴したと発表したのだ。「Microsoft under the gun」(CNETNEWS.COM,10/20)などはすでにこのニュースを特集を組んで大々的に報じている。それによると、司法省は、Microsoftが'95年のWindows 95発売前に、司法省との間で結んだ合意に違反したとしている。ようは、MicrosoftがユーザーにInternet Explorerを組み合わせてライセンスして、その結果、ユーザーがIE以外のブラウザを選択しにくくしたということのようだ。「Justice Department Contends Microsoft Violated Court Order」(10/20,有料サイトhttp://www.wsj.com/から検索)などによると、司法省は1日当たり100万ドルの罰金と、改善要求を出しているという。改善というのは、MicrosoftがPCを買ったユーザーに、IEを使うことが要求されていないと告知して、IEを容易に取り除く方法を教えることを義務づけることだという。これまで、Microsoftは反トラスト法違反の疑いで、司法省やその他の機関から何度も調査を受けてきた。しかし、今回のように直接そうした政府機関から提訴されたことはなかったので、これはかなりの打撃だろう。

 しかし、この発表後のMicrosoftの株価は、今のところは若干上がっている(Netscape Communicationsの株価は急騰している)ようだ。これはちょうどMicrosoftの決算がウォールストリートの予測とほぼマッチするという観測が発表されたのと重なったこともあるらしいが、それでも今回の提訴はMicrosoftを揺るがすほどの重大事とは受け止められていないと見られる。それは、司法省の要求の内容が、金額はともかくとして比較的穏健で、違反も'95年の合意に対するものと、限定しているからだろう。しかし、これでOSにIEを完全にインテグレートするという、MicrosoftのWindows 98/Windows NT 5.0戦略に暗雲が漂い始めたのも確かだ。

 また、この提訴で、一気に反Microsoft機運が盛り上がって、世論が動き始めるというのも、Microsoftにとっては悪夢のシナリオだろう。ただでさえ、かつてないほど反Microsoft連合がJavaを中心に結束を固めつつあり、そのJavaではSun Microsystemsとの火種を抱え、さらに政治的に大きな影響力を持つラルフ・ネーダー氏までMicrosoftをやり玉に挙げようとしているまさにそのときだ。さて、Microsoftはどうやってこの危機を乗り切るのか。


●Windows 95にOSR2.5が登場か?

 「Windows 95.5 On The Way」(COMPUTER RESELLER NEWS,10/17)によると、Microsoftはいよいよ次のOSRを用意しているらしい。年末か'98年頭に「OSR 2.5」というのが登場するそうで、これは現行のWindows 95(OSR2.1)にInternet Explorer(IE)4.0をプラスしたようなものになるらしい。結局、Windows 98出荷が'98年6月まで延びてしまったのだから、これも当然か?


●MicrosoftがCATV市場にまたまた大型投資?

 また、The Wall Street Journalがスクープを飛ばした。「Microsoft's Talks With TCI」(10/16,有料サイトhttp://www.wsj.com/から検索)によると、MicrosoftはCATVオペレータ最大手のTCIに(Tele-Communications Inc.)、10億ドルの投資をする交渉を行なっているという。Microsoftはすでにこの業界のトップ企業のひとつComcastへも10億ドルの投資を発表しており、この報道が本当だとすれば、CATV業界に猛烈な札束攻勢をかけていることになる。これまでにも何度か、Microsoftが、WebTVの技術をベースにした次世代のインタラクティブTV用STB(セットトップボックス、TVに接続する機器)をCATV会社に提供しようと交渉しているというニュースが流れている。となると、投資はMicrosoft仕様のSTB採用の圧力では、と勘ぐりたくなるわけだが、やはり記事の中でも、そうした観測が取り上げられている。

 では、Microsoftの狙いが、CATVのSTBだとしたら、そのゴールは何か?

これに関して簡潔にまとめているのは「Why Bill Gates Wants to Give You a Cable Modem」(ZDNet AnchorDesk,10/17)だ。このコラムでは、現在インターネットTV(STBも含む)がうまく行っていないのは(1)帯域が足りないことと(2)スタンダードがないことだと指摘。そして、CATV会社への投資は、その問題を解決してインターネットTV市場のコントロールを握ることだと分析している。つまり、ケーブルモデムをビルトインすることでCATV網の広い帯域を利用できるようにし、TCIなどのオペレーティング会社がMicrosoftの仕様を推奨することでスタンダードの問題を解決するというわけ。そうすることで、PC市場と同じようにインターネットTV市場を握り、コンテンツやソフト開発のプラットフォームを支配しようとしているという。だんだん、すごい展開になってきた。


●Microsoftがサーチエンジンを'98年に

 Microsoftが、米Inktomi社と提携、'98年にサーチエンジンサービスを提供するというニュースも流れてきた。「Microsoft Adds Search Functions To Free Part of On-Line Service」(10/20,有料サイトhttp://www.wsj.com/から検索)によると、MSNの無料サービスの一部として提供するのだそうだ。Microsoftのサーチエンジンに関しては、「Yukon」というのを自社開発しているという報道が何回か流れたが、そのプロジェクトが存在したとしてもこれで流れたことになる。


●コード名はゴジラとガメラ

 Microsoftは先週、次世代Windows CEデバイスに関してもパートナー企業と発表を行なった。面白いのはそのコード名で、「Second-generation WinCE devices emerge」(InfoWorld,10/13)によると、NECのWindows CE 2.0マシンのコード名は「ゴジラ」と「ガメラ」なのだそうだ。なんでもカラー版がゴジラ、モノクロ版がガメラだそうで、これはガメラファンが聞いたらちょっとむっとくるかも知れない。


●IE 4.0にまたセキュリティホール

 先週は、またまたInternet Explorer(IE)4.0のセキュリティホールの話題がネットを賑わした。「How serious is the IE 4.0 flaw?」Microsoft downplays claims by German researchers(San Jose Mercury News,10/16)などで報道されているが、今回はドイツの雑誌に指摘されたものだ。「Microsoft patches security hole found in IE 4.0」などによると,Microsoftは、例によってすぐにパッチをWebにアップしたそうだが、この手のIEやWindows NTのセキュリティホール報道は、頻繁すぎてもう珍しくもなんともなくなってしまった。この問題で、不安をあおっているポイントは、セキュリティホール対策がほとんどモグラ叩きのように、出たら叩くという状態になってしまっている(あるいはそういう印象を与えてしまっている)ことだろう。たとえ、そのモグラ一匹一匹がそれほどシリアスでなかったとしても、モグラがぞろぞろ出てくるということ自体が、不安なのだ。


●HPはコンシューマ向けの情報家電に進出か?

 PCサーバー業界は、'97年の年末から'98年前半にかけて、8CPU構成のSMPサーバーラッシュになるらしい。「HP To Release Eight-Way Multiprocessor System」(COMPUTER RESELLER NEWS,10/15)によると、米Hewlett Packerd社が8 CPU Pentium Proサーバーを12月に出荷して第1陣になるそうだ。かと思うと、HPはコンシューマ市場にも意欲があるらしい。「Hewlett-Packard eyes PC appliance market」(Computer RetailWeek,10/13)によると、HPはコンシューマ向け製品を開発する「The Advanced Appliance Design Center(AADC)」という部門を作ったという。そして、その、ヘッドに座ったのはAppleのAdvanced Technology GroupのヘッドだったDon Norman氏だとか。


●'98年半ばにはPentium IIが50%に

 先週はMPU業界のカンファレンス「Microprocesor Forum 1997」のおかげでMPUの話題があふれた週だった。ほとんどはすでにPC WATCHのニュースで報じられているが、Pentium IIの生産量に関する面白い報道があったので紹介しよう。「Intel Ramps Up Pentium II Production」(COMPUTER RESELLER NEWS,10/14)によると、Intelは年末までにPentium IIの出荷を全体の25%にまで増やし、'98年半ばにさらに50%にすると明らかにしたらしい。'98年中盤には、いよいよPentium IIとMMX Pentiumが交代するというわけ。また、'98年早期にはPentium Proベースのシステム向けのPentium IIへのアップグレードチップも登場するとか。


●Sunblock作戦

 先週はまた、Sun対MicrosoftのJava戦争のニュースも相変わらず多かった。面白かったのは「OPERATION SUNBLOCK: MICROSOFT GOES TO WAR」(Businessweek)で、MicrosoftはJavaだけでなく、UNIXサーバーやワークステーションというSun Microsystemsのもっとも収益の多い市場も狙っているという。そのために、7月からSunの顧客をWindows NTに誘導する「Operation Sunblock」というキャンペーンを開始しているそうだ。このOperation Sunblockは、7月ごろも少しニュースになったが、Microsoftはかなり本気でやっているらしい。こういう流れを見ていると、この2社が戦争になるのも当然という気がする。

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('97/10/21)

[Reported by 後藤 弘茂]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp