パソコンの使い道一昔前、パソコンでテレビを見るテレパソなんてのが流行ったけど、最近のオールインワンモデルにはほとんどテレビ機能が搭載されなくなってしまった。その理由にはいろんな説があるようだけど、「結局、あまりテレビは見なかった」という説が有力らしい。 個人的には原稿書いたり、ネットサーフィンするだけがパソコンの使い道じゃないと考えてるんで、結構、テレビやラジオの機能をパソコンに取り込んだものも好きだったりする。特に、前回、一ヶ谷兼乃講師が紹介してた文字放送なんて、一時期、結構ハマって見てた記憶がある。ただ、ボクが住んでいるところは電波状態があまり良くなく、文字が復元されないことがあったため、最近はほとんど見てない。でも、受信ソフトもかなり充実してきたみたいだから、文字放送カードでも買って、また見てみようかなぁ(そう言えば、某編集長も同じようなことを言ってたような……)。 さて、今回紹介するのはDVDだ。パソコンでのDVD再生は、Windows98で正式にサポートされることになっているけど、すでに独自に対応させている製品もいくつかある。なかにはNECのCEREBや東芝のVision Connect、松下電器産業のWOODY CF-200DVのように、パソコン本体に組み込んで販売している製品も増えている。 今回はメルコが販売する『DVU-K10FB』というDVD-ROMドライブセットを入手したので、早速、テスト用マシンに組み込み、試してみることにした。
なぜDVD-ROMドライブかさて、製品を紹介する前に、なぜDVD-ROMドライブなのかという点について説明しておきたい。DVDそのものの良さや特長に関しては、すでに雑誌などで多く紹介されているので、ここでは省略する。
今のところ、洋画ではWarner Brothersのものしか販売されていないが、MGMなども今秋からタイトルを発売することを決めており、秋から冬へ向けて、DVDの洋画タイトルが一気に増えそうな気配だ。この件に関する情報は「Time Warner, MGM tolaunch DVDs」(CNET NEWS.COM,7/8)に書かれている。 一方、国内に目を移すと、アダルトから企画モノまでいろいろなタイトルが発売されているが、現時点では『新世紀エヴァンゲリオン』(ガイナックス)のテレビシリーズが注目の的。個人的にはあまり興味ないけど(笑)、発売がアナウンスされるや否やDVDプレーヤーを買いに走った人もいるんだとか。
MPEG2デコーダーカードとドライブ
では、今回入手したDVU-K10Bという製品について紹介しよう。この製品はパイオニア製のDVD-ROMドライブとアメリカのQuadrant社製のDVDカードで構成されているもので、標準小売価格は10万8000円とかなり高い。ただ、実売価格は7万円強まで落ちてきており、そろそろ買い時という見方もできる。 DVD-ROMドライブはDVD VideoやDVD-ROMが楽しめるほか、10倍速CD-ROMドライブとしても利用できるため、音楽CDやCD-ROMタイトルの再生もできる。CD-Rのメディアは読めないが、CD-Rを使うときは他のCD-ROMドライブなどを利用(個人的にはPDで十分と考えている)すればいいだけだ。 一方、DVDカードというか、MPEG2デコーダカードはPCIバスに装着するもので、IRQをひとつ消費する。実はメインで利用しているPC/AT互換機に内蔵することも考えたのだが、SCSIオンリーの構成になっている上、すでにIRQの残りも少ないため、E-IDEのみで構成しているテスト機(コンパック Prolinea5133)に装着することにした。個人的にはやっぱりSCSI用DVD-ROMドライブが欲しいところ。どっかで売ってないもんですかねぇ。 ちなみに、このDVDカードはビデオ出力端子、S映像出力端子、Dolby AC-3出力端子なども備えている。家庭用テレビやDolby AC-3対応AVアンプなどに接続し、DVDタイトルを楽しむことができるというわけだ。もっとも、そこまでやるのなら、市販のDVDプレーヤーを購入した方がいいという説もあるんだけど……。
ひょっとして家電DVDプレーヤーより操作しやすい?パッケージにはDVDカード用ドライバの他に、CineMasterというDVD再生プレーヤーソフトが含まれている。一見、非常にシンプルなものだが、実は家電DVDプレーヤー並みの機能が含まれており、なかなか使いやすい。まず、DVDタイトルの再生などを制御するために、コンパクトなミニコントローラ、ビデオデッキのようなビデオコントローラ、これをさらに拡張したナビゲーションコントローラの3つが用意される。
また、DVDコントロールという画面では、字幕や音声にどの言語を優先するか、画面のサイズはどうするかなども設定することができる。このあたりはWindows用らしいユーティリティなので、ある意味では家電DVDプレーヤーよりも慣れているから使いやすいという見方もできる。 ところで、すでにDVDタイトルをご覧になったことのある人ならご存じだろうが、DVDタイトルにはメニュー画面が存在する。キャストやスタッフ、関連作品の紹介、字幕や音声の切り換えなどを設定するための画面だ。この画面を操作するために、ほとんどの家電DVDプレーヤーのリモコンには、カーソルキーのようなデバイスがついている。ところが、こちらはWindows用なので、いつものようにマウスでひょいひょいと操作するだけ。今更ながらマウスというデバイスの良さを再認識してしまった。ま、ただ単に手に馴染んでるだけって話もあるんだけど(笑)。
画質はどう?この製品を入手する以前、実は我が家では前々から狙っていたパイオニアのDVD/LDコンパチブルプレーヤー『DVL-9』を購入している。すでに、いくつかの洋画タイトルをDVDで見てみたのだが、タイトルによって若干の差はあるものの、DVDの画質の良さに改めて驚かされた。確かに、LDもビデオなどに較べると高画質だが、私の目にはDVDはそれを何枚も上回るほどクオリティが高い。LDのときににじんでいた画面が、DVDではスッキリクッキリ表示されるのだ。
では、パソコン上で実現されるDVD環境では、どの程度の画質が実感できるのだろうか。非常に気になるところだ。まず、パソコン上で実現される動画再生環境として見た場合、現時点では最も高品質と言っても差し支えないだろう。少なくともTVチューナーカードでビデオや地上波放送を見ているよりは確実にいい(当たり前だけど)。ただ、画面の切り換えなどのタイミングによっては、若干チラつくことがある。これがハードウェア的なものなのか、ドライバレベルのものなのかはわからないが……。 一方、DVL-9などの家電DVDプレーヤーと較べた場合だが、これはさすがに勝ち目がない。ただ、それは動画を見ているときであって、画面を止めてしまうと、意外にパソコンDVDがきれいなことに気づく。ディスプレイの走査方式(インターレース、ノンインターレース)あたりが関係しているのかな? 何はともあれ、パソコンの使い道がもうひとつ増えることはたしか。マジで映画みたいときは家電DVDなんだろうけど、とりあえず、流しておきたい的なBGVならパソコンDVDもなかなか面白い。 しかし、考えてみれば、パソコンで見るにしろ、家電DVDプレーヤーで見るにしろ、DVDってメディアがコンパクトなのが意外にうれしい。あのサイズで映画が1本見られるんだから、やっぱり大容量なのねって感心してしまう。そういや、パイオニアが販売してるカーナビゲーションシステムはCD-ROMだと全国をカバーするのに6~7枚のメディアが必要だったけど、今度のDVD-ROM搭載モデルでは全国規模を1枚に収録しちゃったんだとか。やっぱ、大容量ってのはいいもんです、ハイ。
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