リレーエッセイ「モバイル人集合!」第1回 ゲスト:本田雅一

世界を巡り巡ってモジュラを探す

 ところで、ぼくのファミレス以外でのモバイル実践の場を紹介しておこう。
 製品発表会やカンファレンスなどでは、もちろんノートPCを持ち込んでその場でメモを取るという使い方はしている。この時ばかりは、紙でメモを取る方が有益なこと(たとえば図を書くとか走り書くとか)が多いのだけど、後から編集し、記事として仕上げる場合には、テキストデータとして入力しておいたほうがずっと時間を節約できるからだ。
 まぁ、これは僕が記者の真似事をしているからなんだけど、普通の人でも同じように運用すれば便利なことは少なくないと思う。まとめた文書にして掲示板に入れるとか、誰かにメールを送るとか、インターネットを使いこなしてくると、デジタルでさまざまなデータが存在したほうが便利なことが多いと思う。

 海外取材でも同じこと。なにしろ、ショウの最中に逐次記事を送れっていうんだから、毎晩原稿を書いて送信する体制を整えておく必要がある。ノートPCは必須だ。ところで、海外でインターネットにアクセスするためには、準備しておくことがいくつかある。
 まず、(当たり前だけど)海外で利用できるインターネットサービスプロバイダに加入すること。日本と海外の両方で同じプロバイダを利用する場合、選択肢はmsnとIBMインターネット接続(IGN)、PSIジャパンなどいくつかの選択肢がある。今のところ、IGNが料金が安くて済むので、僕はIGNを利用している。個人的には使ったことがないのだけど、IGNだとヨーロッパのアクセスポイントも多いようで、世界中に出張する機会があるなら、IGNがもっとも良い選択肢だろう。専用のダイヤラーも配布されているので、加入および接続は初心者にも簡単だ。

 もうひとつは、可能なら出張先などで利用するホテルがデータ通信可能かどうかを確認しておくことだ。日本とアメリカは、いずれも同じ形のモジュラジャックを採用しているし、ほとんどの場合はホテルの電話がモジュラジャックで接続されている。しかし、だからと言って安心してはいられない。交換機の具合かどうかはわからないが、通信を行える部屋とそうでない部屋があるようなのだ。以前に、幕張プリンスホテルでそう言われ、変わる部屋もなく部屋からの通信を断念したことがある。
 まぁしかし、モジュラジャックが簡単に見つかればまだ幸せだ。電話機側は直付け、壁の方は建て付け家具の裏に隠れて見えなかったということもあった。電話機の方が直付けなので、てっきりモジュラじゃないと思い、部屋を変えてもらう交渉をしたのだが、そのホテルはモジュラジャックの付いている部屋がたったの10部屋ということで、変えてもらうこともできない。結局、家具の引き出しを取ってみたら、その奥にモジュラジャックが見えてきた。

 あと、ヨーロッパなんかだと、モジュラジャックの形が違う場合も少なくはない。すべての国を知っている訳ではないけれど、イギリスなんかは日本とは全然違う形だ。いくらケーブルや二股の変換機を持っていっても、何の役にも立ってくれない。
 たいへんだよねぇ……って? チッチッチッ! アマイ、アマイ。そもそも、モジュラジャックがあるだけ幸せなんだ。安いスキー宿なんかに行けば、モジュラジャックなんてある方が珍しい。そんな時にはワニ口クリップとドライバーが登場する……らしい。
 ん? なんで「らしい」かって? さすがにそこまでは僕はやっていない。スキーに行くときにはメールを見ないようにしているからね。でも、祥平さんはいつでもどこでもメールを見ている。海外にバカンスに出かける時だってそうみたいだ。だから、ワニ口クリップとドライバは必須アイテムだとか。次回にぜひ経験談を語ってもらいたいなぁ……(ねぇ、祥平さん)

 ま、いろいろ苦労が多い海外からのモバイル通信だけど、一番いいのは通信しやすいホテルを選ぶことだと思う。用意するアイテムやノウハウは、何度か経験していくうちに理解できてくる。でも、どうしようもない状況を作らなければ、そんなに苦労はしなくてもいい。
 たとえば、サンノゼにあるヒルトンホテルは、1部屋に2回線が引かれていて、通信しているときでも話し中にはならない。米国の電話代はローカルコールなら時間に関わらず一定の料金だから、地元の固定料金プロバイダー(ほとんどのプロバイダーが19.95ドル固定)に加入しておけば、一日中つなぎっぱなしにしていてもいい。
 また、オーランドのディズニーワールドにあるホテルドルフィンは1回線だけだけど、電話機にモデム用のコネクタが付いていて、しかもローカルコールは完全に無料だ。何回接続しても、通信料金はかからない。

 このように、自分がよく行くところがあるなら、宿泊したホテルの通信環境をチェックしておき、通信しやすいホテルをあらかじめ手配できるように努力してみる。備えあれば憂いなしってこと。  あ、そろそろ時間がなくなってきたな。では、次回は山田祥平師匠にバトンタッチ。もしもし、祥平さ~ん!あれ? いないなぁ、しょうがない。メールしておこう。

(NorthWest Airline B747 & Walt Disney World Hotel Dolphine & 自宅にて)


 

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