ハイエンドビデオカード対決!
〜RADEON 8500 対 GeForce3 Ti500



 NVIDIA、ATI TechnologiesというPCのグラフィックスチップ市場をリードする2大メーカーは、8月〜10月に相次いで新チップをリリースした。

 NVIDIAはGeForce3 Ti500という従来製品であるGeForce3の高クロック版をリリースしたのに対して、ATIはR200のコードネームで知られてきた第2世代RADEONとでも言うべきRADEON 8500をリリース。すでに秋葉原でも販売が開始されており、両製品とも大きな注目を集めている。

GeForce3 Ti500 RADEON 8500



●GeForce3の高クロック版となるGeForce3 Ti500

 NVIDIAのGeForce3 Ti500は、2月に発表されたGeForce3の高クロック版で、従来であれば“Ultra”という製品名がつけられていたハイエンド版ということになる。

GeForce3のコアクロック

 既存のGeForce3がコアクロック200MHz、ビデオメモリのクロックが460MHz(230MHzのダブルデータレート)となっていたのに対して、GeForce3 Ti500はコアクロックが240MHz、ビデオメモリのクロックが500MHzとなっている。これにより、3Dチップの処理能力の指標の1つとなるフィルレートは、GeForce3が3.2億AAサンプル/secであったのに対して、Ti500では3.8億AAサンプル/secに向上し、ビデオメモリの帯域幅はGeForce3の7.36GB/secからTi500では8GB/secに向上している。つまり、PCで言えばCPUのクロックがあがり、メインメモリの帯域幅が向上したことになり、ビデオサブシステム全体での性能向上を期待できる訳だ。

 これ以外の部分は、ほぼGeForce3と同等と考えてよい。ハードウェアT&Lエンジンを備え、レンダリングエンジンは4パイプライン、2テクスチャユニットという構成を取り、メモリバスは128bitのDDR SDRAMと変更はない。DirectX 8でサポートされているプログラム可能なバーテックス(頂点)シェーダー、ピクセルシェーダーの機能を備えており、3Dプログラマはこれらの機能を利用してよりリアルな3Dシーンの表現を行なえる点も、GeForce3とほぼ同じだが、いくつかの新機能も追加されている。

 追加された新しい機能は“shadow buffer”と“3D textures”だ。shadow bufferは、米国のコロンビアピクチャーズが劇場版Final FantasyのCG作成にも利用したテクニック。これまでハイエンドビデオチップにのみ搭載されてきたもので、よりリアルな陰を表現するために利用される。

 3D texturesはテクスチャの情報を3Dオブジェクトの内部にも持たせて、3Dゲームなどにおいて3Dオブジェクトの内部を表現する際などにもテクスチャを貼り付けてよりリアルな表現を可能にする技術だ。

 この2点をのぞけば、GeForce3 Ti500はほぼGeForce3の高クロック版とイコールだと考えてよい。このため、CPUでいえばPentium III 600MHz+Intel 815E+PC100 SDRAMという構成が、Pentium III 1.0B GHz+Intel 815E+PC133 SDRAMという構成にアップグレードされたようなものだと考えることができるだろう。

【GeForce】
  GeForce3 Ti500GeForce3
コアトランジスタ数5,700万5,700万
製造プロセスルール0.15μm0.15μm
コアクロック240MHz200MHz
レンダリングパイプライン44
テクスチャユニット22
メモリメモリクロック500MHz460MHz
メモリバス128bit128bit
メモリの種類DDR SDRAMDDR SDRAM
メモリ帯域幅8GB/sec7.36GB/sec
メモリ帯域幅の効率利用Lightspeed Memory ArchitectureLightspeed Memory Architecture
DirectX 8の機能プログラマブルバーテックスシェーダ
プログラマブルピクセルシェーダ


●大きなアーキテクチャの改良が行なわれたATI TechnologiesのRADEON 8500

 R200のコードネームで呼ばれてきたRADEON 8500は、従来のRADEONチップから大きなアーキテクチャ上の改良が加えられている。

RADEON 8500のコアクロック

 チップのハードウェア的な変更としては、レンダリングエンジンの構成が変更されている。従来のRADEONファミリーではレンダリングパイプラインが2つ、パイプラインあたりのテクスチャユニットが3つという構成になっていたが、RADEON 8500では、パイプラインは4つに増やされ、テクスチャユニットは2つに減らされている。つまり、レンダリングエンジンの構成はGeForce3に近い構成になったというわけだ。ただし、各パイプラインは1パスにおいて6テクスチャを同時に処理することが可能になっている(GeForce3ファミリーは4テクスチャ)。このため、最大フィルレートは32bitカラーモード時で2.2Gテクセル/secと、初代RADEONの倍となっている。

 さらに、ハードウェアT&LエンジンのCHARISMA ENGINEもCHARISMA ENGINE IIへバージョンアップされており、ピーク時の性能が6,900万Triangle/secと、従来のRADEONファミリーに比べて強化されている。また、Zバッファーを圧縮することにより、ビデオメモリの帯域幅を有効活用できるようになるHYPER Zテクノロジも進化し、HYPER Z IIという名称が与えられている。HYPER Z IIはZバッファ圧縮時の効率化などによりメモリ帯域の消費を抑えることが可能になり、ピーク時性能で11GB/secの実行レートを実現する。

 これらのグラフィックスチップのハードウェア的な改良により、RADEON 8500ではいくつかの新機能が搭載されている。その代表といえるのが、SMARTSHADERだ。SMARTSHADERとは、GeForce3にも搭載されており、DirectX 8で実現されているプログラム可能なバーテックスシェーダーとピクセルシェーダーの機能が実装されたもので、これまでCPU側で描画させていたこれらの頂点処理などがグラフィックスチップ側でできるようになる。これにより、たとえば水面の処理などがこれまでよりもリアルに表現できるようになる。

 このバーテックスシェーダーとピクセルシェーダの機能に対応していなかった点がNVIDIAに対する弱点となっていただけに、ようやっと追いついたという言い方が正しいかもしれない。しかし、追いついただけではなく、追い越している部分もある。RADEON 8500のSMARTSHADERはDirectX 8.1でサポートされているバージョン1.4のピクセルシェーダに対応している。バージョン1.4のピクセルシェーダは扱えるテクスチャの数が増え、さらに命令数も増えるなどDirectX 8のバージョン1.0〜1.3までと比較して拡張されている。このように、RADEON 8500は、CPUでいえばハードウェア、命令アーキテクチャの両方が変更になった、つまりPentium IIIがPentium 4に置き換わったようなもので、大きな拡張が行なわれていると考えていいだろう。

 なお、RADEON 8500にはコアクロック/メモリクロックが275MHzとなっているRADEON 8500と、コアクロック/メモリクロックが250MHzとなっているRADEON 8500LE版の2ラインナップが用意されている。2つの違いは純粋にクロックであり、アーキテクチャ上の違いはないと考えてよい。ATIがRADEON 8500LEを発表する前に、RADEON 8500LEがRADEON 8500として発売されていた例もあるので、高クロック版のRADEON 8500がほしい場合は、購入時にLEではないことを確認するといいだろう。

【RADEON】
  RADEON 8500RADEON 8500LE
コアトランジスタ数6,000万6,000万
製造プロセスルール0.15μm0.15μm
コアクロック275MHz250MHz
レンダリングパイプライン44
テクスチャユニット22
メモリメモリクロック550MHz500MHz
メモリバス128bit128bit
メモリの種類DDR SDRAMDDR SDRAM
メモリ帯域幅8.8GB/sec8GB/sec
メモリ帯域幅の効率利用Hyper Z IIHyper Z II
DirectX 8の機能プログラマブルバーテックスシェーダ
プログラマブルピクセルシェーダ


●RADEON 8500は最新ドライバを導入することで高い描画能力を発揮

 今回は最新のGeForce3 Ti500を搭載したビデオカードとしてLeadtekの“WinFast Titanium 500 TD”、RADEON 8500、RADEON 8500LEを搭載したATI Technologiesのビデオカード、さらには比較対象としてGeForce3を搭載したPROLINKのMVGA-NVG20Aの4製品を用意し、ベンチマークテストを行なった。テスト環境は表の通りだ。

 テストに使用したのは、MadOnion.comの3DMark2001と3DMark2000、さらにid SoftwareのQuake III Arena(Demo1利用)の3つだ。それぞれ、DirectX 8、DirectX 7、OpenGLに対応したベンチマークで、それぞれのAPIに対応したゲームなどにおける3D描画能力を確認することができる。

【3DMark2001】
640×480/32bit Compress 8,578
8,231
9,396
9,160
800×600/32bit Compress 8,141
7,711
8,732
8,412
1,024×768/32bit Compress 7,443
6,844
7,816
7,428
1,280×1,024/32bit Compress 6,279
5,572
6,543
6,148
1,600×1,200/32bit Compress 5,050
4,437
5,233
4,846
GeForce3 Ti500
GeForce3
ATI RADEON 8500
ATI RADEON 8500 LE

【3DMark2000】
640×480/32bit 9,813
9,654
9,277
9,346
800×600/32bit 9,355
9,162
8,844
8,951
1,024×768/32bit 8,796
8,460
8,282
8,323
1,280×1,024/32bit 7,345
6,674
7,194
6,824
1,600×1,200/32bit 5,800
5,118
5,670
5,257
GeForce3 Ti500
GeForce3
ATI RADEON 8500
ATI RADEON 8500 LE

【Quake III Arena】
640×480/32bit 206
203
193
191
800×600/32bit 203
197
191
190
1,024×768/32bit 182
167
177
171
1,280×1,024/32bit 137
119
138
127
1,600×1,200/32bit 099
095
098
089
GeForce3 Ti500
GeForce3
ATI RADEON 8500
ATI RADEON 8500 LE

 まず、DirectX 8におけるパフォーマンスを計測する3DMark2001では、RADEON 8500がGeForce3 Ti500を上回った。たとえば、1,024×768ドット/32bitカラーではRADEON 8500が7,816であったのに対して、GeForce3 Ti500は7,443となっており、RADEON 8500のDirectX 8環境におけるアドバンテージを確認することができた。しかし、こうしたスコアを記録するためには、11月13日に公開された最新ドライバ(6.13.10.3286)をインストールする必要があった。ATIのサイトで公開されている、正式版のWindows XPドライバ(6.13.3276)では、7,391と、GeForce3 Ti500を下回るスコアしか残せなかった。このため、DirectX 8においてハイスコアを残したい場合には、最新版のドライバにしておいたほうが良さそうだ(なお、GeForce3 Ti500のドライバには最新のDetonator XP v21.83を利用した)。

 しかし、逆にDirectX 7時代のベンチマークである3DMark2000では、GeForce3 Ti500がRADEON 8500を上回った。さらに、OpenGLのAPIを利用したQuake III ArenaでもGeForce3 Ti500がRADEON 8500を上回って見せた。こうしたことからも、DirectX 8環境においてはRADEON 8500が優位、それ以外の環境においてはGeForce3 Ti500が優位という傾向を見て取ることができるだろう。


●DirectX 8対応アプリケーションで高い性能を発揮するRADEON 8500

 以上のように、RADEON 8500はDirectX 8環境においてGeForce3 Ti500を上回った。DirectX 8環境においてはRADEON 8500が最強であるといっていいだろう。

 現時点ではDirectX 8に最適化されたゲームというのはさほど多くはないが、DirectX 8自体も投入されてからかなりの時間が経過し、今後は対応ゲームも増えていくはずであり、ヘビーゲーマーにはおすすめといっていいだろう。また、前述のようにRADEON 8500には、コア/メモリが250MHz動作となっている廉価版のRADEON 8500LEが用意されており、RADEON 8500が4万円強の価格設定となっているのに対して、RADEON 8500LEは3万円を切る価格設定となっている。ベンチマーク結果を見てわかるように、スコアは差はあまり大きくないので、コストパフォーマンスを重視する場合には、RADEON 8500LEを搭載したカードをねらうのがおすすめといえるだろう。

 GeForce3 Ti500もDirectX 7やOpenGLといった現在リリースされているゲームの多くが利用しているAPIでRADEON 8500を上回っており、過去からの継承という意味ではバランスに優れた選択であるといえる。ATIがチップを外販するようになったといっても、コア275MHzという最高クロックの製品はATIブランドのみとなっているのに対して、GeForce3 Ti500を搭載したカードは多くのベンダーから発売されている。このような選択肢の豊富さはGeForce3 Ti500の魅力といっていいだろう。各ベンダーは、DVI付き、ビデオキャプチャ機能付きなど様々なタイプのGeForce3 Ti500搭載カードをリリースしており、こうした選択肢の豊富さを重視するのであればGeForce3 Ti500を選択するのがよいだろう。

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【10月20日】GeForceシリーズの強敵?ATIの最新「RADEON 8500」がデビュー
バルク品と謎なリテールパッケージ品、価格は3万円前後
http://www.watch.impress.co.jp/akiba/hotline/20011020/radeon8500.html

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(2001年11月29日)

[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]


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