|
ThinkPad X2xシリーズの完成形!? IBM ThinkPad X22
|
ThinkPad X22。外見はThinkPad X20、X21と変わらない |
日本IBMは、10月24日にThinkPad X2xシリーズの最新版となるThinkPad X22を発表し、本日26日より販売を開始すると明らかにした。
ThinkPad X2xシリーズはB5ファイルサイズに、12.1インチのTFT液晶ディスプレイ、低電圧版モバイルPentium IIIを搭載し、6セルのバッテリで4時間程度のバッテリ駆動を実現したサブノートPCとして人気を集めているが、今回のX22はその最新版となる。
外見こそ、従来モデルと大差ないものの、内部は大幅に改良されており、無線LAN機能が追加されるなど完成度がより高まっている。今回は5モデルのなかから、2662-9DJという無線LAN、Windows 2000のモデルを利用してX22の魅力に迫りたい。
●無線LANと有線LANはどっちも必要
ThinkPad X22は、X20、X21とリリースされてきたThinkPad X2xシリーズの最新版で、その最も大きな特徴は無線LANの機能を内蔵したことだろう。既に、本誌の読者のようなパワーユーザーの家庭の多くには、無線LANのアクセスポイントが導入されているのではないだろうか? 筆者宅も例外ではなく、昨年の末頃に導入して使っている。
無線LANの便利なところは、有線LANの環境があるところからPCをはずして別の部屋に持っていった時でも簡単にネットワークが利用できる点であり、一度使ってしまうと、無線LANがない生活に戻ることができないのは事実だ。
昨年の導入時には、筆者はThinkPad X20をメインマシンとして利用していた。X20には無線LANアダプタは内蔵されていないので、当然、PCカードの無線LANカードで利用していたのだが、これがことのほか、面倒くさい。
X20にはCFスロットがついているので、デジタルカメラの画像などはそちらを利用すればよいのだが、例えばメモリスティックやスマートメディアを読むときには、1つしかないPCカードスロットをあけないといけないので、その度にインスタントメッセンジャーのアプリケーションを落として、メーラーを落として……と常時起動しているインターネットのアプリケーションを落として無線LANカードを終了するという手間を経なければならない。はっきり言って面倒くさい。
また、出かける時に無線LANカードをはずして持っていく訳だが、これを机の上に置き忘れたりして、外出先で無線LANを使える環境にたどり着いた時に悲しい思いをすることになる。
そんな経緯があり、無線LANアダプタを内蔵したThinkPad i Series s30がリリースされた際には狂喜乱舞? して、即購入した。しかし、s30には決定的に足りないものが1つあった。それは有線LANだ。無線LAN使ってるならいいじゃーんという声も聞こえてきそうだが、無線LANを使っていても意外と有線LANを必要とするシーンは少なくない。例えば、大量のデータを転送する時などだ。無線LANは最大伝送速度が11Mbpsで、実効速度はもうすこし遅いと言われている。
また、筆者のMy Documentsフォルダは、取材の際に入手したドキュメント、さらには取材の際に撮影した画像データなどで実に15GBに達している。最近では危険なウィルスなども流行しているため、バックアップをしておきたいところだが、無線LAN経由でバックアップしていると膨大な時間がかかる。有線LANが利用可能な環境では、高速な有線LANを使いたい。
最近では取材時に利用するホテルなどにも、各部屋に有線LANのポートが用意されていて、1日1,000円程度で利用できるホテルが増えてきている。そうしたホテルでも、残念ながら無線LANのアクセスポイントを用意しているところはまれである。だったら、PCカードにすればいいじゃん! という声が聞こえてきそうだが、上記の無線LAN用PCカードの時と同じで、他のPCカードを使うたびに取り外すのは面倒くさいし、なによりもすぐ無くしてしまう。
非常に長い前置きになってしまったが、こうした事情から、「無線LANは確かに便利だ、でも有線LANも絶対に必要だ、両方とも内蔵されているのが最も望ましい」というのが、筆者の個人的な結論だ。だから、既に有線LANを内蔵しているX20に無線LANが入らないものかと期待していた。それが実現してくれたのが、今回のX22なのだ。
●無線LANが内蔵できたのはIntel 830MPチップセットのおかげ
さて、無線LANを内蔵したことは既につらつらと述べてきたが、X22は従来のX20、X21と比べて外見上はほとんど変化がない。液晶は従来モデルと変わらず12.1インチのTFT液晶だし、キーボードはThinkPadシリーズの伝統と言える7列配列で、ボリュームボタンの横にある「X22」というモデル表示が無ければ、X20、X21と区別するのは難しいだろう。
しかしながら、内部は大幅な改良が行なわれている。従来のX20、X21では低電圧版モバイルPentium III 600MHz(X20)、700MHz(X21)が採用されていたが、X22では低電圧版モバイルPentium III-M 800MHzに変更されている。
低電圧版モバイルPentium III-M 800MHzは、Tualatinのコードネームで呼ばれていた、製造プロセスルールが0.13μmのPentium IIIで、L2キャッシュが従来型のモバイルPentium IIIの倍となる512KBが搭載されているのが特徴となっている。また、エンハンストSpeedStepテクノロジと呼ばれる拡張版のSpeedStepに対応しており、従来のSpeedStepにはなかった「自動モード」が追加され、バッテリ駆動時に、CPU負荷率に応じてCPUのクロックを可変することが可能になっている。なお、低電圧版モバイルPentium III-M 800MHzは、800MHz/1.15Vと533MHz/1.05Vの間で切り替わるようになっている。
CPUがTualatinベースのモバイルPentium III-Mに変更されたのに併せて、チップセットもIntel 440ZX AGPsetからIntel 830MPに変更されている。Intel 830MPはグラフィックスを統合した統合型チップセットであるIntel 830Mから、内蔵グラフィックスを無効にしたバージョンで、133MHzのシステムバス、AGP 4X、133MHzのメモリ(PC133 SDRAM)をサポートする、モバイル向けとしては最新スペックの製品だ。
実はこのIntel 830MPを採用したことこそ、無線LAN搭載の原動力となっている。
Intel 830MPはサウスブリッジであるICH3(FW82801CA)が、Ethernetコントローラを内蔵しており、PCメーカーは非常に小さな物理層のチップ(PHY)を搭載するだけで、Ethernetポートを用意することができる。さらに、AC'97のコントローラも内蔵しているので、モデムもモデムコーデックを搭載すればよく、モデムチップは必要ない。
従来のX20では、Mini PCIのスロットにEthernetとモデムのコンボカードを装着していたのだが、X22ではIntel 830MPチップセットを採用したことにより、マザーボード上にEthernetの物理層チップとモデムコーデックを搭載している。そのため、Mini PCIにEthernet、モデムのコントローラチップを搭載する必要が無くなり、その空いたMini PCIのスロットに無線LANモジュールを搭載しているというわけだ。
なお、搭載されている無線LANのモジュールはActiontec ElectronicsのMini PCIカードで、IEEE 802.11bに準拠しており11Mbpsで通信することが可能になっている。Wi-Fiの認定を取得しており、Wi-Fiに対応した無線LAN製品群と通信することが可能になっている。暗号化は60bit(40bit互換)と128bitに対応している。
また、X20、X21では省略されていたIEEE 1394ポート(4ピン)と赤外線通信ポート(IrDA1.1互換)も搭載されている。このように、X22は、X20、X21では無かったポートがすべて用意されており、某ラーメン屋ではないが、“全部入り”X2xとなっているのだ。
PCカードスロットの横についたIEEE 1394ポートと赤外線通信ポート | 背面。X20とはUSBポートの位置が異なっているが、用意されているポートは全く同じ | 右側面。USBポートと廃熱用の穴が用意されている |
キーボードをはずしたところ。左からMini PCIモジュール、チップセットのノースブリッジ、CPUと放熱機構 | チップセットとなるIntel 830MPのノースブリッジ |
CPUとなる低電圧版モバイルPentium III-M 800MHz。上にはヒートパイプ入りのヒートシンクがついており、ファンへ熱を伝導する仕組みとなっている | X20とX22のマザーボードの比較。左がX22で、右がX20。マザーボードがまったく異なる設計になっているのがわかる |
●3Dグラフィックス性能は圧倒的なのびを見せる
CPUの低電圧版モバイルPentium III-M 800MHzはシステムバスのクロックが133MHzになっており、メモリバスのクロックも133MHzとなる。このため、メインメモリの増設にはPC133 SDRAMのSO-DIMMを利用する必要がある。
フォームファクタは通常の144ピンのSO-DIMMだが、これまでのX20、X21で利用できたPC100 SDRAMの144ピンSO-DIMMは利用できないので注意したい。なお、メモリスロットは標準で1スロット空いており、512MBのSO-DIMMを利用すれば最大で640MBまで増設可能だ。ウルトラポータブルのノートパソコンとしては十分だといってよいだろう。
メモリに関しては不満はないのだが、ハードディスクの容量に関してはやや不満が残る。
今回レビューしている2662-9DJは、ハードディスクの容量が20GBとなっている。X22では9.5mm厚の2.5インチハードディスクが利用できるため、IBMがリリースしているIC25N030ATDA04などを利用して、30GBとすることも可能だったはずだ。
ライバルと目される、ソニーのPCG-SRX7(同じ低電圧版Pentium III-M 800MHz、有線LAN、無線LANの両方を搭載)が30GBを搭載していることを考えるとやや見劣りする部分であると言える。ただ、ネジ一本で簡単に取り外しが可能なリムーバブル式になっており、交換は割と簡単なので「ハードディスクなんて交換しちゃえばいいのよ」というパワーユーザーであれば、IC25N030ATDA04を手に入れて交換してしまえばいいだろう。実際、筆者もチャレンジしてみたが、ハイバネーションなども含めて今のところ問題なく使えている(ただし保証は受けられなくなるのであくまで自己責任で)。
X20、X21ではグラフィックスチップにRAGE MOBILITY-M(4MB内蔵)というATI Technologiesのビデオチップを採用していた。RAGE MOBILITY-Mは、ATIのデスクトップ製品で言えば3D RAGE PRO相当の製品であり、3D描画機能として4世代も前の製品に相当し、正直なところ3D描画能力は“ほとんど役に立たない”レベルだった。
しかし、今回のX22では同じATI TechnologiesのMOBILITY RADEONが採用されている。MOBILITY RADEONの3Dエンジンは、デスクトップPC向けではRADEON相当で、ハードウェアT&Lエンジンこそ搭載していないが、レンダリングエンジンとしてはかなり高い性能を持っている。実際、CPUなども変わっているので直接比較はできないが、Quake III Arena(640×480ドット、16bitカラー)でフレームレートを計測してみると、
・X20 7.5fps
・X22 57.6fps
となっており、圧倒的に3Dの描画性能が上がっていることがわかる。X20であれば、VGAでもゲームにならなかったのが、X22であればQuake IIIのような重たいゲームでも、少なくともVGAであれば遊ぶことができると言えるだろう。
なお、X22になりバッテリによる駆動時間は若干減っている。メーカー公称値でX21は4.8時間となっているが、X22では4.4時間となっており、約25分ほど駆動時間が短くなっている。
しかし、バッテリの容量はX20、X21に採用されていたものが10.8V/3600mAhであったのに対して、X22に採用されているものは10.8V/4000mAhと容量が上がっており、バッテリのポテンシャルとしてはむしろ上がっている。それでも持続時間が短くなっていると言うことは、チップセットやCPUのクロックなどが上がったことにより、システム全体の消費電力は増えていると考えることができるだろう。
ハードディスク。ネジ一本ではずれる仕様はX20、X21と同じ | メモリソケットは1つ空いており、144ピンのSO-DIMMモジュールが利用できる。ただしクロックは133MHzとなっている | 左がX22のバッテリで10.8V/4000mAh、右がX20のバッテリで10.8V/3600mAh。同じ形状であるのに容量は異なっている |
●制限付きだが現時点でもWindows XPはインストール可能
ところで、X22(2662-xxx)には、型番の最後の3桁が93J、7HJ、75J、9JJ、9DJという複数のモデルが用意されている。それぞれの細かなスペックは日本アイ・ビー・エムのホームページ( http://www-6.ibm.com/jp/pc/thinkpad/tpx221a/tpx221as.html )を参照して欲しいが、大きな違いを挙げると次のようになる。
モデル名 | CPU | HDD | LAN | OS |
---|---|---|---|---|
93J | P3M 733LV | 30GB | 有線 | XP-Home |
7HJ | P3M 733LV | 15GB | 有線 | W98SE |
75J | P3M 733LV | 15GB | 有線 | W2K |
9JJ | P3M 800LV | 20GB | 有線+無線 | W98SE |
9DJ | P3M 800LV | 20GB | 有線+無線 | W2K |
無線LANを選択するには、9JJないしは9DJを選択するほかないのだが、見てわかるようにOSはWindows 98 Second EditionないしはWindows 2000しか選べない。また、Windows XP Home Editionが搭載されている93Jはハードディスクも30GBとなっているのに、9JJや9DJの方は20GBになっているなど、やや理解に苦しむラインナップと言っていいだろう。
こうしたラインナップになっている背景には、93Jと7HJ~9DJの出自の違いが考えられる。93Jには付属ソフトウェアとしてホームページ・ビルダーやOffice XP Personalなどのアプリケーションが多数付属している。これに対して、7HJ~9DJにはこうしたエンドユーザー向けのアプリケーションはバンドルされていない。
これからわかることは、93Jはもともとi Series 1620として販売されていた製品の流れをくむコンシューマ向け製品と位置づけられるもので、7HJ~9DJはX20、X21として販売されていた企業向けThinkPadの流れをくむ製品と考えることができるだろう。
これまでも企業向けThinkPadでは最新OSがいきなり搭載されず、しばらく様子を見て切り替えられてきた。
特に企業ユーザーが新しいOSを導入するまでには、検証にかなりの時間を掛けることが多い。Windows XPがリリースされたばかりの今では、まだそれが終わっていない企業の方が圧倒的であるため、現時点ではWindows XPを搭載しても選択する企業が少なく、Windows 98 Second EditionとWindows 2000という、ややコンサバティブな選択となったのだろう。企業向け製品である7HJ~9DJでは妥当な判断だと思う。
だが、我々パワーユーザーとしては、無線LANは絶対に必須だし、新しいOSであるWindows XPも使ってみたいところだろう。そういう意味では、ぜひ次期モデルにはWindows XPプリインストールの無線LANモデルを用意して欲しい。
しかし、パワーユーザーたるものここで諦めては名が廃るという訳で、ラインナップになければ、OSなんて自分でインストールしてしまえばよい。幸いなことに、7HJ~9DJでもWindows XP Home Edition、Professional共に稼働OSとして動作確認がされており、自分でインストールして利用することは可能だ。このように、プリインストールOS以外の動作も保証してもらえるのは非常にありがたい。
余談になるが、最近ではプリインストールOS以外はサポートしないというメーカーも増えている。確かにメーカーにとって、プリインストール以外のOSをサポートするのは大変だとは思うが、それでも稼働OS以外のドライバーや最新BIOSは配布しないという姿勢はどうかと思う。
その点、日本IBMは最新BIOSやドライバーなどはいちはやくホームページで公開し、プリインストールOS以外にも複数のOSをサポートしてくれている。例えば、X22では、Windows 95 OSR2.1、Windows 98 Second Edition、Windows Me、Windows 2000 Professional Edition、Windows NT Workstation、Windows XP Home Edition、Windows XP Professionalが稼働OSとしてあげられており、実際に利用できる。こうしたパワーユーザーが何かできる余地が残されている点は素直に嬉しい。
さて、本題に戻るが、今回利用している9DJに、実際に一昨日発売されたばかりのWindows XP ProfessionalのOEM版をインストールしてみた。
インストールにはオプションとして用意されているドッキングステーションのウルトラベースX2にX22を取り付け、ウルトラベースX2に内蔵されているベイに、ウルトラベイ2000に対応したDVD-ROMドライブを取り付けてCD-ROMブートし、インストールしてみた。内蔵されていた20GBのハードディスクは取り外し、Windows XPと一緒に購入した30GBのHDD(IC25N030ATDA04)を取り付けて、これにインストールしてみた。
インストール自体は特に難しいことはなく、すんなり行なえた。ただ、以下の点で注意が必要だった。
(1)MOBILITY RADEONのXP用ドライバがない
MOBILITY RADEONのWindows XP用ビデオドライバはシステムに付属しておらず、IBMのウェブサイトでも公開されていない。仕方がないので、もとのハードディスク上にあったWindows 2000用をインストールして使っている。今のところ問題は発生していないが、問題が発生する場合もあるのではないかと思われる。
(2)無線LANのXP用ドライバがない
Mini PCIの無線LANモジュールはActiontec Electronicsのボードが利用されているが、これのXP用ドライバはない。米国IBMのサイトでもXP用ドライバは公開されておらず、現時点ではWindows 2000用のドライバを使うほかない。基本的には問題なく利用できるのだが、ちゃんと接続され、ネットワークにアクセスできるのに、タスクバーの通知領域には「ワイヤレス接続利用不可」と表示されてしまう。
Windows XPではネイティブでIEEE 802.11bの無線LANをサポートしており、ネイティブのドライバを利用するとWindows標準のクライアントマネージャを利用できるが、それが利用できないためだと思われる。これはIBMが正式にWindows XP用ドライバを公開してくれるのを待つほかないだろうが、実害はないので無視すればよい。
(3)SpeedStepの設定
Windows XPではIntelが配布するSpeedStepのアプレットは利用せず、デバイスマネージャの中にあるプロセッサ用のドライバがCPUを自動で認識してくれるはずなのだが、OEM版のWindows XPをインストールしただけでは、CPUはジェネリックなCPUのドライバをインストールしてくれるだけで、SpeedStepの設定を調節するアプレットが表示されない。強制的に「Pentium III」を指定してみたが、SpeedStepのアプレットは表示されなかった。
なお、これ以外のドライバ(ThinkPadユーティリティやTrackPointドライバ、オーディオ、モデム)はWindows XP用がホームページで( http://www-6.ibm.com/jp/domino01/pc/download/download.nsf/DlSearchTop?OpenForm )公開されており、そうでない場合も、ホットキーなどはWindows 2000用のものが利用できる。
日本IBMではWindows XPをサポートするページ( http://www-6.ibm.com/jp/pc/msinfo/windowsxp/ )を公開しており、対応ドライバなども公開される予定になっている。おそらく正式パッケージ版が発売されたあとに公開、ということだと思われるので、正式に使いたいユーザーはそこまで待てばきちんとXP用のドライバで使えるようになるだろう。
無線LANで接続しているにもかかわらず、タスクバーの通知領域に「ワイヤレス接続利用不可」と表示されてしまう。気にしなければいいと言えばそれまでなのだが…… | 本来であれば、SpeedStepのアプレットが表示されるはずなのだが、なぜか表示されなかった |
●X2xシリーズの完成型として満足度は高い
最後になるが、保証面について触れておこう。これまで企業向けのThinkPadシリーズには、EMS(拡張保守サービス)という通常の1年保証に加えて、3年間盗難・故障をカバーする保険が用意されていた。
しかし、ThinkPadブランドとi Seriesブランドが統合されたのを機に、今回よりEMSのサービスは廃止され、“PC ServiceWell”という新しいブランドに統一された。これは、従来PC Care、Jサービスと呼ばれていたi Series向けの拡張保守サービスを企業向けThinkPadにも適用したサービスで、残念ながら今後EMSを申し込むことはできない。
EMSは自分の過失による盗難、故障などにもユーザー側の免責無くフルにカバーされる保険だっただけに、免責があるPC CareはEMSに比べるとやや見劣りするのは事実だ。その代わり、PC ServiceWellは最初から1年分は標準でついてくる。このため、イニシャルのコストは安くつく訳で、高い3年分を初めに払わなくてはいけないEMSに比べて敷居が低くく、それなりに手厚いサービスが受けられるようになった点は評価していいだろう。
以上のように、X22は無線LAN搭載モデルにWindows XPプリインストールがないことと、ハードディスクが20GBであること、何よりもサブノートとしては高い(Windows 2000搭載モデルで、27万円前後)というあたりが弱点と言えなくはないが、OSやハードディスクはすでに述べたように、あとからアップグレードが可能だ。そうしたことを考えると、無線LAN、有線LANの両方を内蔵し、CFのスロット、IEEE 1394、赤外線通信ポートなど現状で必要になりそうなポートはすべてついており、言ってみればX20で不満に感じていた点がすべて直った感じで、まさに“全部入りX2xシリーズ”なのだ。
X20、X21、i Series 1620のユーザーであれば、非常に魅力的な選択肢であるのは間違いないだろう。
□関連記事
【10月24日】日本IBM、新設計のX22などThinkPadシリーズ一新
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20011024/ibm.htm
(2001年10月26日)
[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]