NEW PRODUCTS TESTREPORT

	シャープ
	ザウルス MI-E21
	小型化と低価格化を実現したキーボード内蔵PDA
	TEXT：清水理史　Masashi Shimizu

従来機から小型化されたザウルス MI-E21。キーボードは縦方向に大型化されているが、逆にピッチは狭くなっている。しかし、キーの平面化などの改良点のおかげで、操作性の高さは失われていない

　国内のPDA市場を常にリードしてきたシャープから、ザウルスの最新モデル「MI-E21」が登場した。型番からも分かるとおり、昨年末に発売されたキーボード内蔵タイプのザウルス「MI-E1」の上位モデルとして位置付けられる製品だ。

　このMI-E21を一言で説明すると、これまで販売されていたコンシューマ向けモデルのMI-E1とビジネスモデルのMI-L1の両方のよいところを合わせ、さらに進化させたモデルと言える。E1からはビデオ再生やテレビ録画、MP3再生などのエンターテイメント機能を受け継ぎ、L1からはスケジュール管理やPC連携などPDA本来の機能を受け継ぎ、これらをさらに強化させたわけだ。

　具体的には、外観、動画関連の機能などが大きく改良されている。まず外観だが、デザインが一新され、サイズはE1に比べて幅が約7.5mm、高さが約1mm小さくなった。このため、全体的にスリムでシャープなイメージとなり、しかも手になじみやすく、片手でホールドしたときの安定感が大幅に向上している。

　また、本体ボタンの形状や配置も改良されており、L1と同様にカーソルキーの中心に決定ボタンが配置され、片手での操作が行ないやすくなった。また、フロントライトの点灯も従来はボタンを少し長めに押し続ける方式だったが、これも普通に押すだけの方式に変更されているなど、使い勝手の面はかなり見直されている。

　さらに、内蔵のキーボードの仕様も変更されており、キーボード部分の縦の長さを約1.5mm広げ、キートップが平面化された。本体サイズの関係でキーピッチは0.5mmほど小さくなっているが、打ちやすさはE1とほぼ同等と言える。キー配列も変更されており、「変換/スペース」キーの幅を拡大、E1で不評だった「.」などの記号も単独で入力できるなどの工夫がなされている。E1ユーザーが不便に思っていた欠点が、E21で見事に解消されたわけだ。

本体上部にはコンパクトフラッシュType 2のスロット、本体左側面にはSDメモリースロットがそれぞれ1基ずつ用意されている	別売のビデオレコードカード「CE-VRC1」。コンポジット入力にのみ対応する

　一方、ビデオ関連では、E21から新しくコンパクトフラッシュ型のビデオレコードカード「CE-VRC1」がオプションとして提供されるようになり、ビデオ(コンポジット入力)の録画とリアルタイムエンコードを本体側で可能とした。従来のE1でも外付けのビデオレコーダーユニット「CE-VR1」による録画が可能だったが、今回のCE-VRC1では、カードの「REC」ボタンを押すだけで録画が可能というように、操作性が簡略化され、使いやすくなっている。

　また、録画する際のエンコード方式が従来のMPEG-4から、映像はオフィス ノアが開発した「NANCY」に、音声はMP3準拠に変更された。個人的には、動画の再生に関しては、従来とあまり差を感じないが、音声がMP3になったおかげで音楽番組などを録画した際のクオリティはかなり向上したように感じた。

　加えて、別売りのデジタルカメラカード「CE-AG6」と「ビデオカメラMOREソフト」を使うことで、ビデオクリップの撮影も可能となった。ただしこれは動画撮影のみで、録音には別売りのボイスレコーダーキットが必要となるが、撮影した映像をメールで送信するなど、動画を手軽に楽しめるようになっている。ただし、録画フォーマットがNANCYであるため、PC側で再生するためにはSharp Space Town( http://www.spacetown.ne.jp/ )で無償配布される「Nancy Player for PC」が別途必要となる。

　このほかにも内蔵のPDA機能やPC連携機能がL1相当に改良されていたり、バッテリ駆動時間が10%向上していたりと、MI-E21には、さまざまな改良が加えられている。従来のE1やL1でもどかしく思っていた点が見事に解消されている辺りは、PDAに精通したシャープの技術力とノウハウが見て取れるところである。

ビデオレコードカードによる録画中の画面。録画中の映像は見ることができない	使い勝手のよいスケジューラ。カラー画面のメリットが活かされている