鈴木直美の「PC Watch先週のキーワード」
第181回:9月3日~9月7日


■■キーワードが含まれる記事名
●キーワード


9月3日

■■ 西川和久の「Broad Gateがやってきた!」
   ~実測13Mbpsの超高速FTTH導入記
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010903/ftth.htm

●FTTH(Fiber To The Home)
 エフティーティーエイチ

 光ファイバの利用形態の1つで、加入者宅まで光で接続すること。

 レーザー光とガラス繊維のケーブル(光ファイバケーブル)を使って信号を伝送する光通信は、広帯域、低損失で電磁ノイズの輻射や影響のない、極めて優れた伝送特性を持っている。この光通信を通信網のどこまで使用するか。すなわち、どこまで光ケーブルを敷くのかによって、「FTTx」というさまざまな名で呼ばれている。

・FTTB(Fiber To The Building)   建物(ビルや集合住宅)まで
・FTTC(Fiber To The Curb)     道の縁石まで
・FTTCab(Fiber To The Cabinet)   キャビネットまで
・FTTH(Fiber To The Home)     家庭まで
・FTTN(Fiber To The Neighborhood) 近所まで
・FTTN(Fiber To The Node)     ノードまで
・FTTO(Fiber To The Office)    オフィス(ビル)まで

 我が国の光通信は、'80年に初めて実用化。'85年には、北海道旭川から九州鹿児島までの太平洋側の主要都市を結ぶ光幹線が完成し、'89年には早くも、光ファイバを使ったISDNサービス「INSネット1500」がスタートしている。ただし、1,536kbpsのこのサービスは、大量の電話を引き込むようなケース(電話回線23ないし24本分)を想定した企業向けのサービスだった。現在、NTTは2010年を('94年発表)、政府は2005年を('98年発表)目標に、通信網の光化を推進。幹線系に関しては既にほぼ完了しており、加入者系も地下ケーブルまでのレベルであれば、全体の半分近くまで進んでいるという。が、最後に残されている大量の引き込み線に関しては、まだほとんど手付かずのFTTC状態にある。

 2000年。無許可で使用料を払わずにケーブルを敷設するという、他社には真似のできない独自の手法で全国規模のネットワークを構築して来た大阪有線(この時点では、違法状態及び債務不払いの問題は正常化)は、この年、社名を「有線ブロードネットワークス」に変更し、FTTHサービスを提供するための100%子会社「ユーズコミュニケーションズ」を設立。第一種電気通信事業の許可を得て、10月からFTTHの試験を開始する。12月にはNTTもこれに追従し、2001年に、相次いで正式な商用サービスをスタートする。

 FTTHは、文字通り加入者宅の引き込み線まで全て光ファイバでまかなう、光化の最終形ともいえる形態である。が現在は、インターネットのアクセスラインとしてのサービスしか提供されておらず、電話と共用する形で既設のメタルケーブルが利用できるADSLに比べると敷居が高く、注目を集めてはいるものの利用者の数は少ない。


●クロージャー(closure)

 ケーブルの接続部などを保護するためのカバー。

 銅線や光ファイバーなどの束を、絶縁材や保護材で被覆外装したものをケーブルという。このケーブルを延長あるいは分岐する際に、接続部を保護する目的で取り付ける、樹脂などで作られたカバーのことをクロジャーという。

 通信ケーブルなどに使われるクロージャには、管路(かんろ=パイプ)や洞道(とうどう=トンネル)に用いる地下用や、電柱をわたるケーブルに用いる架空(がくう)用があるが、いずれも、防水性に優れた気密性の高い構造になっている。

接続部を保護するクロージャ(上)と光ファイバーの引き込み端子が入っているタイプ(下) メタルケーブルの引き込み端子が入ったクロージャー


●SDSL(Symmetrical Digital Subscriber Line)
 エスディーエスエル

 上りと下りの伝送速度が同じ、対象型のDSL方式。対称型デジタル加入者線。

 DSLは、アナログ電話用に敷設されているメタルケーブルを使って高速なデータ通信を行なう技術で、上りと下りの伝送速度が非対称のADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)に対し、対称型のものをSDSLと呼んでいる。

 ADSLは、ビデオオンデマンドやインターネットの利用といった、受信主体の用途(受信のデータ量が圧倒的に多い用途)を想定した一般家庭向けのもので、ユーザー側からの上りの伝送速度を数100kbpsに抑え、下りに数Mbps~10Mbpsといった広い帯域を割り当てるように設計されている。このため、インターネットに向けてコンテンツを公開するような場合には、充分なスピードを得ることができない。

 SDSLは、このような用途にも利用できるよう、上下ともに同じ帯域を割り当てたもので、ITU-T(International Telecommunication Union Telecommunication Standardization Sector~国際電気通信連合電気通信標準化部門)で標準化されたGシーズ勧告のDSLには、以下のようなものがある。

・HDSL(High bit rate Digital Subscriber Line)
 2対のメタルケーブルを使って1.5Mbps、2ないし3対で2Mbpsのデータ通信を行なう規格で、'98年に「G.991.1」として勧告。この2対1.5Mbpsの半分だけを使う、1対768kbpsのタイプを特にSDSLと呼ぶこともある。

・SHDSL(Single-Pair High-Speed Digital Subscriber Line)
 1対のメタルケーブルを使って最大2.3Mbps、2対で最大4.6Mbpsのデータ通信を行なう規格で、2001年に「G.991.2」として勧告。この勧告に準じた、1対1.5Mbpsや1.6Mbpsのタイプを特にSDSLと呼ぶこともある。

・SSDSL(Synchronized Symmetrical Digital Subscriber Line)
 '99年に勧告された、上り最大640kbps、下り最大6.1MbpsのADSL規格「G.992.1」を対称型の通信に応用したもので、G.992.1の全帯域を使い、双方が交互に送受信を切り換えることによって、最大3.2Mbpsの双方向通信を行なう。G992.1の付属書「Annex H」として、2000年に勧告されたこの規格は、日本の電話回線での利用を想定したもので、国内のSDSLサービスでは、これが今後の主力と見られている。

□DSL Forum
http://www.dslforum.org/
□ITU-T
http://www.itu.int/ITU-T/
【参考】
□ADSLモデム
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010719/key174.htm#ADSL


9月7日

■■ ソニー、Power-Burn搭載のCD-RWドライブ3モデル
   ~メモリースティックスロット搭載機やポータブル型など
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010907/sony.htm

●MGメモリースティック(MagicGate Memory Stick)
 エムジーめもりーすてぃっく

 ソニーが'99年に発表した、著作権保護機構を備えたメモリースティック。

 メモリースティックは、同社が'98年に商品化した小型メモリカードの規格で21.5×50×2.8mm(縦×横×厚さ)と、ガムのような薄い縦長の形状が大きな特徴である。

 デジタルカメラの普及とともに需要を大きく延ばして来た小型メモリカードは、'98年に携帯用のMP3プレーヤーという新たなパートナーを得るが、同時に、楽曲の著作権問題が大きくクローズアップされた。その回答としてソニーは、暗号化と認証による著作権保護機構「MagicGate」と、保護されたコンテンツをPC上で扱うための技術「OpenMG」を'99年2月に発表。同年12月、携帯プレーヤ「メモリースティックウォークマン」とともに、このMagicGateを組み込んだ「MGメモリースティック」がリリースされた。

 形状などは、通常のメモリースティックと同一(裏面に突起が付いているが)。通常のメモリースティックが青色なのに対し、MGメモリースティックは白色なのが特徴である。保護されていないデータに関しては、どちらでも同じように扱うことができるが、保護されたデータに関しては、そのための機構を備えたMGメモリースティックでしか扱うことができない。

 同種の機構を備えた小型メモリーカードには、CPRM(Content Protection for Recordable Media)を採用したSDメモリカード、UDAC-MB(Universal Distribution with Access Control-Media Base)を採用したセキュアMMC(MultiMediaCard)などがある。また、ID付きスマートメディアやID付きMMCのように、カードに付けた一意のIDを使ってセキュア機能を実現しようというアプローチもあるが、こちらは、カードに認証機能が無く、暗号化のみに頼るため、転送(チェックアウト)したコンテンツを戻す(チェックイン)機能は、基本的にサポートできない。

□メモリースティック開発者のためのホームページ
http://www.memorystick.org/
□OpenMG
http://www.openmg.com/
【参考】
□メモリースティック
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990218/key65.htm#Memory_Stick
□メモリースティックDuo
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000831/key133.htm#Duo
□SDメモリカード
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000323/key113.htm#SD
□セキュアMMC
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010309/key156.htm#MMC
□SmartMedia
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/971209/key10.htm#smartmedia
□SDMI(Secure Digital Music Initiative)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990729/key86.htm#SDMI

[Text by 鈴木直美]


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