鈴木直美の「PC Watch先週のキーワード」
第167回:5月21日~5月25日


■■キーワードが含まれる記事名
●キーワード


5月21日

■■ ヤマハ、独自バッファアンダーラン防止技術搭載の20/10/40倍速CD-RWドライブ
   ~USB 2.0対応ドライブもラインナップ~
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010521/yamaha.htm

ジッター(jitter)
 信号の振幅や位相が微妙に変動すること。

 アナログ系では、テープの走行むらなどに起因する信号の揺れのことで、ビデオの場合は、主に水平方向に微妙な揺れや歪みを、オーディオの場合は、いわゆるワウフラッタ(wow flutter)と呼ばれる低周波の歪みを生ずる。

 デジタル系では、クロック信号の理想的な同期に対する偏差のことで、ジッターが増えるとエラーが生じやすくなる。デジタル処理だけで考えれば、アナログ系のような揺らぎは原理的に存在しないのだが、入力信号からタイミングクロックを生成し、デジタルアナログ変換を行なっているようなAV機器の場合には、デジタル系のジッターがそのままアナログ系に反映されるため、前述のアナログ系と同じ様な歪みを生ずる。


5月22日

■■ アップル、ディスプレイ製品ラインナップを液晶に統一
   --17インチ「Apple Studio Display」も128,000円で6月中旬発売
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010522/apple2.htm

ADC(Apple Display Connector)
 エーディーシー

 Apple ComputerのPowerMac G4や同社の液晶ディスプレイに採用されている、DVI(Digital Visual Interface)にUSBと給電ラインを加えた独自仕様のディスプレイインターフェイス。

 DVIは、デジタルとアナログ両方のビデオ信号を1つのコネクタで扱えるインターフェイスで、'99年にDDWG(Digital Display Working Group)によって策定された。デジタルインターフェイスには、Silicon Imageが開発したTMDS(Transition Minimized Differential Signaling ~PanelLinkとも)を使用。広帯域化に備え2系統を併用できるようになっているが、1系統で使用する場合には、VESA(Video Electronics Standards Association)のP&D(PLUG and DISPLAY)やDFP(Digital Flat Panel)と互換性がある。

 ADCは、このDVIにUSBと28Vの給電ラインを統合した規格で、コネクタには、VESA(Video Electronics Standards Association)のP&D(PLUG and DISPLAY)コネクタと同じ、30+5ピンのMicroCrossコネクタ(※1)を使用する(DVIは24+5ピン)。ただし、デジタル側もアナログ側も、P&DやDVIとは異なる結線になっており、物理的な互換性はない。

※1 8×3列(DVI)または10×3列(P&D、ADC)の端子と、その横に十字形のグランド端子で仕切られた4つのアナログビデオ端子を備えたコネクタ。

【参考】
□DVI
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/991007/key93.htm#DVI
□DFP
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/981126/key56.htm#DFP
□TMDS(PanelLink)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980723/key39.htm#PanelLink


■■ 東芝、MP3/AAC再生にも対応したSDカードボイスレコーダ(AV Watch)
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20010522/toshiba.htm

セラミックスピーカー(ceramics speaker)
圧電スピーカー(piezo speaker)
 あつでんすぴーかー

 圧電素子を利用して電気信号を音圧に変換するスピーカーを圧電スピーカーといい、圧電セラミックを使った圧電スピーカーをセラミックスピーカーという(逆変換するものは圧電マイク、セラミックマイク)。

 電圧をかけると変形し、外力を加えると帯電する現象を圧電効果(ピエゾ効果)といい、このような性質を持つ素子を圧電素子(ピエゾ素子)という。

 オーディオ機器に使われている最も一般的なスピーカーは、ダイナミックスピーカーと呼ばれるタイプである。これは、磁界の中に置いたコイルに電流を流してコイルを前後に振動させ、コイルに連動する振動板を動かして音を出す仕組みになっている。

 圧電スピーカーは、磁石とコイルの代わりに圧電素子を振動子として用いたスピーカーで、圧電素子の変形(かける電圧の方向と大きさで変形する方向や大きさが変わるので音声信号を流せば振動する)を振動板に伝えて音を出す。

 圧電素子には、古くはロシェル塩の結晶が使われており、一般にクリスタルスピーカー(耳に挿入するタイプはクリスタルイヤホン)が圧電型の代名詞でもあった。現在は、チタン酸バリウムをはじめとするセラミック素材を用いたものが一般的で、こちらのタイプはセラミックスピーカー(セラミックイヤホン)と呼ばれている。  圧電スピーカーは、小型で非常に薄く、高能率、低消費電力なのが大きな特徴で、特に小型携帯機器においては、最も広く使われているスピーカーである。


コンデンサマイク(condenser microphone)

 静電容量の変化を利用して、音圧を電気信号に変換するマイク。逆変換するものはコンデンサスピーカー。

 2枚の電極を近づけて電圧をかけると、電極間に電気を蓄えることができる。このようなデバイスをコンデンサ(蓄電器)といい、蓄えることのできる電気量は、コンデンサの蓄電力と電圧に比例する。この蓄電力を表わす定数を静電容量(キャパシタンス)といい、電極間に入れる誘電体(※1)の誘電率と、電極の面積、間隔で決まる。同じ誘電体を使用した場合には、電極の面積が大きく、間隔が狭いほど、静電容量は大きくなる。

 カラオケボックスなどで使われているマイクは、一般に電磁誘導を利用したタイプで、ダイナミックマイクと呼んでいる。ダイナミックマイクは、音圧を受けて振動板が振動すると、振動板に連動するコイルが磁界の中で振動し、振動に応じた起電力が発生する。これを取り出すのがダイナミックマイクである。

 コンデンサマイクは、この変換部分にコンデンサの原理を応用したもので、一方の電極を導電性の振動板で形成し、両極に電圧をかける。振動板が振動すると、電極間の距離が変化し、それに応じて静電容量が変化する。これを取り出すのがコンデンサマイクである。自分自身で発電するダイナミックマイクと違い、コンデンサマイクは、コンデンサとして機能させるための高い電圧(48Vのファンタム給電方式の製品が多い)が必要であるため扱いにくく、このようなオーソドックスなタイプは、放送局やレコーディング向けの製品にしか使われていない。

 一般向けのオーディオ製品に広く使われているコンデンサマイクは、電極に電圧をかける必要のないタイプで、これをエレクトレットコンデンサマイク(electret condenser microphone)と呼んでいる。鉄を代表とするある種の金属は、高い磁界をかけると永続的に磁気を保持するようになる。すなわちそれ自身が磁石になってしまうわけだが、ある種の誘電体(プラスチックなどの高分子化合物)の中には、高い電界をかけると永続的に電荷を保持する様になるものがある。これを、磁石のマグネットになぞらえてエレクトレットといい、このエレクトレット効果を利用し、電圧をかけなくても機能する様にしたタイプ(※2)をエレクトレットコンデンサマイクという。

ちなみにこのエレクトレットコンデンサマイクには、エレクトレット膜を振動板側に貼りつけたタイプと、固定電極側に貼りつけたタイプがあり、後者を特にバックエレクトレットコンデンサマイクと呼んでいる。いずれも、ダイナミックマイクに比べて構造的に小型化がしやすく、原理的に平坦な特性が得やすいのが大きな特徴である。

※1 誘電分極を生じる物質で、絶縁体のこと。電気を伝えにくい物質を絶縁体というが、絶縁体だからといって、電気的な反応が全く起こらないというわけではない。電荷の移動こそ起こらないが、絶縁体に電場を加えると電子の分布が偏り、正負の電荷が表れる誘電分極という現象が起こる。電荷の移動を妨げる目的で使う場合には絶縁体なのだが、全ての絶縁体は同時に、誘電分極を生じる誘電体でもある。

※2 製品としてのエレクトレットコンデンサマイクは、インピーダンス変換回路を内蔵しているため、この回路用の電源(通常は電池)が必要。


5月25日

■■ AKIBA PC Hotline! Hothotレビュー by Ubiq Computing
   100GBのハードディスク登場:Maxtor MX4W100H6
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010525/hotrev109.htm

LBA(Logical Block Addressing)
 エルビーエー

 ATA(IDE)やSCSIドライブに使われている、ディスク上の特定の位置をアドレスで指定する方法。

 フロッピーディスクやハードディスクは、磁気ディスクに同心円状のトラックを形成し、各トラックをいくつかのブロックに分けたセクタ(sector)と呼ばれる単位で管理している。ディスクは、1枚から数枚で構成されており、各面に対応したヘッド(head)を特定のトラックまで動かし、特定のセクタが回って来たところで読み書きを行なう仕組みになっている。各ディスク面の同一位置にあるトラックをシリンダ(cylinder)といい、フロッピーディスクや古いATAハードディスクでは、シリンダ、ヘッド、セクタという、ディスクの物理構造に則ったパラメータを直接指定し、特定のセクタにアクセスする方法が採られていた(※1)。この方法は、パラメータの頭文字を採って、CHS方式と呼んでいる。

 SCSIや現在のATAドライブでは、全セクタにあらかじめ連番のアドレスを割り当てておき、このアドレスを使って指定する方式が採られている。これをLBA方式といい、現行のSCSIで32bit、ATAで28bitのアドレス空間が用意されている。BIOSレベルでは、拡張INT13がこのLBAをサポートしており、これに対応したWindows 95以降のOSと組み合わせれば、大容量ディスクをフルに活用することができる。ただしATAの場合、28bitのLBAでは約128GBまでしか対応することができず、既に飽和も間近に迫っている。ATAの標準化を行なっているNCITS(National Committee on Information Technology Standards)のT13委員会では、48bit LBAを検討しており、策定中の「ATA/ATAPI-6(※2)」でサポートされる予定である。

※1 最も初期のハードディスクインターフェイスは、現在のフロッピーディスクインターフェイスと同様に、PC側からドライブを直接制御するインターフェイスとして設計されていた。このため、ドライブの動作をそのままパラメータとして指定する方式が採られた。一方のSCSIは、インターフェイス上ではコマンドパケットをやり取りする仕様であり、当初からLBAが採用されていた。

※2 ATA/66ことUltra DMA Mode 4がサポートされた「ATA/ATAPI-5」までは、標準化を完了しており、最新の「ATA/ATAPI-5」は2000年にANSIの標準規格(ANSI NCITS 340-2000)になっている。「ATA/ATAPI-6」はこの後継規格で、48bit LBAのほかに、ATA/100ことUltra DMA Mode 5が盛り込まれている。

【参考】
□CHS(Cylinder Head Sector)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990708/key83.htm#CHS
□拡張INT13
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980610/key33.htm#Int13

[Text by 鈴木直美]


【PC Watchホームページ】


ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp

Copyright (c) 2001 impress corporation All rights reserved.