NEW PRODUCTS TESTREPORT

	クールグリーンコンピュータ
	Coolgreen V3/P866
	アルミキューブケースが斬新な省スペースPC
	TEXT：水島伸行　Nobuyuki Mizushima

本体正面のフタを外すとFDDが姿を現わす。ボディカラーと統一されていない点はやや残念だ

　近年、コンシューマ、ビジネス、両方の市場において、必要十分な機能を持ちながら場所を取らない省スペースPCは多くの支持を得ている。その結果、この分野には各社から多く製品が投入され、激しい競合が起きていることも確かだ。クールグリーンコンピュータが販売する「Coolgreen V3/P866」も、そうした省スペースPCの一つだが、その仕上がりは従来の枠に収まらない非常にユニークなものとなっている。

　まず、本機最大の特徴とも言えるのが、アルミ素材を使用したキューブ型ケースだ。サイズは幅182mm、奥行き227mm、高さ209mmと非常にコンパクトで、卓上から足元、本棚の中まで置き場所を選ばない。正面方向からのルックスは、電源およびHDDのアクセスLED、リセットスイッチ、さらに3.5インチFDDを隠すアルミ製カバーが目に付くだけで、ある意味無骨とも取れるのだが、アルミ素材が肉厚で高い質感を持っていることと、ツヤ消し加工によってハデさを感じさせないことから、落ち着いた雰囲気を醸し出している。

本体の背面部にはUSB、シリアル、パラレル端子をはじめ、サウンドまわりやLANの端子も備えている

　この筐体の内部を見ると、左サイドに約180×120mmというサイズの小型マザーボードが配置されており、ボード上にはCPUのPentium III 866MHzと、ビデオ機能統合型チップセットのIntel810Eが搭載されている。メインメモリは、PC100対応SDRAMがボード上に用意された168ピンDIMMスロットに装着される。容量は今回試用した256MBのモデルのほか、10,000円安価な128MBのモデルが存在する。

　HDDは右サイドに設置された内部3.5インチベイに装着されるが、省スペースPCながら容量30GB、回転数7,200rpmのIBM DTLA-307030が採用され、パフォーマンス面での問題もない。なお、CD-ROMドライブは内蔵されないが、外付けの24倍速ドライブが標準で付属し、必要に応じてこれを接続することになる。

ケースのカバーを取り外したところ。本体内にスペースがあまりないので、ケーブルの取り回しは煩雑になる

　さらに、マザーボードの下部には、ライザーカードが取り付けられており、このカード上に3本のPCIスロットが装備されている。内部配線の取り回しがややめんどうではあるが、Low Profile PCIではなく、フルハイトのカードが使用できるため、汎用性も高い。ただし、外付けCD-ROMドライブの接続用コネクタは背面のブラケットをPCIスロットと共有するので、これを使用する場合は、PCIスロットも1本使用できなくなる。

　インターフェースが豊富に備えられている点も特徴の一つだ。USB、シリアル、パラレル、サウンドまわりの端子と、一通りが揃っているほか、10BASE-T/100BASE-TX対応のLANポートも持つため、ファイルサーバーやファイアウォールサーバーとしての導入にも適している。

CPUはSocket 370、メモリは168ピンDIMMのソケットを使用しているため、ユーザーが交換することも簡単だ

　本機はどちらかと言うと、PCの使用法が明確に決まったパワーユーザーをターゲットにした製品であるため、ソフトは一切付属せず、OSもプリインストールされない。ただ、対応OSはWindows Me/98/2000、Vine Linux 2.1、BeOS 5.0 Pro Editionとなっているので、選択肢に困ることは比較的少ないだろう。

　筆者はWindows 2000をインストールしてみたが、CD-ROMブートも問題なくでき、一般的なi810E採用マシンと変わらない流れで作業を行なうことができた。Windows 2000自体の動作も問題はなかったが、電源がAT仕様で、OS終了時にソフトウェアで電源をOFFにできないため、個人のメインマシンとしては多少使い勝手が悪い。

本機に標準添付される24倍速CD-ROMドライブ。インターフェースはIDEを採用

　このほか、キーボードやマウスもユーザーが用意する必要があったり、いわゆるユーザーマニュアルが付属せず、メーカーのWebサイトに置かれていたりなど、初心者にとって敷居が高いことは確かだ。しかし、スタイリッシュなデザインや、省スペース性は他に代え難いものとも言える。そう考えると、本機の168,000円という価格が決して高いものではないことが分かるだろう。