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VIA Technologiesが統合CPU「Matthew」を公開


●いきなりのMatthew実演

 VIA Technologiesの次世代CPU「Matthew(マシュー)」がいきなり登場した。Matthewは、CPU、グラフィックスコアとノースブリッジコアをワンチップにまとめた統合CPU。VIAは、3月26日からカリフォルニア州アナハイムで開幕されているMicrosoftのハードウェア開発者向けカンファレンス「WinHEC 2001」の技術セッションで、Matthewのエンジニアリングサンプル搭載システムを公開。実際にMatthew搭載マザーボードを動作させて、3DMark2001などのデモを行なった。

サンプルマザーボードのサウスはVT8231だった このファンの下がMatthew マザーボード全景

 Matthewに集積されているのは、VIA傘下のCentaur Technologyが開発した「C3(Samuel 2:サミュエル2)」CPUコア、S3のSavageMXグラフィックスコア、VIAのPro 266相当のノースブリッジコア。また、LVDSのトランスミッタを統合、サウスブリッジチップとの間は同社の高速インターフェイス規格「V-Link」で266MB/secで結ぶ。ただし、現在のサンプルマザーボードでは、サウスブリッジチップは「VT8231」となっていた。

 Matthewは、0.15μmテクノロジで製造されているSamuel 2コアを統合していることや、現在、技術デモを公開できる段階にあることから考えて0.15μmテクノロジで製造されると見られる。Samuel 2コアは52平方mmとx86 CPU中最小であるため、グラフィックスとノースブリッジを統合しても、100平方mm以下の経済的なダイサイズ(半導体本体の面積)に収まると思われる。

●Matthewはスモールフォームファクタに

プレゼンテーション
 Matthewが実際に製品として出荷されるのは、今年中盤になると見られている。クロックは700MHz程度からになる模様だ。VIAは、Samuel 2 700MHzのTDP典型値を5.11Wと以前に発表している。これは、x86 CPUの中ではかなり低い水準だ。そのため、Matthewの消費電力もかなり低いと思われる。なお、パッケージは551ピンのPBGAパッケージになると言われている。

 また、同社はMatthewをフルデスクトップPC向けではなく、モバイルとスモールフォームファクタのPCおよび「Information PC」向けとみなしているようだ。Information PCは、同社が提唱するPCと情報家電の中間形態。つまり、統合化により、マザーボード上の専有面積を小さくできる点や、消費電力を抑えられることを武器に、ディスクリートCPUとは棲み分ける戦略を取ると見られる。VIAはCeBITでウルトラコンパクトのITXマザーボード規格を発表しているが、Matthewはこうしたフォームファクタに主に適用されるようだ。

 Intelは、統合CPU「Timna(ティムナ)」を、デスクトップPCのローエンドから最初に浸透させようとして失敗した。VIAの戦略は、この轍を踏まないように、できるだけ差別化を意識しているように見える。しかし、SiSが統合CPU「SiS550」を非PCの情報家電市場にだけ投入するのと比べると、やや軸足はPCに寄っている。このあたりの微妙なスタンスの差が、最終的な成果にどう影響するかが見物だ。


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(2001年3月28日)

[Reported by 後藤 弘茂]


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