|
先週末のレポートではホール12、13を中心とした自作PC系パーツのレポートをお伝えした。このレポートではホール12、13などPC関連のブースに展示されていたそれ以外の話題を紹介していこう。
●Handspringは新しいVisor Edgeを、WebPadは大流行中
HandspringのVisor Edge。日本では未発売だが、米国では399ドルで販売されている |
例えば、Handspringは、今月半ばに米国で発表したVisor Edgeを展示していた。Visor Edgeは従来のVisorに比べて大幅に薄型になっているのが特徴で、その厚さはわずか1.1cmというのだから、Palm VやWorkPad c3なみに薄くなったVisorと考えることができるだろう。ただし、標準ではSpringBoardは内蔵しておらず、SpringBoardを利用するには別途アタッチメントを取り付ける必要がある。ちょうど、Compaq ComputerがiPAQで採用しているのと同じような形と考えればよいだろう。
Visor Edgeと従来モデルであるVisor Platinumとの比較。手前にあるPlatinumと比べて、奥のVisor Edgeがいかに薄いかがよくわかる | SpringBoardのオプションを取り付けるには背面に専用のアタッチメントを取り付ける |
ASUSTeK ComputerのH/PCであるAH100。StrongARM SA-1100/206MHzを搭載し、Bluetoothの通信機能も標準で搭載 |
ASUSTeK ComputerはWindows CE 3.0を搭載したH/PCであるAH100を展示していた。
CPUにはIntelのStrongARM SA-1100を搭載し、32MBのRAM、6.4インチのSTN液晶、Type2のCFスロット、56kbpsのモデム、内蔵のリチウムイオンバッテリで最大9.5時間駆動が可能になっている。こう書くと単なるH/PCに聞こえるが、ASUSTeK ComputerによればこのAH100はBluetoothに対応しており、PCとのリンクなどをBluetoothを利用して行なえるという。H/PCでBluetoothが搭載された製品が公開されるのは初めてで、実際に出荷されれば面倒なケーブルでPCと接続する必要がなくなり、便利だ。ただ、本製品はOEM製品であり、そのままASUSのブランドで発売する予定は今のところないという。
このほか、あちこちでWebPadが展示されていたのもCeBITの特徴だ。昨年のCOMDEX/Fallでマイクロソフトのビル・ゲイツ会長がTabletPCという構想をブチあげて以来、各ハードウェアメーカーは競ってペンオペレーションのWebPadを開発しており、今回のCeBITでもPhilips、ASUSTeK Computerを代表に、そこかしこでWebPadやWebTabletと名付けられた製品が展示されていた。
ASUSTeK Computerが展示したWebPad | PhilipsのWebPadであるS10LP-NGはCPUにNational SemiconductorのGeode SC3200を搭載し、Bluetoothの機能をサポートしている。液晶は10.4インチのタッチパネル | こちらはCrusoe(TM3400)を搭載したS10LP-TC。やはりBluetoothもサポート可能 |
●ストレージ関連ではDVD+RWとCD-Rの20倍速書き込みをサポートしたCD-RWドライブが注目の的
リコーのDVD+RWドライブ。バッファアンダーランを防止するJustLink機能が搭載されており、CD-R(12倍速)、CD-RW(10倍速)、CD-ROM(32倍速)に対応している |
また、CD-R書き込みとしては現時点で最速となる20倍速書き込みをサポートしたCD-RWドライブも来場者の注目を集めていた。展示していたのはヤマハとリコーで、ヤマハはCRW2200、リコーはMP7200A-DPで、それぞれCD-Rが20倍、CD-RWは10倍、CD-ROMの読み込みは40倍となっている。それぞれバッファアンダーランを防止するための機能であるSafeBurn(ヤマハ)、JustLink(リコー)が搭載されており、高速に書き込んでも書き込みに失敗することがほとんどないとアピールしていた。
リコーのMP7200A-DP。JustLinkに対応したCD-Rの20倍速書き込みが可能なCD-RWドライブ。速度は20/10/40倍速。インターフェイスはATAPI | ヤマハのCRW2200。ヤマハのバッファアンダーラン防止機能であるSafeBurnに対応しており、速度は20/10/40倍速。インターフェイスはATAPI |
メモリスティックのロードマップ。2002年には256MB、2003年には1GBが実現されるという |
DDCDは現在のCD-ROMのデータ記録密度を倍にすることにより記憶容量を倍にする規格で、CD-ROM(650MB)の倍である1.3GBのデータを記録することができるようになる。今回展示されたのはこのDDCDに対応したCD-RWドライブで、DD-R/RWドライブと呼ばれている。書き込み速度はCD-R/DD-Rが12倍、CD-RW/DD-RWが8倍、読み込みは32倍となっており8MBのバッファを搭載しているという。メディア、ドライブ共に、現行のCD-R/RWと同じようなコストで作ることができるのに容量は倍になるためメリットは決して小さくない。しかし、ソニーが配布していた資料によればDD-R/RWが読めるのはDD-R/RWドライブだけで、通常のCD-ROMドライブやCD-RWドライブなどでは読み込むことも書き込むこともできないという。そうした意味では現時点では普及するかどうか全く不明と言えるだろう。
また、富士通はハードディスクに関する展示を行なった。中でも注目は9.5mm厚ながら30GBを実現したMHN2300ATだ。9.5mm厚で30GBのHDDは、既に東芝も発表しているが、今後こうした30GBのドライブが各社からリリースされることが予想される。サブノートやミニノートのハードディスク容量もそれにあわせて増えていくことになるだろう。
ソニーが展示した128MBのメモリースティック | ソニーが展示したDDCDに対応したDD-CD/RWドライブ | 富士通のMHN2300AT。9.5mm厚ながら30GBを実現。サブノートやミニノートなどのハードディスクの大容量化が期待できる |
□関連記事
【2000年7月5日】ソニー、1.3GBの倍密度CD-ROM/R/RW規格「DDCD」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000705/sony2.htm
●実用期を迎えたBluetooth技術が花盛り
Philipsが展示したコンパクトフラッシュのBluetoothモジュール |
Socket CommunicationsとPhilips、そしてシャープは、CFタイプのBluetooth通信モジュールを展示している。既に1月に米国で開催されているInternational CESなどではソニーがメモリスティックのBluetoothモジュールを、さらに東芝がSDカードのBluetoothモジュールを展示していたが、CFでもそうしたニーズが高いことを証明していると言える。
Socket Communicationsが展示したコンパクトフラッシュ対応Bluetoothモジュール。Windows CE搭載マシンなどで使えるという | Philipsが展示したBluetooth対応ヘッドホン |
各ブースではBluetoothを利用したデモが行なわれており、例えばリコーではデジタルカメラであるRDC-i700からBluetoothを経由して直接プリンタへ書き出すデモや、携帯電話のメモリに格納された文章をBluetooth経由で直接プリントアウトするデモなどが行なわれていた。後者のシステムを利用すれば、例えば駅やビジネスセンターなどにこうしたプリンタを設置しておいて、iモードなどの携帯電話で受けたメールをプリンタで打ち出すサービスなどが実現可能になるという。
リコーブースで行なわれていたRDC-i700からBluetoothで直接印刷するデモ | 携帯電話からBluetoothを経由して印刷するデモ。例えばコンビニにこうしたプリンタが置いてあれば、携帯電話に送られてきた内容をプリントアウトできるようになる |
●IEEE 802.11b無線LAN機能に対応したMini PCIモジュールが出展
メルコの低価格無線LANカードのWLI-PCM-S11。定価で1万円を切る低価格を実現する |
中でも注目は、IEEE 802.11bに対応した無線LANカードの最新バージョンであるWLI-PCM-S11で、現在1万円半ばである価格が、1万円程度になるというローコストバージョンだ。メルコによれば、現行製品から内蔵しているチップを変更することにより低価格を実現するが、その分通信可能距離などは短かくなるという。
Philipsのブースに展示されたIEEE 802.11b/V.92モデムのコンボMini PCIカード。こうしたカードが普及すれば、ノートパソコンに標準で802.11bの無線LAN機能が搭載される日も近いだろう |
□CeBIT 2001のホームページ(英文)
http://www.cebit.de/homepage_e
(2001年3月27日)
[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]