Intel Developer Forum Conference Spring 2001レポート

速報:0.13μmモバイルPentium IIIにSpeedStep2導入

会期:2月26~3月1日
会場:San Jose Convention Center


 Intelが第3四半期に導入を予定している、0.13μmプロセスのモバイルPentium IIIで、SpeedStepテクノロジの次世代技術となるSpeedStepテクノロジ2を導入することが明らかになった。



●Intel関係者がSpeedStep2対応を認める

ポール・オッテリーニ氏の基調講演で公開された0.13μmプロセスのモバイルPentium III搭載ノートパソコン
 昨日のポール・オッテリーニ氏の基調講演レポートでは、0.13μmプロセスのモバイルPentium IIIを搭載したDell ComputerのLatitudeが公開されていたが、そこには「SST2+A3」という謎の走り書きがされていた。

 SST2とは「SpeedStepTechnology2」の略ではないかと昨日のレポートでは推測したが、本日Intelのモバイルプロセッサ担当であるドナルド・マクドナルド氏(モバイルプラットフォームグループマーケティングディレクター)に「0.13μmのPentium IIIでSpeedStepテクノロジ2が導入されるのは事実か? 」という質問をぶつけてみたところ、「そうだ」という答えが返ってきた。

 さらに詳細を質問してみたが、「詳細は現時点ではお話しすることはできないが、製品の出荷までには説明する機会があると思う」とのことで、詳細に関しては明らかにはならなかったが、Intelがモバイル版のTualatinでSpeedStep2を導入するのは間違いないことが確認された。


Latitudeのロゴの横には「SST2+A3」の走り書きが。やはりこのSST2はSpeedStepTechnology2の略だった!
 OEMメーカー筋の情報によれば、OEMメーカーに対してはSpeedStepテクノロジ2で数段階の電圧・クロック可変をサポートするようになるとの説明がされている模様で、AMDのPowerNow!テクノロジやTransmetaのLongRunテクノロジなどと同じような機能を持つようになることが予想される(現状のSpeedStepは2段階のみ)。

 ただし、現時点ではどのように数段階の電圧・クロック可変が実現されるのか、実際に何段階の可変となるのか、などの詳細は明らかになっておらず、今後の焦点はSpeedStepテクノロジ2の詳細がどのようになっているかだ。




●モバイルのトラックで0.13μmプロセスのモバイルPentium IIIの詳細が明らかにされる

「Low Power and High Performance Mobile Processor Technology」のトラックで示された0.13μmプロセスのモバイルPentium IIIの詳細を説明するスライド

 モバイルPC関連のトラックの1つである「Low Power and High Performance Mobile Processor Technology」では、0.13μmプロセスのモバイルPentium IIIの詳細がさらに明らかになった。

★0.13μmプロセスのモバイルPentium IIIの強化点

(1)キャッシュの強化
(2)システムバスのクロックアップ
(3)パッケージの改良
  35mm×35mm×2.4mm
  μFCPGAとμFCBGAがピン互換
  柔軟性あるVID(VoltageID)
(4)IMVP II(Intel Mobile Voltage Positioning II)に対応
(5)Deeper Sleepモードの追加


AnalogDeviceのブースに展示されていたmPGA479Mのソケット。これに0.13μmプロセスのモバイルPentium IIIを挿して利用する

 Intelはキャッシュ周りの強化に関して、具体的には明らかにしなかったものの、OEM筋からの情報によれば、0.13μmプロセスのモバイルPentium IIIのL2キャッシュは512Kbyteに強化されているという。昨日お伝えしたように、OEM筋の情報によれば第3四半期に投入される0.13μmのモバイルPentium IIIの最初の製品は、1.13GHzと1.06GHzというクロックになるという。この中途半端な数字からもわかるように、システムバスは100MHzではなく、133MHzになっているようだ。つまり、システムバスの強化とは133MHzへのクロック上昇を意味していると考えることができる。

 パッケージは初日のレポートでお伝えした、478ピンのPentium 4と同じ35平方mmになることが明らかになった。しかも、ピン数は479ピンとPentium 4よりも1ピン増えているようだ。というのも、展示会場のAnalogDeviceのブースには「mPGA479M」というCPUソケットが展示されており、AnalogDeviceの展示員の説明ではこのCPUソケットは0.13μmのPentium III用であるという。パッケージはFC-PGAを35平方mmに小型化したようなμFCPGAになるようだ。


 筆者の取材により明らかになった情報などを付加してまとめると、0.13μmのモバイルPentium IIIのスペックは以下のようになる。

★0.13μmプロセス モバイルPentium III

動作クロック:1.13GHz、1.06GHz(第3四半期の登場時)
システムバス:133MHz
L1キャッシュ容量:32Kbyte(命令32Kbyte+データ32Kbyte)
L2キャッシュ容量:512Kbyte
パッケージ;μFCPGA(479ピン)、35平方mm
CPUソケット:μPGA479M
省電力機能:IMVP II、DeeperSleepモードの追加、SpeedStepテクノロジ2対応

 このように、0.13μmプロセスのモバイルPentium IIIは、単に製造プロセスルールが微細化されるだけでなく、L2キャッシュの強化、パッケージの変更、省電力機能の強化などによりモバイルCPUとして全く新しいCPUと言っていいほどのダイナミックな変更が加えられる。冒頭の「SST2+A3」の「A3」はこのマシンに搭載されているCPUがA3ステップであるということを意味している可能性が高く、既にかなり開発が進んでいることを示しているといえる(Bxステップが実際の製品版)。夏頃にはこのCPUを採用した魅力的なノートパソコンを手にすることができる見込みであり、期待したい。


□Intel Developer Forum Conference ,Spring 2001ホームページ
http://developer.intel.com/idf/
□関連記事
【2月28日】ポール・オッテリーニ氏基調講演
0.13μmモバイルPentium III搭載ノートなどを初公開
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010228/idf05.htm

(2001年3月1日)

[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]


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