元麻布春男の週刊PCホットライン

値下がりしたRADEON 64MBを試す


●マシン乗り換えのタイミングはOSのバージョンアップ時

 仕事のPCであれ、自宅で使うPCであれ、どんなタイミングで乗り換えを行なうか、というのは難しい問題だ。筆者の場合、通常はOSのバージョンアップ時に行なうのを常としてきた。Windows 9x系OSを使っている筆者は、Windows 95、Windows 95 OSR2、Windows 98、Windows 98 Second EditionとOSのバージョンアップに合わせて、仕事マシンを変えてきた。また、実際には乗り換えに踏み切らなかったものの、Windows NT 4.0やWindows 2000が出た時は、乗り換えを前提に、これらのOSをインストールし、実際に仕事マシンで利用するであろう周辺機器を組み込んで、シミュレーションを行なっている。上で触れなかったWindows Meについては、シミュレーションに至る前に、「移行しない」という決定を行なったため、今もWindows 98 SEを使っている、というかWindows 98 SEリリース時のマシンをいまだに使っているわけだ。

 このままの状態で同じマシンをずっと使い続けられればそれに越したことはないのだが、残念ながらそうもいかなくなってきた。そろそろCドライブの空き容量が心許なくなってきたのである。もちろん、ここで仕事マシンを丸ごと変えなくても、新しい大容量のハードディスクに、現在のハードディスクの内容をそっくり移す、パーティション操作ユーティリティを用いて、ハードディスクもそのままにCドライブの容量だけちょっと増やす、といった手も考えられる。が、この際だから、マシンの乗り換えを検討してみることにした。


●唯一の不満点はステレオTV放送に非対応ということ

 ただしマシンを新しくするといっても、ハードディスクの容量やCPUのクロック、ビデオチップの能力など、性能にかかわる量的な部分について(逆戻りするのはイヤだけれど)、それほど多くを望んでいるわけではない(望む必然性が薄い、というのが業界的には問題なのだろうけれど)。機能的にも、おおむね満足しているのだが、唯一不満を言えばTVチューナの音声がモノラルであることだ。

 筆者が今使っているのはATIのALL-IN-WONDER 128だ。16MBのSDRAMを搭載したRAGE 128ベースのビデオカードに、TVチューナユニットを統合したものだ。グラフィックスチップの世代的には、すでに2世代も前のもの、ということになるが、3Dグラフィックス性能に不満があるわけではない(筆者は、PCでゲームをする方だが、一番最近買ったのがWizardryというありさまでは、3Dグラフィックス性能が不足するハズがない)。それよりは、TVの音声がモノラルである方が不便だ。特に、音楽番組等はかなり辛い。そこで今は、ステレオ音声用にビデオデッキ(以前から据え置き型の8mmビデオデッキを仕事部屋に置いている)の音声出力をヤマハのDP-U50に入力している。

 この状況をどうやって改善するか。一番良いのはTVチューナを統合したビデオカードで、日本のステレオ音声に対応したものにすることなのだが、なかなか良い製品がない。TVチューナが日本のステレオ音声に対応し、MPEG-2キャプチャに対応したもので、ビデオカードと統合した製品というのは、意外と少ない。ATIのシリーズは、最新のALL-IN-WONDER RADEONに至るまで、日本国内ではモノラル対応。3DfxはNVIDIAに買収されてしまった。MatroxのMarvel G400-TVはハードウェアMotion JPEGが好みではなく、スペック的には良さそうなMarvel G450 eTVには今のところ日本語版がない。ASUSのAGP-V7100 Deluxe Comboは、ソフトウェアの完成度がもう一息な感が否めない。


●いっそのこと内蔵チューナをあきらめるのもアリ!?

 この状況でふと目に入ったのがRADEON 64MB版が大きく値下がりとの、AKIBA PC Hotline!のニュース。64MB版にはビデオインとビデオアウトがついており、RADEON 64MBのビデオインについては、ALL-IN-WONDERシリーズ同様、ソフトウェアMPEG-2によるキャプチャができる。TVチューナがないのは不便だが、今もビデオデッキを外付けしているのだから、内蔵チューナを諦める、というオプションも「アリ」かな、と考えたのである。

 というわけで、早速64MB版のRADEONを買いに秋葉原へ出かけたのだが、これがまぁ見つからない。少なくともAKIBA PC Hotline!に店名が載っていたような店のほとんどで、売り切れなのである。といっても、売り切れなのはビデオ入出力機能を備えた64MB版のバルク品とリテールパッケージだけ。同じ64MB版でもビデオ入出力のないバルク品(ビデオ入出力のないリテールパッケージはない)や、32MB版(DDRおよびSDR)なら在庫はいくらでも? ある。


●ALL-IN-WONDER RADEONは在庫はあるがRADEON 64MBは見つからない

 不思議なのは、ALL-IN-WONDER RADEONでさえ、在庫が豊富なことだ。しかも価格は64MB版のRADEONと5千円前後しか違わない。バルク版のALL-IN-WONDER RADEONが3万円前後であるのに対し、ビデオ入出力を備えたRADEON 64MBは23,000円~26,000円というところ。RADEON 64MBの方が32MB分DDRメモリが多いということはあるが、ALL-IN-WONDER RADEONが備えるTVチューナユニットなどの付加価値はそれ以上ではないかと思う。25,000円するRADEON 64MBが完売し、29,800円のALL-IN-WONDER RADEONが残っているというのは、やはりTVチューナがモノラルな点が嫌われたのか、はたまた通常のディスプレイを接続する場合、DVIコネクタのALL-IN-WONDER RADEONでは15ピンD-Subコネクタへのアダプタが必要な点が嫌われたのか、いずれかが理由なのだろう。少なくとも、64MBのビデオメモリが必要なアプリケーション(ゲーム)はほとんどないハズだ(というわけでATIさん、次のALL-IN-WONDERは音声をステレオ対応にしないと……)。

 一時は、買えないかと心配したものの、筆者がようやく買えたのは、某ショップの展示品で、最後の1枚。秋葉原中の店を回ったわけではないけれど、気分としては秋葉原で最後の1枚を買ったような気分だった。

 こうして入手したRADEON 64MB、実際に手に取るのは久しぶりだ。搭載されているメモリは、最大同期周波数166MHzのDDR SDRAM(データレートは333MHz)で、初期のRADEONと変らない(ATIの計画では、途中で183MHzにクロックを上げるという予定があったし、そもそもの発表では最大200MHzだったハズ)。性能より価格に対する要求の方が上回ったのだろうか。


●やはりWindows 2000ではビデオキャプチャが安定動作しない

 それはともかく、RADEON 64MBでちょっと試してみたかったのは、果たしてWindows 2000でビデオキャプチャなどの機能が使えるか、ということ。筆者がWindows 2000に移行しない(移行できない?)理由は、TVチューナ機能(TV表示とMPEG-2キャプチャ)が安定しないことと、DVDの5.1チャネル音声出力がサポートされないことが原因である。RADEON 64MBを入手した機会に、もう1度確かめておこう、というのが狙いだった。

 で、早速やってみたのだが、やはり結果は芳しくなかった。Service Pack 1をあてることで、かなりの改善は見られたが、たとえばキャプチャを終えた後、DVDプレーヤーを起動するとエラーになったり、DVDプレーヤーを終了させた後ビデオキャプチャしようとするとフリーズしたり、といったトラブルを完全になくすことはできなかった。OSとしてWindows 2000の方がWindows 9xより安定しているということに間違いはないものの、こうした特定分野のアプリケーションの動作安定性となると、立場が逆転することもある。MicrosoftはWindows NT/2000をWindows 9xのスーパーセットだと主張するのだが、いまだに完全なスーパーセットになり得ていないのが現状だ(こんなことでWindows XPは大丈夫なのだろうか)。

 これで次の仕事マシンもWindows 9xベースになるのが決まったようなものだが、Windows 98 SEにするか、Windows Meにするかはちょっと悩むところ。せっかくだからWindows Meにしようかとは思っているのだが、まだWindows Meでシミュレーションしたことがないので、何とも言えない。今回、とりあえずWindows 98 SEでRADEON 64MBのビデオ入力機能を試したが、何の問題もなかった。ただ、TVチューナユニットがないため、タイムシフト機能は使えないが、これは当然のこと。最初から承知の上だ。

 RADEON 64MB以外のオプションとして考えられるのは、適当なビデオカードに、別にPCIバス対応のTVチューナカードを加えること。これについても、ちょっと検討しているところだ。今の仕事マシンが潰れたわけではないので、そう急ぐことはない。仕事の合間を見ながら、1つずつシミュレーションしつつ決めて行こうと思っている。

(2001年2月28日)

[Text by 元麻布春男]


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