鈴木直美の「PC Watch先週のキーワード」
第154回:2月13日~2月16日


■■キーワードが含まれる記事名
●キーワード


2月13日

■■ダイジェストニュース
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/digest/

顔料インク
がんりょういんく

 プリンタ等に使われているインクの種類のひとつで、色素に顔料を使用したタイプ。

 インクに使われている色素には、溶剤に溶けるタイプと溶けないタイプとがあり、前者を染料、後者を顔料と言う(※1)。溶性ということは、分子の結びつきが弱く色素が非常に微細であるということで、一般に染料は発色性に優れている。プリンタの場合にはあまり関係はないが、さまざまな色が作れるというのも染料インクの大きな特徴である。不溶性の顔料の方は、粒子が粗いため発色性にやや劣るものの、分子の結びつきが強いので耐水性や耐光性に優れており、にじみにくく、経年変化が少ないという性質を持つ。

(※1) 染料という名は、繊維を染めるための染織材から来ており、顔料の方は、紅や白粉(おしろい)などの今で言う化粧品に由来する。

【参考】
□インクジェット方式
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/971216/key11.htm#ink


■■ 後藤弘茂のWeekly海外ニュース
   Pentium III Dステップの正体は「Coppermine-T」

http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010213/kaigai01.htm

シングルエッジクロッキング(single edge clocking)

 デジタルインターフェイスは、信号線にかける電圧の高低を使ってデータを伝送する。一般的なパラレルインターフェイス(PCのパラレルポートやATA、チップのインターフェイス等)やIEEE 1394では、この高低をいつ検出すれば良いのかを知らせるために、クロック信号あるいはストローブ信号と呼ばれる信号も同時に伝送している(※1)。 クロックの伝送もまた電圧の高低であり、たとえば、ノーマル状態でハイレベルを保っている回路なら、送信側はデータ線をセットしてクロック線をローレベルに下げる。受信側は、クロック線が下がったタイミングをトリガーにデータ線を検出すれば、データ線の状態が的確に読み出せるというわけだ(※2)。  トリガーとなる電圧の変化は、「高→低」、「低→高」の両方が検出でき、一方だけを使用するタイプをシングルエッジクロッキング、両方を使用するタイプをダブルエッジクロッキング(double edge clocking)あるいは、デュアルエッジクロッキング(dual edge clocking)という。

 ダブルエッジクロッキングは、周波数を上げずに高速なタイミングを得ることができるため、高クロック化に伴なう不要な輻射(自分自身が放射する電磁ノイズ)の低減に大きく貢献する。たとえば、オーソドックスなインターフェイスの多くはシングルエッジクロッキングだが、メモリではDDR SDRAM、RDRAMなどがダブルエッジクロッキング方式を使用。デバイスインターフェイスではUltra3 SCSI(Fast-80)やUltra320 SCSI(Fast-160)、Ultra ATAなどの高速転送モード、IEEE 1394bの最高速3,200Mbpsでダブルエッジを用いている。

 クロック信号は、一定の周期でON/OFFを繰り返すため、特に特定の帯域に大きな輻射が集中してしまう。そこでPentium 4などでは、クロック信号にわずかな変調をかけて信号帯域を拡散。ピーク輻射を低減するという技術も用いられており、これを、スプレッドスペクトラムクロッキング(Spread Spectrum Clocking[SSC])と呼んでいる。

(※1) クロック信号は、送受双方に一定の信号を供給するタイプ(コモンクロック方式)や、送信側が生成するクロック信号に受信側が同期するタイプ(ソースシンクロナス方式)がある。
(※2) USBやシリアルATA、Ethernet等のシリアルインターフェイスには、クロック用の信号線は無く、同期用のタイミングは、データ信号に織り交ぜて伝送している。

ディファレンシャルクロッキング(differential clocking)

 クロック信号の伝送にディファレンシャル(差動)インターフェイスを用いる方式。

 1本の信号線に電圧をかけ、グランドとの電位差で伝送する方式をシングルエンド(single ended)方式という。これに対しディファレンシャル方式では、2本の信号線の一方をハイレベルにしたら、もう一方はローレベルにと、対称的(逆相)に駆動する。受信側は、2本の信号線の差をとって信号を判定するので、同じ電圧なら、シングルエンドの2倍のノイズマージンを得ることができる。また、外部から混入するノイズに対しては、2本の信号線にほぼ同相で混入するので、差をとることにより打ち消し合い影響を受けない。高周波を伝送するクロック線では、逆相のラインが自分自身の輻射を打ち消し合うため、外部に対する影響も最小限に押さえることができる。


2月15日

■■ダイジェストニュース
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/digest/

ワープロ専用機

 ワードプロセッサ(word processor)の略称で、文章の作成や編集、印刷を行なうための機器。

 日本語ワープロは、'78年(発売は'79年)に東芝が初めて商品化(TOSWORD JW-10)したもので、'80年にかけて各社が参入。600万円台でスタートした価格も、'80年には1/2~1/3に下がり、'85年には10万円を切る製品も登場する。年間の生産量も100万台の大台を越え、ルポ(東芝)、文豪(NEC)、書院(シャープ)、オアシス(富士通)、キャノワード(キヤノン)、リポート(リコー)といった製品たちが、オフィスや家庭に急速に普及していった。

 当初は、ワープロといえば専用機しかなかったのだが、'80年代に入るとパソコンベースのいわゆるワープロソフトも登場。'83年には管理工学研究所の「松」が、'85年にはジャストシステムから「一太郎」がリリースされ(※1)、こちらも、'90年にかけて大きくシェアを伸ばして行く。ワープロ専用機、ワープロソフトという仕分けがされるようになったのは、この頃からである。

 パソコン本体がその後も順調に出荷台数をのばしてゆくのとは裏腹に、ワープロ専用機は'89年をピークに減少の一途をたどりはじめる。'99年には、遂に100万台を大幅に割る結果となる。既に新製品開発をストップしていたメーカーも多かったが、2000年から2001年にかけ、各社が生産中止やワープロ事業からの撤退を次々に発表。20余年にわたるワープロ専用機の歴史がほぼ幕を閉じることとなった。

(※1) 一太郎に先駆け、ジャストシステムはこの年に「jX-WORD太郎」を発売している。ちなみに'83年には、同社が手がけた最初のワープロソフト「JS-WORD」(NECのPC-100用)もリリースされている。

[Text by 鈴木直美]


【PC Watchホームページ】


ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp

Copyright (c) 2001 impress corporation All rights reserved.