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★ ゲームソフトインプレッション ★

オリジナルの想い出をそのままパッケージ
ソーサリアンオリジナル


スクリーンショット

  • ジャンル:ロールプレイングゲーム
  • 発売元:日本ファルコム株式会社
  • 価格:オープンプライス
    (同社の通信販売価格:6,980円)
  • 対応OS:Windows 95/98/Me/2000
  • 発売日:11月9日
 
【ゲームの内容】
     '87年に発売され一世を風靡したアクションRPG。キャラクタを作成し冒険に旅立つ。キャラクタは歳をとり、世代交代を繰り返しシナリオをクリアしていく。今回オリジナル版の15本が完全復活
【動作環境】
  • CPU:Pentium 200MHz以上 (Pentium II 233MHz以上推奨)
  • メモリ:32MB以上 (64MB以上推奨)
  • HDD:40MB以上 (40MBは標準値、最大560MB)

日本ファルコムのホームページ
http://www.falcom.co.jp/
「ソーサリアンオリジナル」の製品情報
http://www.falcom.com/sor_o/index.html
「ソーサリアンオリジナル」ムービーダウンロード
RealPlayerムービー (sorwdemo.rm) 3.35MB
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000927/sorwdemo.rm
AVIムービー (sorldemo.avi) 27MB
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000927/sorldemo.avi
(両方とも同じ内容です。ダウンロード、再生環境によってお選び下さい)



 「ソーサリアン」がリメイクされるのではないかという噂は、このところさまざまな場所で囁かれてきた。その多くは「イース」シリーズが「イースエターナル」シリーズとしてリニューアルリリースされ「ロマンシア」もリメイクされたことから出た憶測だったようだが、それがついに現実のものとなった。それが、まもなく発売となる「ソーサリアンオリジナル」だ。

 「ソーサリアン」は「イース」と同じ'87年に日本ファルコムが発売したアクションRPG。復活した「イース」に比べると「ソーサリアン」の方は今ひとつ知名度に欠ける感は否めない。古くからのファンにとって、これは少々残念なので、まずはこの「ソーサリアン」というタイトルについて見ていくことにしたいと思う。

● 「ソーサリアン」と「ソーサリアンオリジナル」

 今から13年前の'87年。パソコンといえばまだそのほとんどが国産機だった時代。「ソーサリアン」は、そんな時代に、ホビーユース向けパソコンの名機と謳われたPC-8801シリーズをプラットフォ-ムに誕生し、その後X1やMSX2、PC-9801などに移植された作品だ。「イース」に続くアクションRPGではあったが、俯瞰視点の「イース」に対して、横スクロールアクションのような体裁の「ソーサリアン」は発表当時ユーザーに衝撃を与えたものだ。これは本当にRPGなのだろうか? と。しかし、多くの予想を裏切り「ソーサリアン」は見事なまでにRPGだった。そして、他に類を見ない独創的なアイディアを盛り込み、多くのファンを獲得することに成功したのだ。今回は「ソーサリアン」というゲームそのものを振り返りながら、復活した「ソーサリアンオリジナル」との違いを含めて紹介していこう。

各面には強大な力を持ったキーとなる敵が潜んでいる

・シナリオは全部で15本
 「ソーサリアン」は全15本からなるシナリオで構成されていた。それぞれに目的も難易度も異なるシナリオの中から、プレーヤーは好きなシナリオを選んで冒険に出ることができる。ただし、キャラクタのパラメータや就いている職業などによっては、腕力がなくて扉を開けられなかったり、人々の頼みを聞くことができずにクリアできなくなってしまうこともある。もちろん、敵が強すぎて太刀打ちできないこともあるので“選べる=クリアできる”ではないことには注意が必要だ。多少不親切に思われるかもしれないが、この自由度の高さは後に重要な意味を持つことになる。これに関しては後述することにしよう。

 「ソーサリアン」は、後にPCエンジンやメガドライブ、近いところではドリームキャストといったコンシューマ機にも移植されているが、これらに収録されているシナリオは一部が差し替えになっていたり、全くの新作だったりした。また、3年前にWindows用に発売された「ソーサリアンForever」は、これまた全く新しい5本のシナリオが収録された新作だったため、当時の15シナリオを全て収録したのは、この「ソーサリアンオリジナル」が初めてということになる。名前通りオリジナルというわけだ。

 シナリオは、一度クリアしたら終わりということではない。同じシナリオを何度もプレイすることも可能だし、中にはレベルが低いときには、クリアできても謎の残ったシナリオがあるだろう。そうしたシナリオは、十分にレベルを上げてから再挑戦することで、新たな展開を迎えるかもしれない。

簡単なもので数十分で終了するシナリオから、かなり難しいものまで15本のシナリオが用意されている

・キャラクタのレベルアップ
 他のRPGと同様「ソーサリアン」でもキャラクタはレベルアップする。ただし、冒険の中でどれだけ戦闘を重ねても、クエストを達成しても、その場でレベルアップすることはない。冒険から帰り、城の謁見の間で王様に会うことで、レベルアップは実行される。もちろん、経験値が一定以上になっているのが前提条件。レベルアップすると、パラメータやヒットポイントの上限が上がる。ヒットポイントの上昇は冒険に即有利になるが、パラメータに関しては上限が上がるだけで、パラメータそのものは変化しないことに注意しなければならない。

 パラメータの増減は就いている職業によって変化するほか、街の道場で代金を支払い、修行を積むことでも変化させることができる。また、装備するアイテムによってはパラメータに影響を与えるものもある。アイテムによるパラメータ変化は上限を越えることも可能なので、これを効率的に活用するのが攻略への近道といえるだろう。また、本来の仕様では、冒険中にパラメータが変化することはなかったが「ソーサリアンオリジナル」では敵を剣で倒せば武器攻撃力を司るストレングス、魔法で倒せば魔法攻撃力を司るインテリジェンスが上がり、他方が下がるようになっている。ゲームの進行に大きな影響を与えることはないが、戦闘は確実に有利になるので、決してあなどれない追加要素ということになるだろう。

パラメータなどキャラクタの状況が一目でわかる一覧表 街の道場で鍛えることも可能。ただし歳を1つ取ってしまうのだが

・魔法の存在
 魔法は、7つの星 (要素) から形成されている。火、水、木、月、太陽、金、土。これらの組み合わせによる魔法の種類は120以上にも及び、敵を貫通するものや追尾するもの、味方の回復など、効果もさまざまだ。どのキャラクタの武器や防具、アクセサリなどにでもかけることができるが、マジックポイントやパラメータが必要な能力値に達していなければ発動しない。魔法をかけるには、魔法使いの家で星の種類とかける順番を指定する方法と、魔法学院で魔法自体を指定する方法の2種類がある。

 魔法使いに依頼する場合、かける星の数によって費用や時間が異なり、強力な魔法ほど完成するのに年数が必要になる。また、かける星の順番によっては相対する星が消えてまうなど、思わぬ効果を生むことがあるので注意しなければならない。魔法学校では、求める魔法をかけるのに必要な星の種類 (無料) や順番 (有料) を教えてくれるので、これを利用するといいだろう。

 魔法学院で魔法をかけてもらう場合、同じ魔法でも魔法使いに頼むよりもずっと多くの費用がかかる。そのかわり、時間を進めることなくその場で必要な魔法をかけてもらえるし、星の組み合わせに頭を悩める必要もないのが大きなメリットといえるだろう。資金に余裕ができてきたら、こちらを積極的に利用するといい。

街にある「魔法使いの家」。ここで魔法使いに魔法の作成を依頼する こちらは「魔法学院」。お金より時間が大切な状況ではこちらを利用した方がいいかも

・世代交代するキャラクタ
 シナリオを選択し、一度冒険に出ると、そのシナリオを達成したか否かに関わらず、キャラクタは1つ年を取る。また、道場での修行や魔法使いの家で星を追加するのも1年単位で行ない、職業ごとの賃金の支払いやパラメータ変化も、全て1年ごとに行なわれる。キャラクタは徐々に年を取っていき、たとえ冒険に出なくても、やがては寿命を迎えて死んでしまうのだ。しかし、ゲームはそこで振り出しに戻ることはない。キャラクタが寿命を迎えた段階で、その遺志は子供たちの代へと引き継がれる。パラメータは先代よりやや劣るが、それでも新しいキャラクタを作るよりは有利な値を引き継ぎ、先代が収集したアイテムや資金を駆使して、さらなる冒険へと旅立つのだ。

 寿命はキャラクタによって異なるが、80歳程度の人間 (FIGHTER/WIZARD) に対しデミヒューマン (DWARF/ELF) は長寿だが成長が遅いという特徴を持っている。世代交代を繰り返していくうちにキャラクタの年齢はまちまちになり、レベルの差も出てくるだろう。先述の、シナリオを自由に選択できるというのは、パーティがどんな組み合わせでも冒険に出られるためには、きわめて大きな意味合いを持っているというわけだ。

・追加シナリオについて
 正確には、これは「ソーサリアンオリジナル」ではなく、'87年当時の「ソーサリアン」についての話になる。当時「ソーサリアン」には別売りの追加シナリオが多数登場した。「ソーサリアン追加シナリオ集」「ピラミッドソーサリアン」「戦国ソーサリアン」「宇宙からの訪問者」「ギルガメッシュソーサリアン」「セレクテッドソーサリアン (1~5)」と名付けられたこれらのシナリオ集には、それぞれ2~5本程度のシナリオが収録され、本編とあわせると合計49本のシナリオを、思い入れのあるキャラクタで楽しむことができた。今でこそ追加シナリオの発売は珍しいことではないが、当時はこの点がユーザーに最も高く評価された点だった。

 残念なことに、コンシューマへの移植以降、これらの追加シナリオは発売されていない。ユーザーのプレイ度合いによってキャラクタのレベルに大きな違いが生じるため難易度設定が難しい追加シナリオだけれど、ぜひ今回こそは実現してほしいと思う。願わくば、コンシューマ機や「ソーサリアンForever」のオリジナルシナリオもリリースして、一大ソーサリアン・サーガを完成させてほしいと思うのは、高望みのしすぎだろうか。


数々のイベントが冒険者を待ち受けている

● 20世紀を代表するアクションRPGの名作「ソーサリアン」

 「ソーサリアンオリジナル」は、これまでの「ソーサリアン」の集大成ともいうべき作品だ。アイテムに自由な名前をつけることのできる機能や、冒険中のロード/セーブ機能、持ちきれないアイテムを保存しておける倉庫の存在、魔法学院など、当初「ソーサリアン」にはなく、後になって追加されてきた要素が統合され、全体としては「ソーサリアン」のテイストを正当に引き継ぎながら、プレイしやすさは格段に向上しているという印象を受ける。「イース」が全面的に手を入れ直し、全く新しい作品として生まれ変わったのとは対照的に、当時のイメージを忠実に再現した、文字通りオリジナルの「ソーサリアン」。それが「ソーサリアンオリジナル」だ。

 日本ファルコムの作品は、豪華な特典のつく初回版のあることでも知られている。海外製のソフトにもある、いわゆるコレクターズ・エディションとも呼ばれるものだ。今回は予約限定の「ベリーベストソーサリアン~ART & MUSIC」で、店頭で予約するとその場で入手できるというものだ (数量限定のため手に入らない場合もある) 。豪華なアーティストをそろえ、厳選した曲の中から演奏されるソーサリアンミュージックと、これまでに描かれたイメージイラストの中から選び抜かれたものを収録した大判のアート集は、ファンにとっては単なる特典以上の意味を持つに違いない。

 20世紀の最後の年に登場する、20世紀を代表するアクションRPGの名作「ソーサリアン」。当時熱中した人も、そうでない人も、国産RPGの歴史を再確認する意味でもプレイしてみる価値はあるだろう。

Copyright(C)2000 Nihon Falcom Corporation

【筆者紹介】
  • 名前:山城 宏
  • プロフィール: 過去最大級のスランプに陥ってます。今回の原稿も思ったように書くことができず、各方面にご迷惑をかけてしまいました。反省。でも、ボツにした原稿を読んだ友人いわく「いつもと変わんない」そうで、もしかしたらモノ書きのスランプっていうのは、読む技術が書く技術を上回った時期で、自分の書いたものに納得できないだけなのかもしれないな……と思ってみたりもしています。
レビューハード環境】
  • 使用ハード:自作PC/AT互換機(Pentium III 650MHz、メモリ 128MB、HDD 20GB + 20GB RAID0、CREATIVE 3D BLASTER GeForce256Pro、CREATIVE SOUND BLASTER LIVE! VALUE)

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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp