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★ ゲームソフトインプレッション ★

国産マルチプレイRPGの本命、ついに登場!!
アプサラス


スクリーンショット

  • ジャンル:ネットワークRPG
  • 発売元:株式会社コーエー
  • 価格:8,800円
  • 対応OS:Windows 95/98/Me/NT 4.0/2000
  • 発売日:発売中
 
【ゲームの内容】
     オリエンタルな雰囲気が漂う異世界を舞台にした、マルチプレイ対応のファンタジーRPG。最大8名のプレーヤーでパーティを編成し、互いに協力しながら目的を達成する。パーティ全体で共有するライフポイントや、ダンジョンの散策に一定の時間制限を加えることによって、チームプレイのおもしろさを追求した作品だ。アートワークは、日本ファンタジーアート界の巨匠、末弥純氏。中間色や半透明処理をふんだんに利用したグラフィックが美しい。
【動作環境】
  • CPU:MMX Pentium 266MHz以上(Pentium II 300MHz以上推奨)
  • メモリ:64MB以上(128MB以上推奨)
  • HDD:700MB以上の空き容量
  • CD-ROMドライブ:4倍速以上
  • ビデオカード:800×600ドットHighColor以上
  • グローバルIPアドレスが割り振られない環境でのインターネットプレイは不可

コーエーのホームページ
http://www.gamecity.ne.jp/
「アプサラス」のページ
http://www.gamecity.ne.jp/apsaras/
http://www.gamecity.ne.jp/products/products/ee/new/apsaras/index.htm
「アプサラス」最新Patch
http://www.koei.co.jp/netgame/apsaras/patch.htm
「アプサラス」シングルプレイ版のデモ版ダウンロード
(クリックするとダウンロードを開始します。46.2MB)

http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/game/apsaras1.zip



 βテストの段階から2度に渡って追いかけてきた、コーエーのマルチプレイ型ファンタジーRPG「アプサラス」がついに発売された。世界観やゲームシステムについてはすでに書いたとおりだが、製品版が登場したいま、「アプサラス」ならではの特徴や楽しみ方について、改めて紹介したい。また今回は「アプサラス」の開発リーダーであるコーエーの安西崇氏にも直接お話を訊くことができたので、そのインタビューも合わせて掲載する。

● 本格的なマルチプレイ型ファンタジーRPG

コーエー様から「アプサラス」のデスクトップアクセサリ「アプサラス時計」を提供いただきました。ご自由にダウンロード下さい (791KB)
 ではまず、「アプサラス」について軽くおさらいしておこう。ゲームの舞台となるのは、「セレスティア」という異世界だ。長い間平和が続いていたこの世界に突如異変が訪れ、龍の森や沼にモンスターが現れるようになってしまった。この世界に再び秩序を取り戻すため、巫女レーファによって召喚された勇者があなた、つまりプレーヤーが演じるキャラクターという設定。選択できる職業は、剣士、龍術士、龍神官、盗賊の4種類。インターネットを経由したマルチプレイに対応し、最大8人がパーティを組んで共に戦うことができる。

 プレイ画面はクォータービューが使われているが、「アルファブレンディング」と呼ばれる独特の光学処理を随所に盛り込み、光と影の使い方が絶妙に美しい。透明感のある輝きや光のフレア、そして薄く漂う霧の描写が見事だ。キャラクターデザインを含むアートワークは、日本ファンタジーアート界の巨匠、末弥純氏が手掛けている。

● シングルプレイでも楽しい

村にある店で必要な装備を揃える。持ち切れないアイテムはトランクの中へ
 マルチプレイで楽しむ場合は、まずコーエーが開くロビーサーバーへ接続し、そこでチャットをしながら共に戦うメンバーを集う。メンバーが決まったら、その中の一人が自分のパソコンをサーバーとしてゲームを主催し、他のプレーヤーに公開する仕組みだ。5つある中からどのダンジョンに向かうかは主催者が決めるが、もちろん事前に他のメンバーからの要望を聞くか、もしくは主催した内容で異論のないメンバーを招くか、どちらかになるだろう。こうして編成されたメンバー全員が、1つのパーティとして互いに協力しながらダンジョンを攻略し、その奥に潜むボスキャラを倒すのが目的となる。「アプサラス」ではパーティに参加する者全員が同じ“命”を共有する「パーティライフシステム」を採用しているので、「自分だけが生き残ればいい」というわけにはいかない。“命”を共有する者同士の一体感が、プレイを盛り上げる。ダンジョンの各面には時間制限もあり、ゲーム全体の展開もスピーディだ。

 このように「アプサラス」はマルチプレイが前提となっているが、もちろんシングルプレイでも楽しめるように配慮されている。一人でも無理なく戦えるようバランスが調整され、ダンジョンの難易度も変更することが可能だ。キャラクターを育てながらクエストを解いていくおもしろさを、存分に味わえると思う。マルチプレイを始める前の練習としても、シングルプレイは重要だ。ただしシングルプレイとマルチプレイはまったく別なゲームとして切り分けられているため、キャラクターの互換はない。シングルプレイで育てたキャラクターをマルチプレイで使うこと、またその逆もできないので、この点だけは注意してほしい。

選べるキャラクターは剣士、龍術士、龍神官、盗賊の4種類 能力値と属性は毎回少しずつ違う。好みのキャラクターを選ぼう セレスティアの巫女ルーファが勇者を呼び寄せたところから物語は始まる


● 属性を切り替えながら戦う

能力値と装備の一覧。いまキャラクターがどんな状態か、ひと目でわかる
 ところで、「アプサラス」にはいくつか大きな特徴がある。まずひとつは、属性の存在だ。このゲームでは、登場するキャラクターやアイテム、モンスター、龍術(魔法のようなもの)すべてに、東洋の五行思想に似た「相乗相克」の関係がある。たとえば「地」の属性は「水」の属性に強く、「水」の属性は「火」の属性に強い。しかし「火」の属性は「風」の属性に強く「風」の属性は「地」の属性に強い……といった具合に、ちょうどジャンケンのように一巡しているのだ。つまり「火」の属性を持つモンスターと戦う場合は、「水」の属性を持つキャラクターや武器を使えば有利だが、逆に「風」の属性を持つキャラクターや武器では不利ということになる。装備を整えたりパーティを組む場合は、単にレベルの高さや見た目の強さだけではなく、属性についても考慮する必要があるだろう。

 キャラクターは予め3種類の装備を登録しておくことができるので、それぞれに違う属性を割り当てると便利だが、すべての属性で優れた装備を整えるには莫大な費用が掛かる。また装備全体の重量がかさめば“重量オーバー”でダンジョンにはいることができなくなってしまう。これから向かうダンジョンの特性やパーティ全体のバランスを考え、その都度、もっともスキがない装備を整えるようにしよう。ちなみにゲーム序盤のダンジョン「魂の森」は、「地」「火」「水」の属性を持つモンスターが多い。「風」の属性をベースに、「地」と「水」を切り替えて戦えるような装備を選ぶと楽だ。

 次に、アイテムの合成ができること。「アプサラス」では、手持ちのアイテムを2つ掛け合せることによって、新しいアイテムを作り出すことができる。ダンジョン内で手に入れたアイテムや他のプレーヤーから貰ったアイテムを掛け合わせて強力なアイテムを合成できるかどうかが、キャラクターの戦闘力を決める重要なカギとなるだろう。

 アイテムの合成は、まず先に1つを選び、それに追加する形でもう1つのアイテムを指定する。形や大きさなど物理的な属性は最初に選んだアイテムから、属性や特殊能力は後から選んだアイテムから引き継がれるので、同じものを合成してもどちらを先に選ぶかによって合成後の結果は変る。合成しても変化が無かったり、装備できないアイテムになってしまうこともあるので注意してほしい。また、アイテムの合成には思いのほか費用が掛かる。無闇に合成を繰り返すと、あっというまに手持ちの資金が消えてしまうので、ムダが生じないよう慎重に行なうこと。選ぶ職業によっても強化すべきポイントは変るのだが、一点豪華主義より装備全体の質を高めるようにしたほうが、費用の負担は安く済むと思う。つい武器や鎧に目が行ってしまいがちだが、脚絆や額金、腕輪の強化も有効だ。

手に入れたアイテムの中から、自分が欲しいものを選ぶ アイテム同士を合成し、より強力な新しいアイテムに変化させることもできる
最初の冒険地「魂の森」。木でできた巨人が群れで襲いかかってくる ハデな魔法が炸裂。ただし、属性を知った上でかけなければ意味はない



● マルチプレイRPGのおもしろさを上手に演出した作品

 設定、そして操作方法はとてもシンプルだが、「アプサラス」にはマルチプレイRPGとしての魅力がギュッと濃縮されて詰まっている。たとえば参加者全員が“命”を共有するパーティライフシステムは、自然な形でパーティの仲間意識を生み出す。巧みに仕掛けられた属性も、単にレベルや装備だけで優劣が決まらない奥の深さを、このゲームに与えた。手持ちのアイテムを合成できるシステムもユニークだ。プレーヤーが自分で試行錯誤しながら、よりよい装備を揃えていけるというところがいい。ひとつひとつは本当にちょっとしたアイデアなのだが、ゲームをおもしろくするための仕掛けがいくつも用意されていて、それが結果的に「アプサラス」を他のマルチプレイRPGとはまったく違う楽しさのあるゲームにしているのだと思う。ちなみにデスマッチ形式のゲーム「サバイバル」も用意されているので、お好きな人はどうぞ。

 βテストを始めてから約3カ月間このゲームに触れてきたが、いま一番強く感じるのは「国産のマルチプレイRPGもすごくいいじゃないか!!」ということだ。いままでは「Diablo」、「UO」、「EverQuest」と、「おもしろいマルチプレイRPG=海外作品」という構図だったが、これからは違う。日本語で遊べる良質なマルチプレイRPGが、おそらく今後次々に登場してくるに違いない。その先駆として、この作品「アプサラス」をぜひ体験してもらいたいと思う。

海底のようにも見える幻想的な“砂漠”のステージ。かなり敵が強いので、仲間と協力していかなければクリアは難しい



● ゲームデザイナー安西崇氏が語る「アプサラス」の世界

安西 崇氏
 製品版の発売を目前に控えた9月19日、「アプサラス」のゲームデザインを担当し、また開発チームのリーダーを務めたコーエーのソフトウェア事業部、安西崇氏に直接お会いする機会に恵まれた。開発にまつわる話やβテストの成果などについても訊くことができたので、その一部を紹介したい。


 「アプサラス」の開発にはどのくらいの時間が掛ったのですか?

安西氏 皆さんのおかげで、ようやくここまでこぎつけました。構想はだいぶ前から練ってはいたのですが、本格的に始動したのは'99年の7月からですね。

 こういった形の、つまりファンタジー系のマルチプレイRPGを作ろうとなさったきっかけは?

安西氏 実は、私自身が「Diablo」が大好きで、ずいぶん遊んだという経緯がありまして。また、弊社は「信長の野望Internet」や「三國志Internet」というシミュレーション系をやってきましたから、それに続く第3弾として今度はRPGをやりたいという希望もありました。

 「アプサラス」は、その背景設定やグラフィック、音楽までいままでのコーエーとはかなり違う……いわば、いい意味での“裏切り”を感じるのですが。

安西氏 そういっていただけると、すごくうれしいです。「アプサラス」では、我々自身が新しいことに挑戦してみました。まず、ヨーロピアンファンタジーではなく、東洋的のセンスを取り入れた設定にしたこと。アートワークを末弥先生にお願いしたのも、こうした世界観を表現できるのは末弥先生しかいないと考えたからです。結果、とてもすばらしいものを描いていただいて、逆に我々自身が「アプサラス」のイメージを強く固めることができました。

一問一問、丁寧に答えてくれた安西氏
 東洋的なファンタジーRPGをデザインする上での難しさというのは、ありましたか?

安西氏 ええ。いままでやったことがなかっただけに、試行錯誤の繰り返しでした。登場するモンスターひとつをとっても、ずいぶん苦労しました。その結果たどりついたのが、自然との調和というか、共棲という概念です。「アプサラス」に登場するモンスターは、自然界から生まれたものがほとんどです。もともとは野生の動物や植物だったものが、環境の変化によって狂暴化したという設定にしました。

 約3カ月の間βテストをなさいましたが、テスターの皆さんからの反応はいかがでしたか?

安西氏 本当に多くのご意見をいただきました。モンスターの配置や強さは、テスターの皆さんから寄せられたご意見をもとにして再調整しています。掲示板にとんでもない攻略法がアップされたこともありまして、そのときは「やられた!」と思いましたよ。「アプサラス」の完成度を高める上で、βテストは本当に役立ちました。ご協力いただいたテスターの皆さんには、心から感謝しています。

 安西さんご自身は、ネットワークゲームの将来をどうお考えですか?

安西氏 今後ネットワークを利用したゲームが発展することは、たしかでしょう。しかし、その条件が十分に満たされたとは思っていません。通信インフラの整備やコストの問題が大きいですね。これらの問題が解決してインターネットへの常時接続が当たり前になれば、ネットワークゲームは一気に広がるのではないでしょうか。とても魅力的な分野ですから、弊社も、そして私自身も、今後も係わり続けたいと思っています。

 本日はありがとうございました。最後に読者の皆さんにメッセージをお願いします。

安西氏 マルチプレイでも、そしてシングルプレイでも遊べるように作りました。「アプサラス」の世界を、ぜひお楽しみください。

“火山”のステージ。ここまで来ると敵の攻撃もかなり激しくなっている


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【筆者紹介】
  • 名前:駒沢丈治(こまざわじょうじ)
  • プロフィール:「アプサラス」はクセになるゲームだ。一度始めると、なかなか切上げることができない。アイテムを整理したあと、またぞろダンジョンへと向かってしまう。おかげですっかり睡眠不足になってしまったが、こんなおもしろい作品を遊べるならそれもオッケーだ。
レビューハード環境】
  • 使用ハード:自作PC/AT互換機(Athlon 750MHz、メモリ 128MB、HDD 20GB、24倍速CD-ROM、Diamond Viper V550、Sound Blaster 64 PCI)

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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp