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メルコ AirStation ISDN セットモデルWLS-128S ISDNルーター機能を内蔵した 無線LANシステム TEXT：法林岳之　Takayuki Hourin

背面にはISDN機器用のS/T点を備えるほか、有線ネットワーク用のコネクタも用意されている。前面に液晶ディスプレイを持たない点は残念なところだ

　低価格の無線LANシステムを販売するメルコからISDNルーター機能を搭載した「WLAR-128」が発売された。メルコが販売する無線LANシステム「AirStationシリーズ」は、最大11Mbpsの無線通信が可能なIEEE802.11bに準拠し、相互接続性を確保する無線LAN国際規格認定マーク「Wi-Fi」も取得するなど、信頼性の高い製品として評価を得ているが、WLAR-128により、フレッツ・ISDNの環境でも手軽に無線LANシステムが利用できるようになるわけだ。今回は、このWLAR-128と無線LANクライアントカードWLI-PCM-L11がセットになった「AirStation ISDN セットモデル WLS-128S」のレビューをお届けする。

　WLAR-128本体にはDSUを内蔵しており、ほかのISDN機器を接続するためのS/T点端子も二つ備える。屋内配線逆転時の反転スイッチも備えるが、DSUの切り離し（DSU機能のOFF）はできない。利用場所は屋内配線の引き込み口の近くに限られるが、データ通信については無線LANシステムなので、事実上、問題はないだろう。

無線LANクライアントカードのWLI-PCM-L11。TypeIIのPCカードだが、アンテナ部がスロットからはみ出る形となる

　アナログポートは二つを備え、フレックスホンやi・ナンバーなどにも対応する。ただし、本体には液晶ディスプレイが備えられておらず、INSナンバー・ディスプレイではアナログポートに接続したナンバー・ディスプレイ対応機器に発信者番号が表示される。NTTとの契約なしに利用できる疑似機能は、INSキャッチホンをはじめ、フレックスホンと同等の機能を持つ。

　無線LAN部分はほかのAirStationシリーズとまったく同等で、最大11Mbpsの通信が可能だ。従来の2Mbpsモデルとの相互接続も実現しており、Wi-Fiマークを取得したクライアント用無線LANカードであればWLI-PCM-L11以外でも接続可能だ。セキュリティに関しては、標準的なESS ID（Extended Service Set IDentity）、クライアント用無線LANカードのMACアドレス登録、WEP（Wired Equivalent Privacy）に対応しており、通常の利用でまず不満を感じることはない。

簡易設定モードからは無線LANとしてのステーションの設定のほか、プロバイダのアクセスポイントとユーザーアカウントの設定などもできる。理解しやすいインターフェースだが、使われている用語はやや専門的だ

　イーサネットケーブルによる接続も考慮されており、本体には10BASE-T/100BASE-TX対応の4ポートスイッチングハブも用意されている。

　ISDNでのデータ通信は、64/128kbps同期通信モードに対応し、リソース／スループットBODにも対応する。もちろん、フレッツ・ISDNでの接続も確認されている。自動接続／切断機能も搭載しているが、不正発信を防ぐためのフィルタ機能も標準で設定されており、課金制限や時間制限タイマーなども用意されている。

　設定はWWWブラウザで表示される設定メニューを利用するが、これを呼び出す以前の初期設定は有線LANだけでなく、無線LAN側からも設定できるようにしている。ISDNルーター部分の設定メニューはフレーム表示のもので、機能別に整理されているため、比較的分かりやすい。ただ、ほかのビギナー向けISDNルーターに比べると、やや専門用語が多い傾向にある。

　データ通信のパフォーマンスは問題なく、フレッツ・ISDNの環境でも快適にワイヤレス通信を利用することができた。DSU機能がOFFにできないことや液晶ディスプレイがないことなどの細かい不満点は残るが、これ1台でワイヤレス通信環境が整う魅力は大きい。フレッツ・ISDNで常時接続を目指すユーザーやLAN環境の配線に悩むユーザーにお勧めしたい製品だ。