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NEW PRODUCTS TESTREPORT


カノープス
SPECTRA F11

高画質と低価格の両立を図った
GeForce2 MX搭載ビデオカード

TEXT:天野 司 Tsukasa Amano



SSHやDFHテクノロジに対応したカードとしては安価なSPECTRA F11。バランスのよいカードだ
 カノープスが発売したSPECTRA F11は、nVIDIAのビデオチップ「GeForce2 MX」を搭載したビデオカードである。GeForce2 MXは、高性能で人気を集めるハイエンドチップGeForce2 GTSに対し、ミドルレンジのユーザーをターゲットにしたものだ。そのコアは1世代前のGeForce 256のダイサイズを縮小し、低消費電力化を図ったものである。このため、レンダリングパイプライン数はGeForce2 GTSの4本に対し、前者と同様の2本となる。ただ、GeForce2 GTSで追加された新機能も備えているため、1ピクセル単位でのシェーディングやライティングといった処理にも対応する。


0.18μmプロセスで製造されるnVIDIAのGeForce2 MX。その処理能力は700MTexel/sにも達する
 さらに MX独自の機能として、1チップで二つのディスプレイをサポートするTwinViewや、画像の明るさを調整するDigital Vibrance Controlなども持っており、かなり「お得な」チップと言える。現在、同社のラインナップにはGeForce2 GTSを搭載したハイエンド製品SPECTRA 8400があるが、F11はこの下位機種という位置付けだ。

 F11のハードウェアは、基本的にこれまでのSPECTRAシリーズ同様、価格よりもクオリティ面を重視した設計となっている。アナログRGB信号をメイン基板から分離させたSSH(Signal Super Highway)や、二通りのアナログフィルタを選択可能なDFS(Dual Filtering System)など、同シリーズ独自の機能はしっかりと継承されている。


「MEDIA CRUISE」。ビデオキャプチャ/再生、オーディオ再生など数多くのマルチメディアファイルを扱える(画面ははめこみ合成)
 しかし、チップの消費電力が小さいため、カード上にはSPECTRA 7400から8400までで備えられていた、独立した電源コネクタは存在しない。それでも余裕のある電源レギュレータが搭載されていたり、高価ではあるがノイズ除去性能に優れたコンデンサ「OSコン」が採用されていたりする点などは、贅沢さを感じさせる。

 冷却ファンもやはり信頼性に優れた国産のものだ。ビデオメモリはSPECTRA 8400と同じく32MBだが、DDRメモリではなく、メモリクロック166MHz動作のSDRAMを採用している。ただし、このチップは、マージンを見て184MHzまで対応可能なチップのようだ。


従来機同様、SSH-Type-BコネクタやBB75ケーブルなども使用可能だ
 GeForce2 MXの特徴でもあるTwinViewには現時点で未対応だが、アナログRGB端子を取り換え可能というカードの構造と、用途の公開されていない拡張端子が用意されていることから、オプションとして対応する可能性も否定できない。

 ソフトウェア面では、従来同様nVIDIAのリファレンスドライバに対してカノープスが独自にチューンナップを施したオリジナルドライバが付属する。このほか、統合型マルチメディア制御アプリケーション「MEDIACRUISE」、ハードウェアT&Lに対応した3Dソフト「SLシミュレーター蒸気機関士LE」などもバンドルされる。


ベンチマーク環境 CPU:Pentium III 800EBMHz、マザーボード:Intel D815EEA、メモリ:PC133対応SDRAM 128MB(CL=2)、HDD:IBM DTLA-307030(30GB)、Vsync=OFF、1,024×768ドット/32bitカラーモード
 ベンチマーク結果を見ると、SPECTRA 8400や、GeForce 256とDDR SDRAMを組み合わせたSPECTRA 7400DDRなどにはおよばないが、GeForce 256とSGRAMの組み合わせとなるSPE CTRA 7400とほぼ同等の値を示している。さらに、同じGeForce2 MX搭載カードのASUSTeK AGP-V7100との比較では、僅差とはいえ優っており、ドライバチューニングの成果を見て取れる。

 数々の贅沢なパーツを採用している関係上、ミドルレンジ向けといえども、F11の価格はほかのGeForce2 MX搭載製品に対して実売で10,000円程度高価になる。とはいえF11と他製品との間には、ブランド力の差にとどまらない品質の差が存在することも確かだ。実際、その画質は従来製品同様、高解像度でもシャープで見やすいもので、ドライバ設定の使い勝手も良好だ。こういった部分に価値が見いだせる人には、お買い得感の高い高品質モデルと言えるだろう。


  • 製品名:SPECTRA F11
  • 標準価格:29,800円
  • メーカー:カノープス株式会社
  • 問い合わせ先:078-992-6830
  • URL:http://www.canopus.co.jp/
  • ビデオチップ:nVIDIA GeForce2 MX
  • ビデオメモリ:32MB SDRAM
  • 最大解像度:2,048×1,536ドット/1,677万色
  • インターフェース:Dsub 15ピン×1
  • 対応OS:Windows 98/2000/NT 4.0+SP5以降

    ■写真撮影
    若林直樹(STUDIO海童)

    □カノープスのホームページ
    http://www.canopus.co.jp/
    □製品情報
    http://www.canopus.co.jp/catalog/spf11/spf11_index.htm
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    ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp