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Intel Developer Forum Fall 2000前日レポート

Intelが、Pentium 4やシリアルATAをデモ

会場となったSan Jose Convention Center。サンノゼ市のダウンタウンに位置している

会期:8月22日~24日(現地時間)

会場:San Jose Convention Center


 開発者向けのイベントIntel Developer Forumが、8月22日~24日(現地時間)の3日間にわたりカリフォルニア州サンノゼにあるSan Jose Convention Centerで開催される。インターナショナルプレスプレビューデーとなった本日は、午前中に引き続きUSB 2.0に関するデモンストレーション、デモショーケースなどが行なわれた。


●Intelはプロセス技術と300mmウェハで他社をリードする

Intel テクノロジマニファクチャリンググループジェネラルマネージャのMike Splinter副社長
 午後の最初のセッションとして「Intel Technology and Manufacturing Overview」と名付けられたセッションが行なわれた。Intelの副社長でテクノロジマニファクチャリンググループジェネラルマネージャのMike Splinter氏によれば、「'97年以来、Intelは2年サイクルで新しいプロセス技術を投入してきた。こうした優れたプロセス技術でIntelは他社をリードしている」と述べ、優れたプロセス技術こそが、ほかの半導体メーカーに対する強みであるという見解を明らかにした。

 その上で、同社が2001年に導入を予定している0.13μmプロセスについての詳細を明らかにした。Splinter氏によれば、同社の0.13μmプロセス技術は以下のような特徴を持っているという。

・ゲート長:0.18μmプロセスに比べて30%削減
・配線:銅配線
・動作電圧:1.2V以上

 となっており、アルミ配線で動作電圧が1.5V以上となっている0.18μmプロセスに比べて消費電力が少なくなる。0.13μmプロセスは、2001年の第1四半期から徐々に生産が開始され、2002年には0.18μmと出荷量が逆転する予定になっている。

 また、Intelはウェハの大きさを、現在の200mmから300mmへ移行させる。これにより、生産量が飛躍的に増えるほか、製造コスト面でもメリットがある。今回Splinter氏は実際に300mmウェハを持ってきて、200mmウェハと比較して見せた。Intelはプロセス技術と300mmウェハの導入で他社に先行しようしているのだ。

Intelの0.13μmプロセスを説明するスライド。1.2Vまで動作可能ということは、0.13μmで作られるTualatin(0.13μmのPentium III)やNorthwood(0.13μmのPentium 4)は現行の0.18μmプロセスのCPUコアよりも消費電力・発熱を押さえることができそうだ 0.13μmのプロセスルールのCPUコアを立ち上げるまでのスケジュール。2001年の第1四半期から始めて、徐々に立ち上げていく 300mmウェハを手に持つSplinter氏。Splinter氏の右手にあるのが300mmウェハで、左手に持っているのが200mmのウェハ


●USB 2.0に対応したデバイスをデモ

 USB 2.0に関するテクノロジデモでは、USB 2.0に対応したデバイスが公開された。NECでは同社が開発したUSB 2.0対応コントローラを搭載したUSB 2.0インターフェイスカード、USB 2.0対応ハブ、USB 2.0からIDEに変換するボードなどを展示していた。それらを利用して、USB 2.0対応相当のCD-ROMドライブと、USB 1.1にのみ対応しているZIPドライブを混在させて双方のドライブにある動画ファイルをなめらかに再生させることができるというデモンストレーションを行なっていた。

USB 2.0に対応したUSBハブを6段重ねて利用しているデモ。ここにUSB 1.1のフルスピード(12Mbps)とUSB 2.0でサポートされるフルスピード(480Mbps)のデバイスを接続してちゃんとデータ転送ができる実験を行なっていた USB 2.0をUltra ATAに変換するボード。こちらはまだ試作段階だが、IDEのCD-ROMドライブをUSB 2.0のバスに接続できていた

 また、春のIDFではシミュレーションチップのみを公開したスキャナコントローラメーカーのNetChipも、実際のコントローラチップを公開した。公開されたNET2290は、USB 2.0をサポートしたスキャナコントローラで、やはり今回もスキャナに搭載してスキャニングしUSB 1.1のプリンタに出力するというデモンストレーションを行なった。また、USB 2.0対応HDDとUSB 1.1対応HDDを混在させ、転送速度を比較して問題なく動作できるというデモが印象的だった。

 USB Inplements Forumの議長であるJeason Ziller氏によれば、USB 2.0対応のデバイスは「当初の予定通り、今年の第4四半期には市場に登場する予定」であるという。しかし、IntelのチップセットがUSB 2.0に対応するのは、2001年の第2四半期にIntel 815/815Eの後継として出荷されるAlmador(アルマドール、開発コードネーム)チップセットに導入される予定の新しいサウスブリッジ「ICH3」だ。このため、たとえ2000年第4四半期中にUSB 2.0に対応したデバイスが登場しても、USB 2.0に対応したUSBホストカードを追加しなければ利用できないことになる。基本的にはチップセットで標準的にサポートされなければ、普及するのは難しく、実際にUSB 2.0が立ち上がるのは2001年の第2四半期以降と考えるのが妥当と言える。

 ただ、何はともあれ実際に動作するチップやデモストレーションが行なえるデバイスが増えてきたことで、USB 2.0に関する製品が出荷にこぎ着けるまであと少しという印象を受けた。

USB 2.0に対応したUSBインターフェイスカード。NECのUSB 2.0コントローラを内蔵している NetChip社のUSB 2.0対応のスキャナコントローラであるNET2290


●展示会場ではPentium 4やシリアルATAのデモが行なわれる。

 夕方からは展示会場であるDemo Show Caseが開催された。本日は開催日前日のせいか、完全に準備が整っていないブースも多かった。

 そうした中でもっとも気合いが入っていたのは主催者でもあるIntelだ。Intelのブースでは詳細が明らかにされたばかりのPentium 4システムの展示を行なった。展示員の説明によれば、搭載されているPentium 4のクロックは1.4GHz、チップセットはコードネームTehamaことIntel 850チップセットで、マザーボードのコードネームはGALIBALDI(ガリバルディ)であるという。

 CPUには非常に大きなCPUクーラーが装着されていた。CPUを設置する部分には、熱伝導性をよくするためか銅が採用されているほか、ヒートシンク、CPUファンともに大型のものが装着され、「これでよく落ちないな」と見ていて心配になってしまうほどだ。なお、チップセットにもヒートシンクがつけられており、型番などを確認することはできなかったが、サウスブリッジにはICH2が採用されているのが確認できた。

CPUとノースブリッジのアップ。CPU、ノースブリッジともにクーラーが取り付けられているので型番などを確認することはできない Pentium 4/1.4GHzとIntel 850チップセットを採用したPentium 4のシステム。256MBのDirect RDRAMがメモリとして採用されている

 さらに、Intelのブースでは2月のIDF Springで発表された次世代ATAであるシリアルATAの実機によるデモンストレーションも行なわれた。2月のIDF Springでは実際には動作していない状態での展示だったが、今回はPCIのインターフェイスカードと、ネイティブでシリアルATAをサポートしたSeagate製のHDDを組み合わせて動作していた(ちなみにこのデモもPentium 4搭載マシン上で行なわれていた)。

シリアルATAに対応したインターフェイスカード。デュアルチャネルだが、今回は1チャネルしか利用されていなかった シリアルATAのHDD。説明員によればネイティブでシリアルATAをサポートしたエンジニアリングサンプルで、実際に転送することができていた

□IDF Fall 2000のホームページ(英文)
http://www.intel.com/design/idf/index.htm?iid=update+000818&

(2000年8月22日)

[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp