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速報:発表されたばかりのPentium III 1.13GHzをテスト! |
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●Pentium III 1Gzと同じく「限定数」として登場したPentium III 1.13GHz
8月1日にIntelはSECC2版のPentium III 1.13GHzを発表した。3月に発表されたPentium III 1GHz(実際には1.0B GHz)と同じように出荷量は「限定数」となっており、やはり大量出荷に先立つ限定版であるという印象が否めない製品だ。現時点ではライバルであるAMDが1GHzを越える製品をリリースしていないことを考えると、IntelがAMDを「数字」で抜くという意味を持つ「マーケティング指向」な製品だと考えるのが妥当なところだろう。しかし、だからといって機能に制限があるわけでもなく、千個ロットの値段も990ドル(日本円では107,700円)となっており、特別に高いわけではない。ただし、「限定数」出荷ということからもわかるように、入手性は良くないが、通常のCPUとしての動作には問題はない。
しかし、電圧はPentium III 1.0B GHzの1.7Vから1.8Vに上がっている。消費電力もPentium III 1.0B GHzの26.1Wに比べてかなり上がった35.5Wとなっている。このため、CPUクーラーへの要求も上がっており、今回テストしたサンプルマシンにも巨大なファンとヒートシンクが取り付けられていた。実際にバルクなどで出回った場合には、かなり強力なCPUクーラーが必要になるのは間違いないだろう。
なお、余談だが最新のPentium IIIのデータシートには、いつのまにかシステムバスが100MHzのPentium III 1.0GHzが追加されている。情報筋によれば、IntelはOEMメーカーに対してこのPentium III 1.0GHzはサーバー・ワークステーションといった特定用途に投入される製品であると説明しており、一般的な用途には投入されることはなさそうだ。
●x86互換CPUとしてはまぎれもなく最速
今回は、Ziff-Davis,Inc.のWinBench99に含まれるCPUmark99、FPU WinMark、MadOnion.comの3DMark2000、BAPCOのSYSmark2000の4つのテストを行なった。
CPUmark99はCPUの整数演算能力を計測するテストで、主にL2キャッシュの動作速度などが結果に大きく影響を与える。FPU WinMarkはその名の通り浮動小数点演算ユニット(FPU)の演算性能を計測するテストで、一般的な浮動小数点の演算を行なうことによりFPUの基本性能を計測する。インターネット・ストリーミングSIMD拡張命令(SSE)や3DNow!テクノロジといった拡張命令には対応しておらず、純粋なx87のFPUの性能を計測する。
SYSmark2000はMicrosoftのWord2000、Excel2000、PowerPoint2000、AdobeのPhotoshopといった実在のアプリケーションの本物のコードを実際に走らせてPCの処理能力を計測するアプリケーションベンチマークだ。実際にユーザーがアプリケーションを利用する環境でのテストとなるので、比較的ユーザーの体感に近い結果がでる。さらに、MadOnion.comの3DMark2000は、DirectX 7の3Dゲーム環境における処理能力を計測するベンチマークテストで、3Dアプリケーションにおける性能を計測することができる。なお、今回は比較対象として、Pentium III 1.0B GHz、Athlon 1GHzのシステムを用意した。
CPUmark99 | FPU WinMark | |
---|---|---|
Pentium III 1.13GHz | 95.6 ![]() | 6,010 ![]() |
Pentium III 1GHz | 87.0 ![]() | 5,310 ![]() |
Athlon 1GHz | 89.5 ![]() | 5,450 ![]() |
3DMark2000( CPU ) | 3DMark2000( HW T&L ) | |
---|---|---|
Pentium III 1.13GHz | 2,645 ![]() | 2,539 ![]() |
Pentium III 1GHz | 2,614 ![]() | 2,512 ![]() |
Athlon 1GHz | 2,569 ![]() | 2,278 ![]() |
SYSmark2000
Overall Rating | Internet Content Creation | Office Productivity | |
---|---|---|---|
Pentium III 1.13GHz | 208 ![]() | 212 ![]() | 205 ![]() |
Pentium III 1GHz | 196 ![]() | 195 ![]() | 196 ![]() |
Athlon 1GHz | 192 ![]() | 191 ![]() | 193 ![]() |
Bryce 4 | CorelDraw9 | Elastic Reality 3.1 | |
Pentium III 1.13GHz | 227 ![]() | 240 ![]() | 265 ![]() |
Pentium III 1GHz | 220 ![]() | 218 ![]() | 235 ![]() |
Athlon 1GHz | 243 ![]() | 237 ![]() | 238 ![]() |
Excel 2000 | NaturallySpeaking Pref 4.0 | Netscape Communicator | |
Pentium III 1.13GHz | 223 ![]() | 174 ![]() | 219 ![]() |
Pentium III 1GHz | 220 ![]() | 174 ![]() | 204 ![]() |
Athlon 1GHz | 205 ![]() | 156 ![]() | 193 ![]() |
Paradox 9.0 | Photoshop 5.5 | PowerPoint 2000 | |
Pentium III 1.13GHz | 196 ![]() | 163 ![]() | 224 ![]() |
Pentium III 1GHz | 192 ![]() | 158 ![]() | 208 ![]() |
Athlon 1GHz | 194 ![]() | 123 ![]() | 209 ![]() |
Premiere 5.1 | Word 2000 | Windows Media Encoder 4.0 | |
Pentium III 1.13GHz | 214 ![]() | 169 ![]() | 205 ![]() |
Pentium III 1GHz | 188 ![]() | 163 ![]() | 183 ![]() |
Athlon 1GHz | 195 ![]() | 168 ![]() | 182 ![]() |
まず、CPUmark99とFPU WinMarkだが、やはりPentium III 1.13GHzがAthlon 1GHz、Pentium III 1.0B GHzともに上回った。クロックが大きく(133MHzも)上がったため、CPUmark99のみならずFPU WinMarkも大幅にのびているのが印象的だ(余談だがCPUmark99はもうすこしで夢の大台100を突破できそうだ)。さらにSYSmark2000でも200の大台を突破し、AthlonやPentium III 1.0B GHzに大きな差を付けた。3DMark2000では上がり幅は若干であったが、やはりここでもパフォーマンスアップを確認することができた。今回はハードウェアT&LをサポートしたGeForce 256を搭載したビデオカードを利用したたため、CPUが処理する部分が多くなくあまり差がでなかったが、CPUがジオメトリ演算を行なうタイプのビデオカードではもう少し差がでてくるだろう。
【テスト環境】
Pentium III 1.13GHz+Intel VC820(Intel 820)+PC800 RIMM(Direct RDRAM、128MB)
Athlon 1GHz+Soltek SL-77KV(KZ133)+PC133 SDRAM(133MHz SDRAM、128MB)
Pentium III 1.0B GHz+Intel D815EEA(Intel 815E)+PC133 SDRAM(133MHz SDRAM、128MB)
ビデオカード:GeForce256(32MB、DDR SDRAM)
ドライバ:NVIDIA リファレンスドライバ(4.12.01.0512、5/18/2000)
ハードディスク:WesternDigital WD205BA
●AMDがリリースするAthlon 1.1GHzとの対決が楽しみ
以上のような結果から、現在発表されているPC用CPUの中でPentium III 1.13GHzがどのベンチマークで見ても最速であるのは間違いない。ただ、Pentium III 1.0B GHzがそうであったように、このPentium III 1.13GHzも当初は「限定数」の出荷となり、最初はデルコンピュータなどの大手PCベンダのみからしか購入できない可能性が高い。情報筋によればIntelは1.13GHzの大量出荷は2001年の第1四半期からとOEMメーカーに対して説明しており、そのころまでは秋葉原などの自作PC市場には製品がでてこない可能性がある。そうした意味では、自作ユーザーにはこのPentium III 1.13GHzは、まだ身近な製品とは言えないだろう。
今回はIntelがAMDに先んじたわけだが、AMDとてクロック競争から脱落したわけではなく、既に7月28日付けのプレスリリースで、8月28日に米国でAthlon 1.1GHzをリリースすることを明らかにしている。このAthlon 1.1GHzがどの程度のパフォーマンスを持っているのか、またシステムバスが266MHzとなったAthlonがいつ登場するのか(情報筋によれば最初の製品はAthlon 1.13GHzとなるようだ)など楽しみはつきない。
そうした先の話も気になるところだが、少なくとも今実際に購入できるPCに搭載されているCPUとして、Pentium III 1.13GHzが最も高速であることは疑いの余地はない。CPUパワーを常に必要としているデザイナーなどのプロフェッショナルユーザーには優れた選択となる。既にデルコンピュータがPentium III 1.13GHzを搭載したPCの注文を開始しており、プロフェッショナルユーザーであれば一考の余地は十分にあると言っていいだろう。
□関連記事
【8月1日】米Intel、Pentium III 1.13GHz発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000801/intel.htm
(2000年8月2日)
[Text by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]