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NEW PRODUCTS TESTREPORT


ネオスコーポレーション
VuegoScan 620UT

多機能と使い勝手の良さが魅力の
カラーイメージスキャナ

TEXT:薮田織也 Oliya Yabuta



透過原稿ユニットは原稿押さえ部(フタ)と一体化したタイプ
 ネオスコーポレーションのフラットベッドスキャナ、VuegoScanシリーズに、新モデルが追加された。現行機種VuegoScan 620系列の最新型、620UTだ。スキャナとしての基本機能に関しては、入力解像度600dpi、入力階調各色12bitと、620からの変化はない。デザインも620シリーズのものを踏襲している。特筆すべき変更点は、なんといっても透過原稿ユニットが標準で装備されたことだろう。透過原稿ユニットとは、ネガフィルムやポジフィルムといった光を透過する原稿をスキャンするための装置だ。これに対して、一般的なフラットベッド型スキャナは反射原稿、すなわち通常の紙原稿が対象となる。フラットベッドスキャナの場合、透過原稿ユニットはオプション販売となるものがほとんどで、低価格な製品ではオプションですら用意されていないものもある。本製品の場合は標準構成で透過原稿と反射原稿を読み取ることが可能で追加投資もなく、さまざまな用途で利用できる点がウリだ。


本機のスキャン結果。オリジナルと比較するとやや赤が弱いように感じられるが、ゲインを調整することで対応できるレベルだ
 620UTの透過原稿ユニットは127×178mmの範囲を読み取り可能だが、35mmネガフィルムを2段に整列して並べることのできる35mmネガフィルムガイドや、スライド枠付きの35mmポジフィルムを6枚同時にスキャン可能な35mmスライドフィルムガイドや4×5インチフィルム用の大判フィルムガイドも付属している。テストでは4×5インチのポジフィルムをスキャンしてみたが、問題なくきれいに読むことができた。ただ、一般的な用途では、大判のポジフィルムよりも35mmネガフィルムのスキャンが圧倒的に多いだろう。ネガフィルムの場合、ポジフィルムとは逆に光学的に色が反転しているわけだが、単純にポジフィルムと同じモードでスキャンして色を反転させればよいわけではない。ネガフィルムは茶色のフィルムベースを使用しており、フィルムメーカーによってその色に違いがあるのだ。そこで620UTのTWAINドライバには、さまざまなメーカーのネガフィルム用プロファイルが複数用意されている。プロファイルにないフィルムの場合は一般設定でスキャンするわけだが、これでもまずまずの仕上がりだった。色にこだわる場合には、TWAIN画面内のトーンマップ機能で補正することも可能だ。しかし、あくまで汎用のフラットベッドスキャナと透過原稿ユニットの組み合わせ的な仕様のため、専用の高価なフィルムスキャナと画質を比較するのは少々キビシイものがある。


スキャンしたイメージをFAXやメールで送信したり、OCR処理したりできるNeoStation
 620UTのTWAINドライバは、すべての機能が画面上に配置されており、初心者は多少とまどうかもしれないが、慣れてくると便利な機能が多数揃っていることに気付くはずだ。たとえば、多くの環境で頻繁に使われるモアレ除去フィルタには、原稿のタイプ別に新聞、雑誌、グラビアなどのプリセットモードがある。また、スキャンする選択範囲を一度に複数指定することができ、それぞれの選択範囲に対してレベル補正機能やトーンカーブなどで個別に色調整をかけることができるのだ。複数選択した範囲は、一度のスキャニングで指定した範囲の数だけファイルを作ってくれることになる。


機能豊富なTWAINドライバ。複数の範囲が選択でき、一度にスキャンできる点が魅力
 なお、Windows 2000へのドライバ対応については、原稿執筆時点では対応していなかったが、本誌が発売される頃には同社のWebに対応ドライバがアップされる予定となっている。

 620UTが透過原稿ユニットを標準装備した背景には、近年における写真のデジタル加工技術の普及がある。自分で撮影したフィルムを気軽に取り込んで加工したいが、専用のフィルムスキャナは高価で手が出せない、といった方はもちろん、ほかの製品と同価格でいろいろ遊べるスキャナが欲しいという方にもオススメしたい製品だ。


  • 製品名:VuegoScan 620UT
  • 標準価格:29,800円
  • メーカー:ネオスコーポレーション株式会社
  • 問い合わせ先:045-321-9951
  • URL:http://www.neoscorp.co.jp/
  • 最大読み取りサイズ
     ・反射原稿:216×297mm
     ・透過原稿:127×178mm
  • インターフェース:USB×1
  • 読み取り方式:原稿固定平面走査方式
  • センサー:CCD
  • 光源:白色冷陰極水銀蛍光灯
  • 光学解像度:600×1,200dpi
  • 読み取り階調:入力36bit、出力24bit
  • 消費電力:25W
  • 本体サイズ(W×D×H):304×109×460mm
  • 重量:5.5kg

    ■写真撮影
    若林直樹(STUDIO海童)

    □ネオスコーポレーションのホームページ
    http://www.neoscorp.co.jp/
    □製品情報
    http://www.neoscorp.co.jp/nsf1236u/index.html


    【PC Watchホームページ】


    ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp