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シャープ JX-375UD イメージファイリングに便利な 低価格600dpiイメージスキャナ TEXT：薮田織也　Oliya Yabuta

統合管理ソフトのImage WorkTopと、画像入力ソフトのScanJX3。簡素な設計で初心者でも迷うことはない

　シャープのイメージスキャナ、JXシリーズに約1年ぶりの新モデルが登場した。新製品のJX-375シリーズは、昨年春に発売されたJX-370シリーズのマイナーチェンジ版とも言え、入力解像度600dpi、入力階調各色12bitといった基本的な機能と、比較的コンパクトなデザインに大きな変更はない。バンドルソフトは、レタッチソフトのPhotoDeluxe for ファミリー3.0、画像データベースとして便利な統合管理ソフトImage WorkTop、OCRソフトのe.Typistエントリー、カラープリンタと組み合わせることでスキャナをカラーコピー機として使えるCopyJX2など、豊富に添付されているが、いずれも従来と同様のものだ。異なる部分は、従来機種370シリーズにあったSCSIインターフェースが外され、USB対応1本に絞り込まれたことと、標準価格がJX-370の33,000円から10,000円近く引き下げられたことで、今回試用したシルバーメタリックカラーのJX-375UDが23,800円、フロスティホワイトカラーのJX-375Uは1,000円安い22,800円という設定だ。

最大スキャンサイズは、A4変型の「DOS/V POWER REPORT」本誌よりも一回り大きい215.9×296.7mm

　イメージスキャナの主走査部（読み取りの機構）は、リニアイメージセンサーと光学系機構に加え、照明光源で構成されているが、現在の製品はこの部分の仕組に縮小光学系を採用する場合と、等倍光学系を採用するものの二つに分かれている。前者は多くのデジタルカメラのレンズとCCDの組み合わせと似ており、イメージセンサーの上に、レンズで縮小した原稿イメージを結像させる方式。後者は密着型とも呼ばれるように、CMOSセンサーを原稿に密着させて、原稿と等倍の像を読み取る方式だ。それぞれの特徴は、縮小光学系がレンズを使う性格上、被写界深度が深く、原稿の折り目などの原稿台から離れた部分も読み取ることができるが、構造上の問題で本体サイズが大きくなってしまう。等倍光学系はこれの反対の性格を持っており、被写体深度が浅い半面、本体サイズを小型化できる。

JX-375UDのスキャンサンプル。クセのない色味のためレタッチソフトなどで加工はしやすい

　JX-375UDの場合は縮小光学系が採用されているわけだが、電源部分をACアダプタにしたり、電源スイッチを排除するといった工夫によって、本体サイズはかなりコンパクトに仕上がっている。もちろんUSBインターフェースの採用もこれに一役かっていることだろう。そのため、競合機種と比べても設置場所に不便さを感じることはあまりないはずだ。また、縮小光学系は等倍光学系に比べて消費電力が大きいのがデメリットとされているが、JX-375は国際エナジースタープログラムに適合するなど、電力消費も低く抑えられている。ただ電源スイッチがないためスキャナを長期間使わないときなどは、こまめにACアダプタを抜かなければならず、若干不便である。

　JXシリーズのTWAINドライバは、普段の利用でよく使う機能だけを前面に出した、簡素な設計で好感が持てる。プレビューウィンドウも必要に応じてリサイズが可能で、邪魔にならない。そして、バンドルされるユーティリティソフトを統合するImage WorkTopと併用することで、簡単なイメージファイリングが可能となる。また、Image WorkTopはOLE2に対応しており、各種アプリケーションに画像を直接渡すこともできるので、汎用性も高いと言える。

本体背面部。今回のモデルからUSBのみのサポートとなっている

　画像の色味や質については、クセのない素直な再現性で、ノイズが目立つといったこともなかったため、実用上とくに問題もないだろう。ただ、プリセットされた色調整の選択肢が少なく、詳細設定画面も簡素なので、カラーマッチングにこだわるユーザーには不満が残るかもしれない。

　気になるWindows 2000へのドライバ対応については、残念ながら未対応とされている。実際にWindows 2000を導入したマシンへ接続してみたが、ドライバのインストール時にエラーが出てしまった。メーカー側では原稿執筆時点で対応予定なしとのことだが、できれば早期の対応を望みたいところだ。