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関東電子 KE-2010 Low Profile PCIスロットと フロントUSBポートを備え、 69,800円を実現したブック型PC TEXT：佐伯英和　Hidekazu Saeki

本体前面には二つのUSBポートが設けられており、デジカメやノートPCなどとの連携も簡単に行なえる

背面には一般的なシリアル、パラレルなどの端子が並ぶが、ネットワークとモデム端子を両方備えているために汎用性は高いものとなっている

　関東電子からFlex ATXデザインのブック型PC「KE-2010」が新登場した。その最大の特徴は、何と言っても価格設定だろう。近頃は各社から100,000円を切ったPCが発表されているが、本機の場合、本体価格が69,800円というのだから、そのコストパフォーマンスは群を抜いている。省スペースタイプのベアボーンキットに別途CPUやHDD、メモリなどを購入しても合計で60,000円近くとなってしまうので、相性問題の不安や、パーツを取り付ける手間などを考えれば本機のお買い得さが分かるだろう。

　また、KE-2010は省スペースを意識した作りになっており、本体サイズは横置きの場合わずか幅383mm×奥行き285mm×高さ90mmで、縦置きにも対応している。これなら、狭いデスクの上にPCを設置しても邪魔になることはない。さらにこの筐体は、フロントに二つのUSB端子とヘッドホン、マイク端子を備えており、頻繁に抜き差しするMP3プレイヤーやデジカメなどとの接続も簡単に行なえる。ただ、本機は背面にも二つのUSBポートを備えているのだが、このうち同時に使用可能なポートは二つだけという排他仕様だ。

コンパクトにまとまった筐体ながら、Low Profile PCIへの対応により内部拡張も可能だ

　ハードウェアスペックに目を向けると、採用されているマザーボードはA3ステップのIntel 810チップセットを搭載したECSのP6IWP-Fe/810で、ここにCPUとしてCeleron 500MHzを搭載。標準で64MBのメモリと、8.4GBのHDD（Seagate ST38410A、Ultra ATA/66対応、5,400rpm）を装備している。確かに最新型の高性能PCとスペックを比較してしまえば見劣りしてしまうが、低価格PCとしては一般的なレベルと言える。この程度のスペックを持っていれば、インターネットやビジネスソフトの利用では不満を感じることもないはずだ。

　また、オンボードで4スピーカー出力に対応したC-MediaのサウンドチップCMI8738と、DAVICOMの10BASE-T/100BASE-TX対応ネットワークコントローラを搭載しているほか、56kbps対応のソフトウェアモデムも利用可能だ。このため多くのユーザーが必要とする機能はほぼ揃っていると言え、たいていのビジネス環境や家庭であれば追加オプションなしで導入できるだろう。本機の性格を考えると、とくにインターネット接続用のマシンや、オフィスなどでのクライアント用途に向いていると言えそうだ。また、近頃では省スペース性と消費電力の少なさから、このタイプのPCをOCNエコノミーなどのインターネットサーバーとして利用する場合も多く、そういった使い方にも適している。

　ブックタイプのケースを採用しているためドライブベイに空きはなく、HDDなどの増設はできないが、Low Profile PCIスロットが2本用意されているため、これに対応したカードによる拡張が可能だ。従来、このサイズのPCは内部拡張スロットを持たないものがほとんどであったことを考えると、大きなメリットの一つと言えるだろう。Low Profileタイプのカードは最近市場に出回り始めたばかりだが、今後IEEE1394やSCSI、ビデオカードなどが各社から登場する予定となっている。

本体を縦置きにすると電源からの排気は上方へと逃がされる

　低価格機のなかには、コストを優先してサポートが重視されていないモデルも多く存在する。しかし、KE-2010にはカラー印刷された初心者向けのケーブル接続ガイドが添付されている上、購入後の疑問やトラブルに答えてくれる専用ダイヤルなども用意されている。これなら、初心者が購入しても使い方に迷うことはないだろう。ただし、プリインストールされるソフトはWindows 98 Second Editonのみとなる。この辺りは価格を考えれば、仕方のないところだろうか。とにかく安く、手軽に扱えるPCが欲しいという人は、選択肢の一つに入れておきたい1台だ。