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★ ゲームソフトインプレッション ★

赤ちゃん天使“ボブ”となり悪の組織を叩け!
メサイヤ


スクリーンショット

  • ジャンル:3Dアクションアドベンチャー
  • 発売元:株式会社ズー(開発元:Shiny Entertainment
  • 価格:8,800円
  • 対応OS:Windows 95/98
  • 発売日:発売中(完全日本語版近日発売予定)
 
【ゲームの内容】
     世紀末の世界に神から遣わされた使者、赤ちゃん天使ボブ。プレーヤーはボブとなり力による世界支配をたくらむ悪の組織「武装警察COPS」から人々を解放しなければならない。ゲームのポイントは“憑依”すること。プレーヤーは天使で攻撃力もゼロ。このため敵に憑依することで攻撃力を得て、敵を倒すことができる。
【動作環境】
  • CPU:Pentium II 233MHz(Pentium II 300MHz以上を推奨)
  • メモリ:64MB以上
  • CD-ROMドライブ:4倍速以上
  • ビデオカード:Direct3D、またはGlide対応ビデオカード必須(メモリ16MB以上推奨)

ズーのホームページ
http://www.zoo.co.jp/
「メサイヤ」の製品情報(和文)
http://www.zoo.co.jp/games/messiah/
Shiny Entertainmentのホームページ(英文)
http://www.shiny.com/
「MESSIAH」のページ(英文)
http://www.messiah.com/
「MESSIAH」のデモ版、Patchダウンロードページ(和文)
http://www.zoo.co.jp/games/messiah/f_du.html



赤ちゃん天使ボブ
 「天使」というと、ほとんどの方は女性の姿か子供(赤ちゃん)の姿を思い浮かべるだろう。中には映画「ベルリン天使の詩」に登場するような、くたびれたおじさんの姿をしているときもあるけれど、これはあくまでも少数派。この「メサイア」に登場する天使ボブも、見かけはオムツをつけた赤ちゃんそのものだ。ただ、人間の赤ちゃんと決定的に違うのは、背中に生えた羽と頭の上の光輪の存在。顔もかなりオジサンぽいけれど、これは洋の東西による表現の違いということにしておこう。「メサイア」は、この天使ボブを操り、神の意志の下、天界や地獄界までをも支配使用とする人類の野望を阻止するのが目的の、3Dアクションアドベンチャーなのだ。

● “憑依”システムを理解することがゲームクリアへの近道

 「メサイア」は、いわゆる3Dアクションと呼ばれるジャンル、言い換えれば「Quakeライク」と呼ばれるジャンルに相当するゲームだ。が、そうはいっても「Quake」などのように敵をばりばり打ち倒していくゲームとは明確に異なっていて、これらのゲームを期待してプレイを始めても、あっという間にゲームオーバーになってしまうことだろう。なにせ、主人公は見るからに非力な赤ちゃん天使のボブなのだ。画面内に武器が落ちているのを見つけても、ボブ自身では拾い上げることすらできない。もちろん、こんな状態で戦闘になれば、なにもできずに殺されてしまうだろう。しかし、ボブには他のゲームの主人公にはない特殊技能が1つだけ備わっている。それが「憑依」だ。

 画面内の敵キャラに気づかれないように背後から忍び寄り、その背中に飛び込むようにジャンプすると、ボブはそのキャラクタの体を支配することができるようになる。この状態でなら、武器を拾うこともできるし、ある程度のダメージにも耐えることができるようになるわけだ。さらに、憑依中はボブ自身がダメージを受けることがないというメリットも持っている。憑依されたキャラクターの体力は減っていくが、別のキャラクターに憑依し直せば体力は全快する。
 このシステムを理解しないと、いつまで経ってもプレイを先に進めることはできないだろう。たとえば、高いところから飛び降りなければならない場合。他のゲームでは即死になるような高いところからでも、憑依した体で飛び降りれば、ボブ自身は無傷で着地することができる。もちろん、憑依された方はその場で死んでしまうので、ボブは新しいボディを探さなければならないが、この発想はかなり斬新だ。
 また、ボブが憑依するキャラクターたちには階級や派閥、職業などに違いがあり、憑依した相手によって、その他のキャラクターの対応が変わってくることもある。特定の階級や職業でないと開けられないドアの存在などもあり、どこでどのキャラクターに憑依するかでゲームの難易度は大きく変化する。蛇足だが、階級の高いキャラクターに憑依していると部下が敬礼してくるなど、用意されたリアクションはかなり多彩で、これを見ているだけでも楽しい。ボブ自身が受けたダメージも、憑依したキャラクタ-から体力を得ることで回復することができる。プレイした範囲では回復アイテムは存在しないようなので、こうして次々に憑依する相手を変えていくことで、新しいエリアに進入したり、体力を回復しながらゲームを進めていくことになるわけだ。

 もちろん、憑依の瞬間を他のキャラクターに見られれば攻撃をしかけられてしまうし、憑依したキャラクタにそぐわない行動(武器を持つ科学者、命令に従わない兵士など)を取れば不審に思われるだろう。
 いったん戦闘になれば、味方の派閥や職業であっても攻撃される。Quakeなどに比べてダメージは圧倒的に大きいので、たいていの場合は戦闘が始まると集中砲火を浴び、なすすべもなくやられてしまうだろう。見つからないように憑依し、バレないように立ち回り、目的を遂行する。多少趣が異なるが、プレイステーションで大ヒットとなったコナミの「メタルギアソリッド」のテイストに近いものを感じることができる。
 また、憑依するといえば思い出すのは「レリクス」だろう。アドベンチャーやパズル的な要素も強く、これまでの同種のソフトとは明らかに一線を画しているのが、プレイすればはっきりとわかるはずだ。以前、同じINTERPLAY社の「SLAVE ZERO」を紹介したときも「発想を変えた新しい世代のゲーム」という趣旨の記事を書いたけれど、この「メサイア」はそれよりもさらに一歩進んだゲームデザインになっている。Quakeなどトリガーハッピー系のファンには物足りなく感じるだろうけれど、頭を使って敵をやりすごしたり、対立する敵同士を戦わせて自分は高みの見物を決め込んだりと、作戦がきれいに決まったときの爽快感は従来のゲームから得ることはできなかったタイプのものだ。キャラクタのボブも、撃たれはじめると弱いので難易度は高めだけれど、複数のセーブスロットを駆使してこまめにセーブしていけば、かならず打開策は見つかるはず。プレイの難易度を変えると敵の思考ロジックなども変化するので、コンピュータとの頭脳戦にぜひ挑戦してみてほしい。


● シビアな環境が要求される

英語の不得意な人は日本語版を待つべし
 さて、ゲームのシステムは従来のゲームにはないもので良いのだが、かなりシビアに環境を選ぶようで、相性が悪いとまるでゲームにならなくなってしまう。すでにアップデートパッチも配布されていて、これを利用することでかなり緩和されるようではあるが、それでも最近購入したGeForce 256を搭載している自宅のマシン環境では画面が暗くてプレイできないほどだった。国内代理店であるズーのサポートページによれば、マザーボードから最新のAGPグラフィックカードへの電力供給の問題ということらしいが、他のソフトでは問題が出ていないので「メサイア」固有のトラブルとして認識していいのではないかと思う。そんなわけで、今回はGeForce 256の使用をあきらめ、以前使用していたVoodoo Bansheeでのレポートとなった。同社サイトには体験版も用意されているので、購入を検討される方は事前に相性問題を試してみることをお勧めしたい。とはいえこの体験版、約90MBと巨大なので、おいそれとダウンするわけにはいかないかもしれないが。

 また、今回レビューに使用したのは既に発売になっている英語版(正規輸入版 有償アップグレード付)なので、プレイに際しては多少の英語力が要求された。もちろん、会話の音声なども全て英語なので、その辺は完全に聞き飛ばしてしまったが、それを差し引いても英語アレルギーの方には少々敷居が高いように思う。日本語版も近日中に発売が予定されているので、これが発売されればより多くのユーザーが楽しむことができるようになるだろう。スクリーンショットに用意したメッセージは、神からの天啓として与えられる「どこへ行き、何をするか」の指示の場面。これを読んで英語が苦にならないようであれば、すぐにでもゲームに挑戦してみる価値があるだろう。

 もう1つだけ、どうしても苦言を呈さなければならないポイントがある。この「メサイア」はCD-ROM2枚組で2枚目は音楽CDになっている。プレイ中はこの音楽CDが必要になるため、HDDに650MBのフルインストールを行なわなければならない。この容量がパッケージに記載されていないのだが、これ自体はまあいいとしよう。
 問題なのは、それにも関わらず起動時に1枚目のCDを入れなければならないことだ。おそらくCD1はプロテクトチェックに使用されているのだと思うのだが、フルインストールされているのだから、起動するごとにCDを入れ替えなければならないのは面倒この上ない。さらに、ゲームの終了時にCD1が入っていないとブルーバックになってしまうのも問題ではなかろうか。
 筆者のマシン環境によるところなのかもしれないが、ゲームシステムの秀逸さとは逆に、この辺りの詰めの甘さはどうしたものか。CD2に起動用のプログラムや、必要ならチェック用のデータエリアを少しだけ確保すればいいだけのことだと思うのだが……。ビデオ周りを含め、近日中に発売が予定されている日本語版では、この辺りが改善されていることを切に願う次第だ。


Messiah (C) 1999 Shiny Entertainment, Inc. All rights reserved. Messiah is a trademark of Interplay Productions. Interplay, the Interplay logo, and "By Gamers. For Gamers." are trademarks of Interplay Productions. All rights reserved.

【筆者紹介】
  • 名前:山城 宏
  • プロフィール: またしてもお仕事三昧のゴールデンウィークでした。まあ、普段から遊び歩いてるようなもんなので、あんまり関係ないといえばないんですが。で、仕事の合間をぬって(サボって)懸案のPentium III 650MHzを購入。GeForce 256と併せて、これで今回のレビューはカンペキ……と思っていたのですが、結局相性問題に突き当たり、サブマシンに移行したPentium II 400MHzにBansheeという、昨年までの環境でのレビューになってしまいました。人間、悪いことはできないものですね。
レビューハード環境】
  • 使用ハード:自作PC/AT互換機(Pentium II 400MHz、メモリ 128MB、HDD 6GB、Voodoo Banshee、ESONIQ PCI Audio)

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