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ソニー、8万円のスーパーオーディオCDプレーヤー

SACDプレーヤー「SCD-XB9」8万円
プリメインアンプ「TA-FB9」55,000円
スピーカー「SS-AL5MK2」16万円
6月10日発売

標準価格:80,000円

連絡先:ソニーマーケティング お客様ご相談センター
    Tel.0570-00-3311



SACDプレーヤー「SCD-XB9」。フロントトレイローディング方式を採用。フロントパネルは、必要最低限のスイッチしかなく、非常にシンプル。

リアも光と同軸、アナログステレオが各1個ずつあるだけなので、スッキリしている

5月10日発表のプリメインアンプ「TA-FB9」。SACD対応ながら、55,000円と低価格だ
 ソニー株式会社は、音楽CDの次世代規格「スーパーオーディオCD(SACD)」に対応した低価格プレーヤー「SCD-XB9」を、6月10日から80,000円で発売する。月産は当初2,000台の予定。

 SACDは、ソニーとフィリップスが共同で開発し'99年にリリースした、CDと同じサイズ(直径12cm)で、約7倍(4.7GB)の容量を持つ新しいオーディオCDの規格。SACDの最大の特徴は、その記録方式で音楽CDなどで使用されるオーソドックスなPCM方式ではなく、DSD(Direct Stream Digital)と呼ばれる新しい量子化記録方式を採用している。1ビットデルタ・シグマ変調型A/Dコンバータの出力信号をそのまま記録するので、より原音に近い再生ができるという。

 SACD対応プレーヤーは、ソニーが'99年5月に「SCD-1」(50万円)を発表。その後「SCD-777ES」(35万円)をラインナップに追加したほか、ソニー以外からもマランツ「SA-1」(55万円)、パイオニア「DVD-AX10」(50万円)、シャープ「DX-SX1-S」(25万円)といった対応プレーヤーが発売された。しかし、いずれも20万円以上する製品で、コンシューマ向けとしてはハイエンドなプレーヤーとして位置付けられている。

 そんな状況の中で、今回発表された「SCD-XB9」は標準価格8万円と、一気に低価格化されており、単体CDプレーヤーとしてみてもミドルレンジクラスの価格帯となった。

 同社では、「原音をニュアンスまで忠実に再現するSACDを、もっと多くの人に楽しんでいただくために開発した」と開発背景を説明。同時発売となる、5月10日発表のSACD対応プリメインアンプ「TA-FB9」(55,000円)との組み合わせによる、低価格なSACD再生環境を提案している。

 SCD-XB9には、上位機のSCD-1や、SCD-777ESと同じDSDデコーダを採用。さらに、「VC24 plus」を新開発し、スイッチングひずみを抑えるACP(Accurate Complementary Pulse density modulation)システムおよび、パルスジェネレータを、CD再生用の可変デジタルフィルタICと一体化した。このVC24 plusにより、従来のCD再生でも、デジタルで音色を5段階に切り替えるようになった。

 光学系は従来のツインピックアップ方式から、波長650nmのシングルピックアップ方式に変更(CD-Rの読み込みに非対応)。ローディング方式はSCD-1や、SCD-777ESと異なり、既存のオーディオシステムに組み込みやすい、センタートレイ方式を採用している。また、出力端子は、デジタル光×1、同軸×1(いずれもCDのみ)と、アナログライン出力×1、ヘッドホン端子×1を装備する。

 同社では、以上のようなICの新開発、光学系のメカニズムの改良などにより、低コスト化と同時に、高速アクセス、レスポンス速度の向上を実現したとしている。

 SACDは規格として、マルチチャンネルに対応しているが、SCD-XB9は2chのみの対応となっている。現在のところ、マルチチャンネル対応したSACDソフトも、SACDプレーヤーも発表されていないが、ソニーでは、「ハード、ソフトともに開発を進めており、来年から同時に展開していく」としている。

 次世代オーディオ規格にはSACDのほかに、DVDフォーラムが'99年に策定した「DVD Audio」がある。しかし、DVD-Audio用著作権保護暗号方式の再検討にともなって、松下とビクターが対応プレーヤーの発売を延期。現在のところ、パイオニアのみが見切り発車の形で「DV-S10A」(20万円)と、「DV-AX10」(50万円、SACDにも対応)の2モデルを発売したにとどまっている。いずれもDVDプレーヤーとしても使用可能だが、それでもハイエンドと呼べる価格帯の製品となっている。加えて、プレーヤー自身が見切り発車だったため、DVD Audio対応タイトルの品揃えも多くはない。

 今回、ソニーが10万円を切る戦略的な価格を設定したことで、DVD Audioより普及に向けて一歩先んじたといえるだろう。

【SCD-XB9の主な仕様】

□ソニーのホームページ
http://www.sony.co.jp/
□「SCD-XB9」ニュースリリース
http://www.sony.co.jp/sd/CorporateCruise/Press/200005/00-0517/
□「TA-FB9」のニュースリリース
http://www.sony.co.jp/sd/CorporateCruise/Press/200005/00-0510A/index.html
□関連記事
【'99年4月7日】ソニー、次世代音楽CD「スーパーオーディオCD」を製品化
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990407/sony.htm
【'99年12月1日】松下、DVD-Audioプレーヤー発売延期。著作権保護機能強化へ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/991201/pana.htm
【'99年12月13日】パイオニア、DVDオーディオプレーヤーを予定どおりに発売
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/991213/pioneer.htm
【キーワード】「SACD」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990805/key87.htm#SACD

(2000年5月17日)

[Reported by furukawa@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp