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NEW PRODUCTS TESTREPORT


ロジカルイフェクト
WebCOM WPC500/Q1

Linuxの搭載で5万円を切った
超ローコストPC

TEXT:竹内慶人 Yoshihito Takeuchi



microATXマザーボードのため、背面コネクタの構成も一般的
本体内はすっきりとまとめられており、PCI/ISAスロット1本のほか、空きベイも3.5インチ×2、5インチ×1が存在する
 ローコストPCが人気を集めている現在のPC市場だが、低価格化の波は以前にもまして加速しており、10万円PCも現在ではとくにめずらしいものではなくなった。こうした市場動向の中、ロジカルイフェクトが発売した「WebCOM WPC500/Q1 II」(以下、WebCOM)はOSにLinuxを採用することで49,700円という超低価格を実現したモデルだ。ローコストPCにおいては、各種ハードウェアのコストはとことん追求されている。しかし一般的な低価格PCにバンドルされているWindowsの価格はほとんど変わっておらず、結果としてシステム全体の価格の中でOSの占めるパーセンテージが明らかに高くなってきている。そこで安価なLinuxを採用し、OSのコストを大幅に削減したというわけだ。だが、現在の市場において50,000円を切ったPCと言うと、2、3世代前のパーツばかりを集めて作成されたマシンがほとんどで、性能的にはやや苦しいものがあった。しかしながら、本機の主なスペックはCPUにCeleron 500MHz、チップセットはSiS620、メインメモリ64MB、4.3GBのHDDといったもので、最新の10万円クラスのPCと比較しても見劣りしないない構成と言える。さらにオンボードの10BASE-T/100BASE-TX対応ネットワークコントローラや、サウンド機能も標準で用意されている。このスペックはWindowsマシンとして見ればエントリークラスだが、動作の軽いLinuxでは十分高速に動作する。

 さらにWebCOMはそのコンセプトをインターネットアクセス、とりわけWebページの閲覧とE-mailの送受信専用機と位置付けることで、機能を絞り込み、低価格化に結び付けている。このためCD-ROMドライブやOS再インストール用のCD-ROMは付属せず、オプションとして販売される。またLinuxは古くからインターネットの利用を意識してきたため、Webブラウザやメーラーの完成度はWindows用のアプリケーションと比較しても遜色はなく、本機のようにインターネットに特化したマシンには親和性の高いOSと言える。


標準搭載されているGUIはWindow Maker
 多くの方がご存じのようにLinuxにはいくつもの種類(ディストリビューション)があるが、WebCOMに搭載されているのは「Vine Linux 1.1」だ。これはHDDにプリインストールされているので、電源を入れるとすぐにこのOSが起動する。最初に行なうのはネットワークIPアドレスなどの設定で、これは手動で行なうほかに、DHCPサーバーが存在するネットワーク環境下ではこちらを利用することも可能だ。もちろん、どちらの設定もGUI環境で作業を行なうことができる。今回、手動での設定と、DHCPサーバーを利用した設定の両方を行なったが、どちらもまったく問題なく動作した。Vine Linuxにおける標準のGUIはWindow Makerだが、このGUI上で動作するNetscape communicatorによるWeb閲覧や、vmailでのメールの送受信はともにWindows環境のそれと比較しても遜色のないもので、十分実用にたえ得る。GUIも上記のアプリケーションも日本語化されているので、操作もしやすい。


メーラーとしてvmailがプリインストールされている
 WebCOMは家庭内の2台目のPCやオフィスのLAN環境内でのインターネット端末として開発されたため、まったくの初心者が1台目のマシンとして本機を使用することはあまりお勧めできるものではない。もちろんVine Linuxの設定しだいでは本体だけでダイヤルアップPPP接続やダイヤルアップルーターを利用したインターネット利用は可能だ。しかし、その設定は初心者にとってはいささか荷が重い。逆にLinux初心者はオプションのVine LinuxのCD-ROMとCD-ROMドライブを同時に購入し、再インストールできる環境を揃えてからLinuxを学んでみるのもよいだろう。

 本機を使いこなすには、ある程度LinuxとPCの知識を持ち、ネットワーク環境が整っている必要がある。しかしながらこの環境下においての本機は、10万円PCが相手にならないほどのコストパフォーマンスを発揮する。個人使用、オフィスでの利用ともに大きな可能性を秘めたマシンだ。


  • 製品名:WebCOM WPC 500/Q1 II
  • 標準価格:49,700円
  • メーカー:ロジカルイフェクト株式会社
  • 問い合わせ先:03-5822-3322
  • URL:http://www.logicaleffect.com/
  • CPU:Celeron 500MHz
  • チップセット:SiS620
  • メモリ(最大):64MB(768MB)
  • HDD:4.3GB
  • FDD:2モード
  • ビデオチップ:SiS620内蔵
  • ビデオメモリ:UMA方式によりメインメモリの一部を共有(最大8MB)
  • 最大解像度:1,024×768ドット/1,677万色
  • サウンドチップ:C-Media CMI8738
  • キーボード:112キー(PS/2接続)
  • インターフェース:USB×2、キーボード(PS/2)×1、マウス(PS/2)×1、シリアル(Dsub 9ピン)×1、パラレル(Dsub 25ピン)×1、CRT(Dsub 15ピン)×1、LINE IN×1、LINE OUT×1、マイク×1、GAME/MIDI×1、10BASE-T/100BASE-TX(RJ-45)
  • 本体サイズ(W×D×H):195×385×375mm
  • 重量:非公開

    ■写真撮影
    若林直樹(STUDIO海童)

    □ロジカルエフェクトのホームページ
    http://www.logicaleffect.com/
    □製品情報
    http://mall.logicaleffect.com/direct/pc2/pc_set.asp?model=500000500


    【PC Watchホームページ】


    ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp