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元麻布春男の週刊PCホットライン

Final Fantasy VIII Windows版登場


■日本語Windows版の登場を歓迎

ファイナルファンタジーVIII
(c)1999/2000 SQUARE
キャラクターデザイン 野村哲也
 3月23日、Final Fantasy VIII(FF8)のWindows版が発売になった。何をいまさら、という声もきっとあることだろう。FF8のオリジナル(PlayStation版)が発売されたのはおおよそ1年前のこと。1年落ちのコンソールゲームがPCに移植されたからといって、それが何になるのだ、という声である。FF8をプレイしたいユーザーは、もうPlayStation版を終わらせているハズであり、その忠実な移植であるWindows版など、誰が買うものか、という意見だ。確かにこれはもっともな話であるものの、筆者個人は必ずしもWindows版が全く無意味だとは思っていない。

 まずこのWindows版を評価したいのは、その存在そのものだ。Final FantasyシリーズのPC環境への移植は、前作Final Fantasy VIIでも行なわれた。が、EIDOSによる英語版のみで、日本語版はついに登場しなかった(今のところ)。しかしFF8では、日本語版が、開発元スクウェア、販売元エレクトロニック・アーツ・スクウェアという形で提供されたのである。これは大きな前進ではないか。

 今回のFF8 for Windowsも、PlayStation版の忠実な移植であり、残念ながらゲーム的にはPCならではの特徴を生かした機能強化は図られていない。むしろ、移植の際に減色処理を施したことによるものと思われるグラフィックス品質の低下が見られる(現在のPC用3Dアクセラレータの大半がフルカラーに対応しているが、少しでも多くのハードウェアで動作可能とするため、16bitカラー版となったのだろう)。できれば、こうしたマイナスのない移植、さらにはPCならではの機能強化を伴った移植を望みたいし、PCオリジナルタイトルの提供を望みたいところだが、こうした方向へ向かう第一歩として、日本語Windows版の提供を歓迎したいと思う。

■高いリフレッシュレートと解像度がPCの長所

 Windows版がPlayStation版より明らかに優れるのは、目に優しい、ということだ。ゲームコンソールはディスプレイにインターレース表示のTVを使うが、Windows版なら当然ノンインターレース表示のPCディスプレイが使える。筆者が使っているナナオのE78Fの場合、FF8 for Windowsがサポートする640×480ドット解像度ならリフレッシュレートは150Hz前後まで上がる。60フィールド/秒のインターレース表示とは比べようもないほど画面は安定しており、目に対する負担が小さい。

 その気になれば1,600×1,200ドットといった高解像度に対応でき、エルゴノミクス的に優れた(高リフレッシュレートに対応可能な)RGBディスプレイを使えるというのは、PCの圧倒的な利点であり、たとえプレイステーション2といえども太刀打ちできない長所だ(普及度という点ではマイナスかもしれないが)。しかも、この長所はタイトルの内容を問わない。グラフィックスハードウェアの限界に挑んだようなタイトルでなくても(たとえば囲碁や将棋のようなタイトルでも)、十分にその恩恵を受けられる。一番最初の発表会(技術発表会)では、プレイステーション2のグラフィックスチップもRGB出力をサポート可能、といった説明がなされていたが、現時点でプレイステーション2用にそのようなオプションは発表されていない。

 もちろん、ゲームコンソールの画面出力をPC用RGBディスプレイに出力する方法はある。DreamcastにはVGA出力用オプションが用意されているし、NTSC信号をアナログRGB信号に変換するアップスキャンコンバータも市販されている。実際、筆者はDreamcast用のVGA出力アダプタを愛用しており、TV出力より画面のフリッカが低減することに満足している。だが、こうした方式に共通した弱点として、変換後の信号がVGA互換(水平同期周波数31.5KHz、640×480ドット)に限定されるため、リフレッシュレートが60Hzどまりになってしまう、ということが挙げられる。接続されたディスプレイに応じて75Hz以上の高リフレッシュレートが使えるWindows環境とは比べものにならない。

 このRGBディスプレイが利用可能という恩恵を考えれば、アーケードやコンソールからPCへの移植というのもあながち無意味ではないのではなかろうか。たとえばファミコン/ゲームボーイからの移植である「風来のシレン」(コンビニでのパッケージ販売に加え、Vectorからダウンロード/購入可)など、くりかえし遊べるという意味で、FF8以上に価値があるように思う(サウンドやグラフィックスなど機能強化が図られている点でも)。別にDOSウィンドウを開いてキャラクタ版のROGUEをやってもよいのだが、グラフィックスやサウンドといった点で、シレンの方がはるかに近代化されているのは間違いない。また、Windows版風来のシレンは、ROGUE(あるいはvi)とのキー互換性(H、J、K、Lキーで移動etc)が配慮されているのも嬉しい? ところだ(ランダムに生成されるインストールIDごとにライセンスキーを買わなければならないというライセンス形態は不満だが)。

■PS2は持て余し気味

 さて、途中で話が出てきたプレイステーション2だが、少々持て余し気味、というのが率直なところだ。本体は購入したものの、購入すべきゲームがない。DVD-Videoが見られるといっても、筆者のところではクライアントPCはすべてDVD-ROMドライブを装着済みだし、民生用のDVDプレーヤーも持っている。わざわざプレイステーション2でDVD-Videoを再生する必然性はない。地域コード1ディスク用のプレーヤーにする、という素晴らしい(?)アイデアもあったのだが、どうやらすべてのタイトルが再生できるわけではないようだ。筆者手持ちのDVD-Videoの中ではWing Commander(あのPCゲームの映画化)がどうしても再生できなかった(それにしてもPC用DVD-ROMドライブは強制的にドライブ側に地域コードを持つフェーズ2に移行させられたのに、プレイステーション2はハードウェアで地域コードを持たなくても許されるのだろうか?)。マルチアングルをサポートしたDVD-Videoの一部を再生すると、クラッシュするという問題も含め、どうも完成度はあまり高くない。というわけで、わが家ではプレイステーション2は縦置きスタンドに収まって、テレビの脇にそそり立つオブジェと化している。

□スクウェアのホームページ
http://web.square.co.jp/
□製品情報
http://web.square.co.jp/gamefan/index_pc-ff8.html

□関連記事
【'99年12月24日】ファイナルファンタジーVIII Windows版、2000年3月に発売
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/991224/ff8.htm

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(2000年3月29日)

[Text by 元麻布春男]


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