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MACWORLD Expo/Tokyo 2000展示会場レポート
出展社数は増加するも、大規模ブースは減少傾向に

会場:幕張メッセ
会期:2000年2月16日~2月19日


■数字からは見えにくい出展傾向の変化

 182,688名の来場者を集めて、MACWORLD Expo/Tokyo 2000は4日間の会期を終えた。来場者総数は'99年(会期は3日間)よりも5000人余り増加。スティーブ・ジョブズ氏の基調講演を聴講した参加者も6,503人(昨年は6,445人)と微増している。出展社総数も21社増加と数字の上では盛り上がりを見せているが、アップルコンピュータ以外のブースで、元気のあるところは少なく、今後に不安を残す内容となった。

 景気と消費の回復がままならないなか、いっぽうでコンピュータ関連の展示会は細分化し増加の傾向にある。必然的に出展者側の負担も増えるわけで、参加する展示会の取捨選択や規模の縮小などが必要になってくる。今回のEXPOを見渡しても、ソフトウェア関連ではマイクロソフト、アドビ、マクロメディアといった大手のほかは小規模のブースを構えるところが目立った。Macintoshのアドバンテージのひとつであるイメージング製品についても、大規模ブースで頑張っているのはエプソンや富士ゼロックスぐらいで、数年前まではEXPOの準主役ともいえたデジタルカメラやプリンタなどを製造・販売する企業は、昨年来出展を見送る傾向が続いている。

 それにもかかわらず出展社数が増加している仕組みは、「コンシューマショーケース」の存在だ。各社一小間から二小間の割り当てられたスペースで、特にブースの構築に凝るでもなく自社製品を展示している。ある意味、最小限の予算で出展をしているといっていい。米国での開催では、コンシューマショーケースは中小のデベロッパやメーカーが出展するほか、展示ホールに大規模なブースを構える企業が、ショーケースのテーマに従った特定製品の展示を行なっているケースも多い。しかし今回はこうしたケースも少なく、アイオメガをはじめシマンテックやオープンブック9003など、これまではある程度の規模のブースを設営していた企業までが、コンシューマショーケース内のみに展示を移していたところにも寂しさが感じられた。

 iMac、iBookのヒットでアップルコンピュータの国内シェアは増加している。しかし、これはライトユーザーを中心とした伸び。これらは必要なハードウェアとソフトウェアをあらかじめ搭載したオールインワンタイプの製品だけに、サードパーティのハードやソフトの需要にいまひとつ結びついていかないのだろう。コンシューマ製品で復活の土台を固めたうえで、本来強さを持っていたジャンルであるDTPやイメージング製品などへのアピールが今後の課題となりそうだ。

マイクロテックはスタンドアローンのカラースキャナを出展した。必要なケーブルは電源コードだけ。スキャンしたデータは、前面のZipドライブかFDドライブに記録される。カラーデータがJPEG形式のみで記録可能。店頭では6万円台で販売される見込みという ヤノ電器が参考出展したFireWireの4ポートハブ。まだまだハブが必要なほどにはFireWire対応製品が普及してはいないが、今後は必要になる周辺機器のひとつ ハギワラシスコムのUSB対応メモリカードドライブ。既存の自社製品に比べて4~5倍程度読み書きの速度が向上しているという。PCMCIAとスマートメディアのスロット間でもデータの転送が可能。デザインもユニークだ
MACWORLDには初出展となる3dfxの「Voodoo5」デモ。残念ながらボード自体は公開されなかった。PC版より1カ月程度遅れてMac版を出荷する予定だという。PCIとAGPの両インターフェイス版があり、いずれはAppleStoreのBTOにも組み入れたいと意欲を見せた オラシオンが発売する「beatmania打(だ)!!」。タイピング練習ソフトで、もちろんコナミのライセンスを受けた製品 日本語版がデモされていたInternet Explorer 5。MACWORLDに合わせての発表と配布が期待されていたが、現時点ではプレビューのみ。ステージでのプレゼンテーションでは、オークションサイトの監視機能など新機能の案内も


アスクブースに参考出品された、XLR8製のG4マルチプロセッサアップグレードカード。発売時期はMac OS側の対応いかん。Mac OS Xではマルチプロセッサが、より有効に機能するはずで、旧製品のユーザーには期待も大きい 右のG4マルチプロセッサーカードのベースとなる製品がこれ。このZIFソケットにふたつのZIFソケットを持つドーターボードを取り付けて、それぞれにG4を取り付けるという力ワザともいえるアップグレードだ 販売コーナーにあるMJソフトブースの一角にひっそりと展示されていたPowerLogix製のG4マルチプロセッサアップグレードカード「PowerForce Dual G4」。詳細、発売時期ともに未定


メルコブースで会場内限定販売されたスケルトンハードディスク。PC向けにはお馴染みの製品だが、最新のMac向けにインターフェイスをFireWireにしてある。ボディもグラファイトカラーになっている 新しいiBookの発表を受けて、展示会場内の物販ブースでiBookは一様に値下がり。旧モデルは168,000円で販売されるようになった。アップルコンピュータによれば、在庫の切り替えはスムーズに行なわれるという 富士ゼロックスブースに展示されていた「Alto」。初代Macintosh開発へのインスピレーションを与えたという逸品ではあるが、ユーザー層の変化で来場者のどれだけが、このマシンの価値を考えることができたか……
MACWORLD Expo/Tokyo 2000ホームページ
http://www.idgexpo.com/MACW/
アップルコンピュータのホームページ
http://www.apple.co.jp/
□関連記事
【2月16日】MACWORLD Expo/Tokyo 2000が開幕
~ グラファイトiBook Special Edition、PowerBookなどが公開 ~
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000216/mwet01.htm
【2月16日】アップル、iBook、PowerBook、Power Mac G4を発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000216/apple1.htm

(2000年2月22日)

[Reported by 矢作 晃]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp