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Intel Developer Forumレポート

CNR、シリアルATA、そしてICH2搭載マザーボード?

~AMD、隣接会場で1.1GHzのAthlonをデモ


2000年2月15日~17日 開催(現地時間)

会場:Palm Springs Convention Center
    Wyndham Hotel
    Marquis Hotel



 今回は、開幕前日に行なわれたDemo Showcase(展示会)のプレビューの模様を中心にレポートする。また、AMDの1.1GHz動作のAthlonを実見する機会があったのであわせて紹介しよう。


●ICH2を搭載したマザーボード?

 Intel Developer Forum(以下IDF)では、技術解説を行なう「テクニカルトラック」と、よりつっこんだ内容を説明する「ワーキングラボ」の2つに別れている。さらに展示会に相当する「デモショーケース」が用意され、IDFで発表された技術に関連する製品展示とデモンストレーションが行なわれている。

 今回のデモショーケースでも、明日以降のテクニカルトラックで発表される技術を利用したデモンストレーションが行なわれていた。その中で最も筆者の注目を引いたのが、「Communications Network Riser」(CNR)と呼ばれる新しいライザーカードの規格だ。これまでIntelはAMR(Audio Modem Riser)と呼ばれるサウンドとモデムのコーデックを載せたライザーカードの規格を推進してきた。CNRはAMRのアップデート版と呼ぶべきもので、サウンドやモデムに加えてネットワークカード、ホームPNAなどの機能をサポートすることが可能になっている。今回のデモショーケースではMotorolaがCNR対応のモデムライザーカード、CirrusLogicがCNR対応のオーディオライザーカードなどを展示していた。

Motorolaのブースに展示されていたCNRに準拠したモデムライザーカード CirrusLogicのブースに展示されていたCNRに準拠したオーディオライザーカード。5.1チャネル出力に対応

黒いカバーの下にICH2? 登場時期は6月が有力
 そして、多くの来場者の注目を集めていたのが、MotorolaのブースとIntelのブースに展示されていたCNRに対応したマザーボードだ。このマザーボードは、Motorolaによれば「開発中のIntel製マザーボード」という。そして、サウスブリッジ周辺には黒いカバーがかかっていた。「これはなぜだ」と聞いたところ、「現在開発中のチップセットだからだ」という。

 現在開発中のチップセットと言えば、Willamette用のTehamaとPentium III用のCamino2、Solano(Intel 815)、Solano2などがある。しかし、メモリはRIMMで、PC133 SDRAMがサポートされるSolanoやその後継のSolano2ではない。また、CPUがPentium IIIであることからTehamaでもない。したがって、このマザーボードに使用されているチップセットはCamino2である可能性が高い。

 Camino2はMCH(CPUとメモリ、AGP、ICHとのブリッジチップ)には手を加えられず、ICH(PCIやUSBなどI/Oインターフェイスへのブリッジチップ)がICH2と呼ばれる新しいバージョンに置き換わるとされている。ICH2は4ポートのUSB、イーサネットコントローラ内蔵、Ultra ATA/100に対応というスペックになる見込みだ。

 Motorolaの説明員によると、CNRのネットワークライザーカードにはイーサネットコントローラは搭載されないということなので、ネットワークコントローラ自体はチップセットに内蔵されていると考えるしかなく、さらにUSBポートが4ポートあったことなどを考えあわせると、ICH2と推測することができるだろう。

 昨年の段階ではICH2を搭載したCamino2およびSolano2の登場は、第3四半期の終わりとされていた。しかし、筆者の取材によれば、マザーボードベンダなどには6月と通知されているという。今回のICH2(正式にはIntelは認めていないわけだが)の「覆面展示」はそうした証言を裏付けたものだと言っていいだろう。


●シリアルATAもデモンストレーション

 Intelは明日のテクニカルトラックで、Ultra ATA/100の次の規格であるシリアルATAの解説を予定している。本日のデモショーケースでもSerial ATAに関する展示が行なわれていた。詳細は明日明らかになるが、説明員によればシリアルATAは今年の冬に規格が策定され、実際の製品が登場するのは2001年の夏か秋頃になるという。

 そのメリットはバンド幅が150MB/秒に向上すること、またケーブルがIDEに比べて細くなり、PCの内部でのエアーフローが改善され、冷却面でもメリットがあるという。デモの内容は、Serial ATAがソフトウェア的な変更なしに利用できるというもので、従来のパラレルATA(Ultra ATA/66)からシリアルATAに変換する基板を利用して接続し、OSに手を加えることなく利用できることを示していた。また、シリアルATA用のケーブルなども展示されている。

パラレルATA-シリアルATAの変換基板を利用して行なわれたシリアルATAのデモ シリアルATAのハードディスクで利用されるケーブル。これはモックで実際には動作していなかった

NECのUSB 2.0に対応したコントローラ
 また、NECはUSB2.0に対応したPCI-USBブリッジ、USBハブコントローラ、USB PHY、USB-ATAブリッジなどのチップを展示していた。NECの説明員によれば、まだ規格がフィックスされていない状態で、今後さらに変更が加えられる可能性もあるそうだ。


多くの来場者でにぎわう「IA-64 OEM Demo Suite」
 IA-64のOEMメーカーのために用意された「IA-64 OEM Demo Suite」では、IA-64をベースにしたサーバー、ワークステーションを作るメーカーが集まり、各社のItanium搭載サーバー/ワークステーションなどを公開した。


NECのデモンストレーション
 NECは再び16ウェイのItaniumサーバーを公開し、クライアントのPCからフロントエンドのPentium III Xeonサーバーへアクセスし、バックエンドにあるItaniumサーバーのデータベースからデータを引っ張ってくるというデモを行なった。従来はバックエンドのサーバーには汎用機などが利用されることが多く、Itaniumを使えばそうした汎用機を置き換えていくことができると訴求しているわけだ。この他にも、富士通、日立製作所、Compaq Computer、Dell Computer、sgi、IBM、HPなどがItanium搭載サーバー/ワークステーションを展示しており、開発の進展ぶりを来場者にアピールしていた。


●AMD、再び1.1GHzのAthlonをデモンストレーション

Athlon 1.1GHzを搭載したマシン Winstone99のInfomationでクロックを表示させた。マウスカーソル横のCPU Clock Speedに注目 起動時のBIOS画面、クロック表示に注目

 AMDは、IDFの会場であるWyndham Hotelの隣にあるHilton Palm Springs Resortに独自のスイートを用意し、報道関係者などを対象とした説明会を開催している。今回明らかにされた内容は、基本的にはPlatform 2000で明らかにされた内容と、ISSCCの発表内容を足したもので、特にアップデートなどはない。わざわざ報道関係者を呼ぶ以上、何らかの新しい情報を用意しないと関心は持ってもらえない訳で、せっかく敵地でアピールするチャンスなのに、これでは効果は半減だと思う。

 なおスイートには、Thunderbirdコアをベースにしていると思われるL2キャッシュオンダイのAthlon/1.1GHzが展示されていた。インストールされていたWinstone99を起動して、クロックを見たところ「1117MHz」と表示されており、確かに1.1GHzで動作している。また、再起動をかけてもらい起動時のBIOS表示でもクロックを確認することができた。


□IDFホームページ
http://developer.intel.com/design/idf/

(2000年2月16日)

[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp