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第35回 : いよいよ登場したWindows 2000



 いきなり最初からタイトルと違う話をすると叱られるかもしれないが、先週の続きを少し。Windows 2000以上に使ってみたいと思っているものがまた増えてしまったのだ(Windows 2000はβの頃から使っているから、個人的には少々飽きてきたせいもある)。その欲しいものとは、ハンディスキャナだ。
 なぜ今ハンディスキャナ? ハンディスキャナと言えばT字型のゴロゴロとローラでなぞりながらスキャンする道具を思い浮かべるかもしれない。しかし、今のスキャナはもっとスマートに進化しているのだ。

■ 黒板消しスキャナ

LK-RS300
 松下電器産業が販売するLK-RS300はPCカードで接続する長さ10センチほどのスキャナ。原稿を黒板消しのようになぞると、なぞった画像から元画像を復元し、最大A3サイズまでの原稿を読みとることができる。重さもPCカード込みで125グラムと軽量だ。解像度も300dpiと充分。
 しかしPCカードを使って読みとるところが、少々面倒くさい。松下電器はこれとは別に、KX-FS10Nというフラッシュメモリ内蔵のスキャナも出しているのだが、こちらは黒板消しライクなスキャンはできないのだ。

 と、ここで思い出したのがヒューレット・パッカードの、やはり黒板消しのようにスキャン可能でフラッシュメモリ内蔵のスキャナ。米国でデモを見て、あまりの操作感の良さにその場で買ってしまいそうになったのがCapShare 920 Portable E-Copierだ。
 コイツのいいところは本体でスキャンしてフラッシュメモリに蓄積しておけることと、黒板消しスキャンが可能なこと。そして赤外線による通信をサポートしていることだ。赤外線インターフェイスを通じ、ワイヤレスでPCに転送することができる。
 日本未発売のため、まだ入手していないのだが、カタログデータによるとPDF形式もしくはTIF形式で転送することが可能だという。直接PDFになるところなど、なかなか使いやすそうだ。
 受信側はPCだけではなく、H/PCや赤外線インターフェイスを持ったプリンタがサポートされているという。その中にはキヤノンBJC-80/50といった、日本でもお馴染みのモバイルプリンタがある。果たして僕が愛用している日本語版のBJC-50でも使えるか、という疑問はあるものの、プリントできればPCに転送することなく印刷もできてしまう。

 しかし、良い製品が少し高価なのは世の常。こりゃいい、と思うのと同じぐらいになかなかいい値段が付いている(オンライン直販で499ドル)。LK-RS300の約2倍の価格というところが頭を悩ませるのだが、おそらく次の米国出張の時に買ってしまうことになりそう。実物を入手した時点で、その機能や使い勝手などをレポートしたい。


■ いよいよ出来上がった製品版

 さて、話を本題へと進めよう。Windows 2000日本語版が2月18日に発売“予定”とアナウンスされたのは昨年のこと。なにしろ、年の単位で延期されてきたWindows 2000のことだ。“予定”の部分に敏感に反応し「本当に出るの?」「もうバグはなくなったのかね?」と少々皮肉な声も聞こえてくる。
 しかし、昨年12月にマイクロソフトが発表したWindows 2000日本語版のリリース「Windows 2000日本語版の開発を完了。予定通り2月18日に発売」を読んだ人も多いはず。そしてとうとう、パッケージこそまだ到着していないが、製品版CDのサンプルが我が家に届いた。

 コードネーム“Cairo”としてWindows NTの将来バージョンをアナウンスしてから、すでに5年以上が過ぎようとしている。Microsoftの幹部は、Windows 2000出荷遅れの原因として、世の中が急激にインターネット指向になっていったことを挙げ、開発する製品そのものの仕様見直しが繰り返されたと述べていた。変わったのはWindows 2000の仕様だけではない。株価高騰とシェア拡大、そして独占禁止法違反を審議する裁判。Microsoftに対する人々のイメージも変わってきた。
 Windows 2000のように、すべての機能を呑み込んで統合したOSを時代遅れの思想だと言う人もいる。しかし、昔からWindowsを使い続けてきたユーザーの立場から言うと、Microsoftのイメージや時代性とは関係なく、やっとここまで不満が無くなってきたか、とウレシイ気持ちの方が先に出てくる。CDラベル全体が複雑な虹色に輝くホログラムになっているが、製品に対する思いも複雑だ。
 我々プレスの立場にいる人間は、β版、RC版と繰り返しリリースされるWindows 2000を使ってきた。特にβ3以降は常用していると言っても過言ではない。昨年末、RC3というバージョンを受け取ってからは、テスト用PCとサーバを除いて、すべてのWindows機をWindows 2000にアップデートしたほどだ。
 おかげで冒頭でも述べたように、Windows 2000の機能はなじみのものとなり、すっかり新鮮味を感じなくなってしまっている。これは読者のみなさんも同じかもしれない。Windows 2000の機能は、あまりにも多くの媒体でテスト紹介され続けてきた。昨年末、雑誌でRC2が配布されたときには、添付した雑誌の全てがWindows 2000の特集を組んでいるのだから、その露出度たるやすさまじいものがある。この連載でも、簡単ながらモバイルに関連する機能を紹介したことがある。やはりオフラインフォルダ機能は使いやすい……と、いった話は聞き飽きたことだろう。

 さて、その製品版。さっそくThinkPad 570、ARMADA M300、Let's NOTE/S21の3台にインストールしてみた。ThinkPad 570、ARMADA M300の2機種はβ3、RC2用にユーティリティやBIOSなどがリリースされ、Windows 2000への対応があらかじめアナウンスされている。Let's NOTE/S21の方はメーカーによって動作の保証が受けられない機種(Let's NOTEのホームページによると、Celeron以上のCPUを搭載した機種のみがサポートされる)である。
 もちろん、ThinkPad 570とARMADA M300は、RC2向けのBIOSアップグレードをしていたこともあり問題なく動作している。設定用ユーティリティも、β版向けのものがそのまま使えている。問題が起きるとすればLet's NOTE/S21だろう。しかし、こちらも電源管理の細かな設定を行なえないことを除けば、手動でAPMモードにすることで、あっさりと動作してしまった。
 相変わらず独自タイプのPCカードで接続するCD-ROMドライブのドライバが存在しないため、CD-ROMドライブを外付けにするサブノートPCではアップグレード後にCD-ROMが使えなくなってしまう。しかしそれ以外、本体の動作はきちんとしているようだ。あくまでも参考に……という程度だが。

 製品版ではメモリに対する要求が最適化で多少下がっているのでは? という淡い期待を抱いていたのだが、さすがにRC2以降の重さはあまり変わっていない。β3よりは多少、メモリへの要求が減っているかもしれないが、RC2とはほとんど同じと考えていい(64MバイトのPCにインストールしたときに多少感じる程度だが)。
 ARMADA M300が64MB、Let's NOTE/S21が96MBのメモリ構成でインストールしたが、体感的な速度は同等か、MMX Pentium/200MHzのLets's NOTEの方が若干高速に感じられたのは、やはりメモリ不足によるスワップが頻発するためだろう。これまた繰り返しこの連載で取り上げてきたように、128MB以上のメモリが欲しいところだ。
 個人的にはこれからモバイル向け周辺機器の動作を確認していくことだ。現在のところ、動作しないのは独自PCカード接続のCD-ROMドライブKX-808ANだけ。Paldio 611S、ThinkPad内蔵のWinModem、各種メモリカード、3com EtherLink III/TDK LANXシリーズ/メルコLPC-TなどのイーサネットPCカードは問題なく動作している。

 本当に必要なのか? と言われれば、必ずしもそうではない。しかしメモリサイズの条件をクリアできるなら、トライしてみる価値は充分にあると思う。Windows 2000のインストーラは、Windows 98やWindows NTからアップデートする際、インストールされているハードウェアとソフトウェアがWindwos 2000で動作するかどうかをチェックし、もし利用できないならばアドバイスを表示する機能を持っている(新規インストール時にはチェックできない)。
 これまで何度もβ版、RC版をインストールしてきたが、Windows 98やWindows NT 4.0をアップデートしたときが、もっとも動く確率が高いと感じている。Windows 95/98へのアップグレードでは、クリーンインストールを行なうことが前提だったが、Windows 2000では普段使っている環境への上書きでインストールしてみるといい。余分なトラブルを防ぐことができるはずだ。

[Text by 本田雅一]


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