2000 Internationl CESはコンシューマエレクトロニクス（Consumer Electoronics：日本語で家電）を扱うショーだけあり、基本的には家電製品やその関連製品の展示が多い。しかし、中にはPCに関連した展示も多く、とくにモバイル系の製品は家電に近い製品が多いこともあり、多くのブースで展示されている。今回はそれらを中心にレポートしていく。

●MicrosoftはeBOOKであのClearTypeをデモ

ClearTypeをサポートしたeBOOK

　ところが、今回の2000 International CESのMicrosoftブースにはちゃんとこのClearTypeを利用したeBOOKが展示されていた。このSMART eBOOKと呼ばれるeBOOKはWindows CEがベースになっており、Microsoft READERという電子図書閲覧用のソフトが導入されているという。実際に触ることができ、フォントを拡大・縮小などをしてみたところ、フォントが綺麗に表示されることが確認できた。もちろん、現時点では英語版のみで、日本語バージョンのリリースは未定ということだったが、実際に商品化されるのかなどを含めて注目していきたい。

●Samsung Electronicsはユニークな携帯電話やMP3プレーヤーを大量展示

　また、ユニークな展示をしていたという意味で際だっていたのが、Samsung Electronics Americaのブースで、時計型の携帯電話、MP3プレーヤーを内蔵した携帯電話、テレビ受信機能付き携帯電話などが展示されていた。

　時計型の携帯電話については、既にNTTドコモがPHSで実現している。しかし、CDMA方式の携帯電話として腕時計タイプにしたのは、おそらくSamsung Electronicsが初めてだ。本体にもマイクとスピーカーがついているので、そのままでも話すことができ、ほとんどウルトラセブンのウルトラ警備隊の隊員のように話すことができる（ただし、画面はついていないが）。このほか、文章の読み上げ機能や音声でコマンドを実行する機能なども用意されているという。この調子で行けば、W-CDMAなどになって通信速度があがれば画面をつけてテレビ電話を腕時計でやるという、まさにウルトラ警備隊が行なっていたことを実際に町中で行なうことができるようになる可能性もあり、期待したい。

Samsung ElectronicsのWatch Phone（CDMA）。腕時計型の携帯電話で、CDMA方式を採用したものとしてはおそらく世界初	Watch Phoneを利用して話しているところ。これでテレビ画面がついていればまさにウルトラ警備隊

　また、MP3プレーヤーやテレビを内蔵した携帯電話も展示されていた。MP3プレーヤーを内蔵した携帯電話にはリモコン付きのイヤフォンを接続することが可能で、再生や停止、早送りなどの操作はすべてリモコンでできるようになっていた。内蔵するメモリは32MBないしは64MBで、PCと接続して（接続方法などは未定）MP3ファイルをダウンロードして利用するという。
　また、テレビ付きの携帯電話には、一般的な携帯電話では時計や電話番号などの表示に利用されている1.8インチのTFT液晶にテレビ番組も表示される。確かに最近の携帯電話には非常に大きなディスプレイが付いており、ここをテレビにしてしまおうという発想がでてもおかしくない。ただ、そのためか最近の携帯電話としては珍しい、ごついアンテナ（もちろんテレビのため）がついており、ちょっとポケットなどには入らなそうなのが気になる。また、バッテリの持ち時間だが携帯電話としてスタンバイ状態にある時は180時間なのだが、テレビとして利用すると2時間しかもたないらしい。つまり、一日に2時間テレビを見るともう携帯電話を使えないわけで、実用性には疑問が残りそうだ。

Samsung ElectronicsのMP3プレーヤーの機能を内蔵した携帯電話。内蔵されているメモリは32MBないしは64MBで、メモリを拡張するスロットなどは特に用意されていないということだった	Samsung Electronicsのテレビチューナー内蔵の携帯電話。アンテナや本体がでかいのが気になるが、一応ちゃんと表示されていた

●携帯用DVDプレーヤーにもなる東芝のDVD-ROMドライブ

　初日にNetwork Walkmanを発表するなどSONYは非常に元気だが、11月に発表したVAIO GEARシリーズの携帯型音楽プレーヤーの「バイオミュージッククリップ MC-P10」の色違い「スポーツモデル」を展示していた。このほかにも日本のエレクトロニクスショーで展示していたMD DATA2に準拠したMD-DATAのディスクに録画できる「MD DISCAM」など多数の製品を展示していた。

SONYブースに展示されていた色違いのバイオミュージッククリップ MC-P10。なお、米国では特にVAIOだけ動作保証ということはなく、一般的なPC/AT互換機もサポートされているようだ	CASIOのブースに展示されていたCASSIOPEIAブランドのPV200A。CASIO独自のOSを採用しており、インターフェイスなどはPalm OSライク	CASIOブースに展示されていた腕時計型PDAのPC-Unite。赤外線通信ポートでデータの交換が可能

　CASIOは初日のレポートでお伝えした腕時計型のMP3プレーヤーやデジタルカメラのほかにも、いくつかの展示をしていた。中でも気になったのはPalmライクなCASIOの独自OSを採用したCASSIOPEIAブランドのPV200Aだ。以前もCASIOは米国でこうした独自のOSを採用したPDAを販売していたが、そちらはCASSIOPEIAブランドではなかった。しかし、このPV200AはCASSIOPEIAのブランドで販売されており、今後もWindows CEを採用したPalm-size PCなどと平行して販売されていくようだ。ただし、このモデルはあくまで米国専用ということで日本で販売される予定はないという。

　ちなみに、このPV200Aは付属のシンクロナイズソフトを利用してOutlookなどとデータのシンクロナイズが可能となっている。このほか、CASIOのブースでは同じく日本では未発売の腕時計型のPDAが展示されていた。その名もPC-Uniteという製品で、赤外線通信ポートを利用してPC上のOutlookとデータのシンクロナイズができるほか、ユニークなのはCASSIOPEIAのEシリーズとデータのシンクロができるという。PCとデータ交換ができるのは非常に便利で、ぜひ日本でも発売を期待したいところだ。

東芝のポータブルDVD-ROMドライブ。5.8インチの低温ポリシリコンTFT液晶を搭載しており、視認性は非常によかった

　このほか、東芝はポータブルなDVD-ROMドライブをメディアや顧客向けに公開していた。このDVD-ROMドライブが優れているのは、液晶がついているモデルが用意されており単体でDVD-ROMプレーヤーとしても利用できることだ。例えばこういうシーンを考えて欲しい。今CD-ROMドライブを内蔵していないサブノートPCやミニノートPCを持っているユーザーが本製品を持てば、移動中の飛行機や電車の中でDVDビデオの再生を楽しみ、出先でPCに接続して利用すればよい。そういう意味ではまさにモバイルユーザー向けのDVDプレーヤーと言える。液晶は5.8インチの低温ポリシリコンTFTで画質はかなり良好だった。発売は春を予定しており、説明員によると価格は「競合他社なみ」ということなので、期待したい。

□2000 International CESのホームページ（英文）
http://www.cesweb.org/
□関連記事
【'98年11月16日】COMDEX/Fall '98　Microsoft Bill Gates会長：「PCは再び大きく変わりつつある」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/981116/comdex01.htm

(2000年1月11日)

[Text by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]