元麻布春男の週刊PCホットライン

モバイルWiMAXサービスの現状と希望




●現時点では、接続は運しだい

UQコミュニケーションズのUSBタイプ“データ通信カード”「UD01SS」

 UQコミュニケーションズがモバイルWiMAXのサービスを開始して1カ月あまりが経過した。多くの方がレポートしている通り、現時点でのサービスの利用可否は地域に大きく依存する。

 世田谷区在住の筆者の場合、自宅ではほぼ圏外で、利用には南側の窓にUSB対応のWiMAXアダプタをガムテープで貼り付けるくらいのことをしないと通信できない。

 屋外に出ても、建物の陰、あるいは方角など、さまざまな理由で接続が不安定になったり、圏外になったりすることがある。比較的近くの緑道(三軒茶屋近くの太子堂)に持ち出したところ圏外だったかと思えば、逆に下北沢では10Mbpsを越える下り速度が得られたりといった具合で、良い時/場所と悪い時/場所の落差が激しい。このあたりは有料サービスが開始される前にもう少し改善してもらいたいところだ。

 屋内への浸透性や障害物を回り込む力が弱いことは、WiMAXが2.5GHz帯を使うことが決まった時点で懸念されていたことである。が、現時点でも完全に克服されているとは言い難い。反射波を利用するMIMO技術で、回り込みもある程度期待できるかもしれないと思ったのだが、屋内で利用する無線LANと異なり、屋外で利用するモバイルWiMAXではかなり厳しいようだ。屋内への浸透については、フェムトセルの利用など、全く違うアプローチが必要かもしれない。

 というわけで、現状のモバイルWiMAXは、つながりさえすればそこそこ速いんだけど、つながるかどうかはやってみなければ分からない、という印象が強い。確実な接続性という点では今のところイーモバイルに及ばない。

 速度については、40Mbpsという理論値はともかく、1〜3Mbps程度ならかなりの確率で得られるから、比較的快適に利用できる。が、イーモバイルがユーザー数の増加と共に実効速度が低下していったこと、特にネットブックとのバンドル販売でユーザー数が増えてから、めっきりと速度が落ちたことを思うと、モニター+電話申し込みユーザーに限定されている「お試し期間」で最終的な通信速度の判断をすることは難しい。

 ただ、いろいろと問題はあるにせよ、UQコミュニケーションズなら、このWiMAXを実用に耐えるサービスに育ててくれるのではないか、という期待感は持っている。3月30日に発表された300億円の増資により、基地局展開等の設備投資を行なう資金が確保されたこともあるが、何よりまじめで律儀な日本人の気質が、じゃじゃ馬的なところのあるWiMAXを手なずけてしまうのではないかと思うからだ。

 逆に言うと、一番心配するのは、モバイルWiMAXが日本以外の国で、ことごとく失敗してしまうことだ。モバイルWiMAXの魅力の1つは、全世界共通の標準規格であり、1つの通信アダプタ、あるいはノートPCが内蔵するアダプタで、世界中どこでもブロードバンド通信が可能になる点にある。が、サービス展開の難しさから他国のプロバイダが諦めてしまっては、その魅力は失われる。UQコミュニケーションズには、基地局展開等のノウハウを他国のプロパイダと共有するような枠組み作りを期待したいところだ。


●簡単操作だが、課金時にどうなるか

最近使っている「HP Mini 1000 Vivienne Tam Edition」と。カフェなどでは窓際を選ぶようになった

 このつながる、つながらないの問題を除けば、ユーザーがモバイルWiMAXサービスを利用することはとても簡単だ。というより、現状ではあまりに何もしなくて接続できるのだが、これが有料化でどう変わるのか見通せないという不安がある。

 モニタで当選したユーザー、あるいは電話での申し込みでアダプタを購入したユーザーは、アダプタのドライバと接続ユーティリティをインストールすればそれだけでUQコミュニケーションズのサービスに接続できる。USBタイプであれば、USBポートにアダプタを挿すだけで、圏外でなければネットワークに自動接続される。ユーザーIDやパスワードのような個人情報を要求されることもない。

 そもそもモバイルWiMAXのアダプタは、NIC(ネットワークインターフェイスカード)であり、イーモバイルやウィルコム等のサービスで用いるモデムではない。内部にSIMカードのような個人情報をハードウェア的に記録しておく仕組みはなく、ただMACアドレスにより個体識別可能なだけだ。

 無線LANによるホットスポットサービス等の場合、MACアドレスを使うことなく、ユーザーIDとパスワードによる個人認証だけで提供されているサービスもある。UQコミュニケーションズでは、MACアドレスを用いた端末認証を行なうことを明らかにしているものの、MACアドレスと課金情報のヒモ付けの方法については、現時点で明らかにしていない。

 UQコミュニケーションズは、端末市場のオープン化をとなえており、自社による端末販売にこだわらない姿勢だ。将来的には、現在の無線LANのように、内蔵アダプタが主流になるとも考えられている。また、一定期間の継続的な契約を必須とする「縛り」も行なわない方針である。

 これらを考えると、事前に端末のMACアドレスを課金システムに登録しておく、といった方法は採らないであろうことは想像に難くない。考えられる方法の1つは、課金システムに登録されていないMACアドレスの端末からの接続要求は、1度課金情報を入力するページへリダイレクトし、そこで支払いを行なったことが確認されたら、それがエクスパイアするまでそのMACアドレスの端末の接続を許可する、という方式だ。

 現時点でUQコミュニケーションズが公開している料金プランは月額料金だけだが、この方式なら日額プランの提供も容易だ。また、1度月額の支払いに同意すれば、1カ月の間、パスワード等による個人認証を意識することなしに、自宅や会社の無線LANと同じ感覚でWANを利用することができる。

 MACアドレスを認証に用いることの欠点は、個人で複数の端末を利用する場合をどう処理するか、という点にある。ノートPCの内蔵アダプタが主流になった際、2台のノートPCを所有するユーザーが2回線分契約しなければならないのでは負担が大きい。しかし、1契約で複数のMACアドレスを無制限に認めるわけにもいかない。1契約で利用するMACアドレスを切り替える方法もあるが、切り替えに時間がかかったり、手続きが煩雑だったり、という問題も生じる。単純に2個目のMACアドレスの登録時の料金を、単純に2倍の料金より割り引く、ということも考えられるが、個人でそこまで踏み込むユーザーがどれくらいいるのだろう。逆にこれがネックとなって、アダプタは複数のノートPCで使い回せる外付けが主流になるというのも悲しい。難しいとは思うが、料金面と使い勝手の両面で、みなが納得できる課金システムを打ち出して欲しいものだ。


□関連記事
【3月27日】UQ WiMAXアダプタ購入レポート
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2009/0327/uqwimax.htm
【3月6日】【山田】WiMAX、刺すだけで雲の中
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2009/0306/config250.htm
【3月3日】【イニシャルB】いよいよ始まったUQ ComのモバイルWiMAXサービス
気になるサービスエリアや通信速度を検証(BB)
http://bb.watch.impress.co.jp/cda/shimizu/25069.html

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(2009年4月3日)

[Reported by 元麻布春男]


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