[an error occurred while processing the directive]

【ESC SV 2009レポート】

Microsoft、Windows Embedded Serverと
MSDN Embedded Subscriptionを発表

【写真01】発表を行なったKevin Dallas氏(General Manager, Windows Embedded)

会場:米国カリフォルニア州McEnery Convention Center

会期:3月30日~4月2日



 ESC SV初日の基調講演に続くIndustry Addressesで、Microsoftは「Windows Embedded Server」と「MSDN Embeddded Subscription」を発表した(写真01)。

●Windows Embedded Server

 Kevin Dallas氏はまず経済状況に軽く触れ、経済そのものは減速しているが、いくつかの分野においては堅調であることを指摘(写真02)。いずれ状況は復活することを示し、その際に伸びる分野を提示した(写真03)。

【写真02】経済状況が悪化したからこそ、ネットブックの売れ行きが大幅に増えたという気もしなくはないが 【写真03】このスライドには記されていないが、具体的にはLCD TV/POS/Thin Client/Laptop Computer/Portable Navigation Devices/Personal Media Playerが示された。というか、別に新しい話ではないというべきか。少なくとも経済の牽引役となるにはやや小粒すぎる。ただ、違うのはこれらがすべてネットワークで繋がる(Connected Experience)ようになる、としている

 こうした状況に備えて、Microsoftは3つのソフトウェア+サービスを新たに提供するとした。具体的なサービスとは、エンドユーザー/デバイスオペレーター/開発者向けのものである。まず最初に示されたのがエンドユーザー/デバイスオペレーター向けのサービスをどう提供するかである。例えばコンシューマデバイス同士をどう繋ぐかは、これまでだとWindows Embeddedそのものではカバーできず(写真04)、外部のサービスを使う必要があった。あるいは、大規模な企業内のネットワーク(写真05)は、どんどん複雑化しつつある(写真06)。これらをどう連携させるかが新たな問題になりつつある。

【写真04】例えばデジカメで撮った写真をそのままPCに転送したり、プリントアウトやデジタルフォトフレームで表示するといった事を、いちいちUSBメモリやSDカードでコピーして行なうのではなく、シームレスに行なえるようにする事が今後必要とされるとした 【写真05】これは典型的なエンタープライズの構成である。フロントエンドのクライアントがサーバーにアクセスし、このサーバーがさらに奥に控えるDBをアクセスするという構図。このネットワークはあくまで企業内のTrusted Networkとして構成される 【写真06】問題はここに、その他のさまざまなデバイスが繋がるということ。さまざまな監視カメラやPOS/ATM/MFPなどが、やはりTrusted Networkに繋がることになる

 こうしたところに向けたソリューションが、Windows Embedded Serverである(写真07)。これを利用することで、例えば監視カメラを上位のサーバーがまとめて監視する(写真08)代わりに、カメラをまとめてEmbedded Serverで管理するといった事が可能になる(写真09)。会場では、ロボットアームをWindows Embedded Server経由で制御するといったデモも行なわれ、Embedded Serverの省フットプリントがアピールされた(写真10)。

 このEmbedded Serverは、すでに評価バージョンがダウンロード可能である。昨年の発表にもあった通り、Windows EmbeddedはCompact/Standard/Enterpriseに再編され、これとは別にPOSReady/NavReadyという特定用途向けカテゴリがあるが、これらを包括してカバーするのが今回のWindows Embedded Serverという位置づけになるようだ。

【写真07】製品ページによれば、Windows Server 2008を組み込み向けに特化させた製品、ということのようだ 【写真08】従来だとこうした用途を実現するために、例えばカメラ側にWebサーバの機能を持たせ、HTTPリクエストを上位から与えて管理するといった方法になっていた。カメラの数が少なければ、この方が管理は楽である
【写真09】カメラの数が多くなってくると、カメラにあまり機能を多く持たせるのはコスト的にも厳しい。だからカメラは単純な機能にして、Embedded Serverに管理機能を持たせるほうが、価格的にも機能的にも賢明な選択になってくる 【写真10】左端にちょっとだけ見えているのがタッチスクリーン付液晶パネルで、それはその右脇の黒いWindows Embedded機で管理されている。一方、ロボットアームは別の場所に置かれた、やはりWindows Embedded機で管理されており、間を中央のSPARK Kit(おそらくiCOPのVertex86SXベースのものと思われる)上で動くWindows Embedded Serverで繋ぐといった仕組みになっている。動作はスムーズというにはややタイムラグがあるが、Pentium 300MHz相当のプロセッサで動作していることを考えれば十分に高速というべきものだし、このレベルのマシンでもサーバーになれる、というのは重要なポイントだろう 【写真11】Windows Embedded POSReadyは昨年のESCで発表され、今年2月に国内でも発表された。一方のNavReadyは昨年6月に発表されている

●MSDN Embeddded Subscription

 もう1つの大きな発表がこちらだ。ついにWindows EmbeddedがMSDN Subscriptionに入ることになった。Subscriptionでは、すべてのWindows EmbeddedとWindows Server/Windows OS、また開発ツールとしてのVisualStudioが提供される(写真12)。また、これとは別にWindows Embedded Developer Updateの提供も開始される(写真13)。こちらはBSP(Board Support Package)やProduct Updateなどを配信するもの。また、MSDN CommunityもEmbedded向けに展開することを明らかにした(写真14)。

【写真12】従来のSubscriptionとの互換性は、Dallas氏によれば「MSDN Premiere Subscriptionには自動的にMSDN Embedded Subscriptionが含まれる」とのこと 【写真13】こちらの内容は、MSDN Premiereなどとはまったく別である 【写真14】トレーニングは、Microsoftそのものがというよりは、パートナー企業が行なうものであるが、そうしたもののポータルを構築するということらしい

●SPARK your Imagination

 昨年のレポートでは、“SPARK your Imagination”というキャンペーンを開始したことをお伝えしたが、これに続き“SPARKs Will Fly”というコンテストがすでに開始されており、今回会場には最終審査に選ばれた2つの製品が登場した(写真15)。Smart Pillは投薬時期を教えてくれたり、変な薬を飲んで弊害が出たりしないように教えてくれる薬箱(写真16)。バーコードスキャナで薬瓶のラベルを読み取り、オンラインで薬を検索してくれる。一方Home Brain SystemではRFIDセンサーと組み合わせ、人の移動にあわせて照明や温度調整を行なう、いわゆるホームコントローラであった。

【写真15】SPARKキットを使ったアイディアを競い合うもので、締め切りは今年2009年1月。第1次審査では50点が選ばれ、第2次審査ではこの中からさらに3点が選ばれる。最終審査はESC会場での投票(筆者もしました)で決まり、優勝者には賞金15,000ドルとTechEd 2009への参加資格が贈られる。ただ、今回は上位2製品のみが示された 【写真16】Doug Conn氏とSmart Pill 【写真17】JasonHershkowitz氏とHome Brain System

□ESC Silicon Valley 2009のホームページ(英文)
http://esc-sv09.techinsightsevents.com/
□Microsoftのホームページ(英文)
http://www.microsoft.com/

(2009年4月2日)

[Reported by 大原雄介]

【PC Watchホームページ】


PC Watch編集部 pc-watch-info@impress.co.jp
お問い合わせに対して、個別にご回答はいたしません。

Copyright (c)2009 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.