CeBIT 2009レポート【GIGABYTE編】 890gの新ネットブックと開発中のマルチタッチ液晶を展示会期: 3月3日~8日(現地時間) 会場: 独ハノーバー市ハノーバーメッセ(Hannover Messe) GIGABYTE TechnologyはCeBIT期間中に記者会見を開催し、同社のマザーボードに使われている新しいアイディアをアピールした。ただ、今回はIntelの新しいチップセットである“P55”の公開がIntelの“指示”により小さな規模になってしまったため、新製品は「GP-IBX」という1製品のみと、特に新しい内容はなかった。 しかし、同社ブースには未発表の新製品や開発中の製品が展示され大きな注目を集めた。中でも、薄型のネットブックや、同社が「Booktop」と呼ぶドッキングステーションに合体してデスクトップPCのように利用できるネットブック、Windows 7を見据えて開発を進めているマルチタッチ対応ディスプレイなどが大きな注目を集めた。 ●GIGABYTEのマザーボードに搭載されている技術をアピール 例年GIGABYTEは、Intelのマーケティング担当者などを呼んで記者会見を行なっている。ただ、例年であれば、このCeBITではIntelが第2四半期にリリースする新世代チップセットを搭載したマザーボードを大々的にアピールする場になるのだが、今年はP55の静的な展示が許されただけで、そもそも看板にP55と書くのも許されないなど、厳しい条件がつけられる状況下での開催となり、内容に関しては昨年よりGIGABYTEがアピールし続けてきた内容の繰り返しとなり、特に新しい内容はなかった。 なお、最後に挨拶に立った広報担当者によれば、「6月のComputex Taipeiではすべてのラインナップを紹介できると思う。ぜひともComputex Taipeiに来てください!」との事だったので、Intel 5シリーズチップセットを搭載したマザーボードのすべてのラインナップを見るためには、Computex Taipeiを待たねばならないようだ。
●10型液晶ながら厚さ20.8mm、重量890gを実現した「Thin Note M1024」 GIGABYTEの「Thin Note M1024」はLEDバックライトで10.1型/1,024×576ドットの液晶を搭載したネットブック。CPUとチップセットはAtom N270(1.6GHz)+Intel 945GSEで、メモリは1GBがオンボード搭載されている。一般的なネットブックではメモリはSO-DIMMで搭載されて、ULCPC規定の1GBを超える容量にアップグレードできるように配慮されていることが多いのだが、M1024の場合は薄さということを重視するためにオンボード1GBという仕様になっている。また、ストレージに関してもネットブックで標準となっている9.5mm厚2.5インチSATAでなく、5mm厚1.8インチでPATAを採用しているため、容量は60/80GBとなっている。 そうした甲斐もあって、本製品では薄さが20.8mmとネットブックとしてはかなり薄い部類になっている。サイズは250×170×20.8mm(幅×奥行き×高さ)。重量も、6セルバッテリを搭載しながら890gとなっており、1kgを切る製品が少ないネットブックとしてはかなり軽量な製品となっている。つまり、ネットブックという低価格路線は維持しながらも、できるだけ薄く、軽くしようというコンセプトで開発された製品と言える。ネットブックというと、IntelやMicrosoftの規定の範囲内でということになるので、同じような製品ばかりになりがちだが、特色ある製品に取り組もうという姿勢は評価できる。 もちろん、MicrosoftのULCPC規定は満たしているので、OSはWindows XP Home Edition ULCPC版で、米国での予想市場価格は599ドルになるとのことで、3月末からの出荷を予定しているという。なお、日本で出荷されるかは未定とのことだった。
●日本人は既視感!? ドッキングステーションに縦挿しする“ブックトップPC” M1022は、1,024×600ドット/10.1型ないしは1,366×768ドット/10.1型のLEDバックライト液晶を搭載したネットブックだ。CPU+チップセットは、Atom N280+Intel 945GSE+ICH7かAtom N280+Intel GN40+ICH9から選択できる。GN40はGMA 4500の流れを汲むGMA4000という内蔵GPUを持ったチップで、特徴としてはHD動画のハードウェアデコーダを持っていることが挙げられる。ただ、Intel 945GSEに比べて高めに設定されており、GN40のSKUを選択すると、やや製品の価格が上がることになる。 メモリは標準で1GBだが、SO-DIMMスロットを搭載しており、最大で2GBまで増設することができる。ストレージはスタンダードな2.5インチSATAで、容量は160GB。無線はIEEE 802.11n、Bluetooth 2.1+EDRに、HSDPAとUWBがオプションで装着可能となっている。なお本体のサイズは265×180×27.2~31.3mm(同)で、4セル(4,500mAh)ないしは6セル(7,650mAh)のバッテリを選択できる。 ユニークなのは標準で本体を縦挿しにするドッキングステーションが用意されていることだ。このドッキングステーションには、USBポートやアナログRGBポート(ミニD-Sub15ピン)が用意されており、本体を挿入すると、キーボードやディスプレイを接続してデスクトップPCのように利用することができるのだ。その様子を見ると、思い出すのはシャープが以前にMebiusシリーズの1モデルとして販売していた「MURAMASA MM」(関連記事)という、CPUにTransmetaのEfficeonを搭載していたノートPCだ。MURAMASA MMも同じように縦挿しのドッキングステーションが用意されており、これに本体を挿すとデスクトップPCから外部ストレージとして利用できる仕組みだった。M1022の場合にはディスプレイとキーボードをつないで利用するという意味ではコンセプトは若干異なっているが、その姿を見るとこのMURAMASA MMを思い出さずにはいられないだろう。 GIGABYTEの担当者によればM1022の出荷予定は4月が予定されており、Atom N280+Intel 945GSE+1,024×600ドット液晶+Windows XP Home Editionという構成で価格はドッキングステーション込みで600ドル前後ということだった。なお、日本での出荷予定は現時点では未定ということだ。
●Windows 7を睨みマルチタッチに対応した液晶ディスプレイを参考展示 PC業界ではMicrosoftが開発を進めている次世代Windowsとなる“Windows 7”に向けた製品の開発を急ピッチで進めている。そうした動きの中で要注目の動きはWindows 7の標準機能として搭載されるマルチタッチに対応したタッチディスプレイだろう。GIGABYTEのブースには、マルチタッチに対応した液晶ディスプレイが展示され注目を集めた。 展示員の説明によれば、タッチ機能のユーザーインターフェイスはUSBでPCと接続されており、ディスプレイの左右に2つのセンサーが入っており、それによりマルチタッチの機能が実現されているのだという。今回展示された製品はあくまでプロトタイプとして作ったもので、実際に製品としてリリースするかどうかも未定とのことだが、来場者の反響などを見て、Windows 7のリリースに合わせて製品化する可能性はあるとしている。iPhoneの成功で、タッチインターフェイスには注目が集まっているので、今後ともタッチパネルディスプレイの動向に関しては注目していきたいところだ。
□CeBITのホームページ(英文) (2009年3月6日) [Reported by 笠原一輝]
【PC Watchホームページ】
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