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富士通 野副社長が社員宛メールで自社製品の購入を呼びかけ



富士通 野副州旦社長
(2008年3月社長就任発表時)

 「Buy FUJITSU」--。

 先日、富士通の野副州旦社長が、同社社員宛に向けて発信したメールに、このように書かれていた。経済危機の現状を受け、社員が率先して富士通グループの製品を購入しよう、と呼びかけるものだ。

 同様の呼びかけは、苦境にあえぐ自動車メーカーでは報じられているが、エレクトロニクス系のメーカーでは、まだ珍しい。

 野副社長は、週に1度程度、多ければ週に数度、社員に向けてメールを送信しているという。同社広報室では、「必ず富士通製品を必ず購入せよ、といった強制力があるものではない。社長が発信したメールのなかで、社長自身の想いを伝えたもの」と説明する。

 事実、富士通製品の主軸はサーバーやソリューションであり、社員が個人で購入できる製品は、PCと携帯電話のほか、富士通ゼネラルのエアコンなど、ごく限られたものにすぎない。また、携帯電話についていえば、キャリアが限定されるなどの制約もあり、このメールの実効性がどこまであるかも疑問だろう。

 しかし、メールに盛り込まれた「自分たちの会社を自分たちで守ろう」というメッセージは、社長自身が、いまの景況感とパーソナル製品の売れ行きに、強い危機感を持っていることを意味している。野副社長自身、パーソナル製品の担当経験がないにも関わらず、パーソナル製品の購入を呼びかけるという点でも、その思いの強さが感じられる。

 同社の2008年度のPC出荷計画は年初には全世界930万台だったが、2008年10月時点で880万台と、わずかながらも対前年を下回る台数へ下方修正している。下方修正発表以降に、経済環境が、さらに悪化しているのは周知の通りだ。

 コンシューマーPC業界全体を見ても、昨年後半からのネットブックブームにより、一見活況を呈しているが、それは製品単価の低下にもつながっており、かならずしも企業の業績には結びついていない。また、景況感の悪化によって、安い製品しか売れないという傾向は、ますます強くなっていくだろう。

 今回の野副社長のメールは、富士通一社に限らず、PC業界全体がきびしい状況に置かれていることを、改めて意識せざるをえない、良いきっかけとなるのではないだろうか。

□富士通のホームページ
http://jp.fujitsu.com/
□関連記事
【2008年3月28日】富士通、新社長に野副上席常務
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0328/fujitsu.htm

(2009年1月22日)

[Reported by PC Watch編集部]

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