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PCとMacユーザーの更なるコラボレーションを提供するMicrosoft
~2009年に25周年を迎えるMacへの取り組み

今年もAppleブースに隣接して設置されたMicrosoftブース

1月7日(現地時間)発表

会場:San Francisco The Moscone Center



'84年に初代のMacintosh向けにWord 1.0 for Macがリリースされている。実はPC向けよりも先で、Wordという名称もMac向けが初。現行組織であるMac BUの設立は'97年

 米MicrosoftのMacintosh Business Unit(Mac BU)は、Macworld SanFranciscoの会場で記者説明会を開催し、2009年におけるMac BUの取り組みについて紹介した。

 説明会の冒頭、Mac BUでシニアマーケティングマネージャをつとめるAmanda Lefebvre(アマンダ・ルフェーブル)氏が、主力製品である「Office 2008 for Mac」の現在の状況について紹介した。同製品は2008年のMacworldでローンチされており、発売からちょうど1年が経過したことになる。同氏によれば期待をこえる素晴らしい結果が出ており「Office 2008が発売されてから最初の4カ月間の売り上げは、(前バージョンの)Office 2004の同期間と比べて3倍の売り上げを記録した」とのこと。

 またホリデーシーズンの売り上げもソフトウェアのリセラーとしてトップの座を確保し続けており、これは米国のAmazon.comで「Office 2008 for Mac ファミリー&アカデミック」のプロモーションを実施した効果がでているとのこと。ちなみに同氏はふれなかったが、同時期に日本市場では「スペシャルンルン♪ Office 2008 for Mac キャッシュバック キャンペーン」を実施。こちらは「Office 2008 Special Media Edition」にフォーカスしており、おおよそ半額のキャッシュバックが受けられるキャンペーンを2008年11月14日から2009年1月12日(購入期間)まで実施していた。

 またMicrosoftにとっての2009年は、同社がMacintosh向けのソフトウェアを作り始めて25周年という記念すべき年になるとのこと。'84年に初代Macintosh向けに「Word 1.0 for Mac」をリリースしたのが発端だ。スライドによれば、その後'89年には最初のOfficeスイートを発表。'97年には同氏の所属する現行組織であるMac BUが立ち上がっている。同氏によれば、MacユーザーにとってMicrosoftは非常に重要な役割を果たしており、データの詳細は明らかにされなかったものの、Macユーザーの4分の3ほどは、Officeを使用しているという調査結果があることもコメントした。

この日にアナウンスされた互換性、コラボレーションを向上する2つの項目

 過去3~4年は、プロダクティビティ関連のソフトウェア開発(主にOffice 2008のこと)と、Windows向けのOfficeなどをはじめとする同社の製品群とMac向け製品の互換性を確保するということにフォーカスをあてて取り組んできたが、これはOffice 2008 for Macを発売した2008年でほぼ到達できたとのこと。それを受けて2009年以降は、さらに互換性を高めていくとともに、ソフトウェアとサービスという同社のコンセプトを生かす活動をしていくという方針を明らかにした。これらは、昨年同社がリリースした「Live Mesh」や「Office Web Application」などとMacの互換性をつくりあげていくことも含まれるという。

 そして同氏から、こうした取り組みへの第一歩として、2つのアナウンスがあった。1つは「Entourage for Exchange Web Service」で、もう1つが「Document Collaboration Companion」となる。

スライドを示して説明するシニアプロダクトマネージャのMike Tedesco氏

 それぞれの詳細については、シニアプロダクトマネージャのMike Tedesco(マイク・テデスコ)氏からの説明が行なわれた。

 最初に紹介されたのは「Entourage for Exchange Web Services (Entourage EWS) Beta」。現在のEntourage 2008では、Exchange Serverへの接続と同期をWebDAVによって行なっているものの、この場合クライアント側の負荷割合が大きい。Exchange Server 2007からは「Exchange Business Logic Layer」が新設されており、このWeb Serviceを利用することで、これまでは6セッション前後だった通信セッションを1セッションに統一できるうえ、同期データの多くをサーバ側に統合することが出来るので、クライアント側の負荷が減るというものだ。

 もちろんこれはMicrosoft Exchange Serverを利用している大規模企業のユーザー環境を前提にしたものだが、Windows中心の社内環境においてMacクライアントがExchangeのサービス(の一部)に組み込まれないという状況が減っていくことになる。

 テデスコ氏によれば「Entourage for Exchange Web Service」は、FaceBookやNASAなどのPC、Macの混在環境を持つ20あまりの団体や企業でクローズドなβテストが進行しているという。1月下旬にはパブリックβへと移行して、年内には Entourage 2008へのアップデートとして提供される予定だという。

現在のExchange Server(中央2つ)と接続するクライアント、同期などの模式図。簡単に言えば、現状のEntourage 2008は左上のWeb DAVを利用しているが、右下のWeb Serviceへの移行で、より効率的かつより多くのサービスが受けられるようになる。スライドの赤い部分が新設された「Exchange Business Logic Layer」

 続いて、「Microsoft Document Collaboration Companion for Mac Beta」が紹介された。これは、ドキュメントコラボレーションをするMicrosoft SharePointや、Office Live Workspaceに、シンプルなダウンロード、アップロードの操作を実現する単体のアプリケーションでCocoaベースでつくられているという。これらのコラボレーション作業環境において、これまでMacからはWebブラウザベースの参照は可能だったものの、ドキュメントのチェックアウト、チェックイン処理、ドキュメントキャッシュなどWindows環境で行なわれている実作業には加わることができなかった。このアプリケーションを利用することで、Macクライアントからもチェックイン、チェックアウトによるドキュメントの更新などが行なえるようになる。

 「Microsoft Document Collaboration Companion for Mac Beta」は、2009年2月をメドにクローズドなβテストを開始。年内にはOffice 2008 for Macのユーザー向けにアップデートして提供される予定だという。

まだインターフェイスなども完成していないという「Microsoft Document Collaboration Companion for Mac」。Cocoaで書かれた単独のアプリケーションとだが、Office 2008 for Mac向けのアップデートとして2009年内に提供される見込み

 いずれのサービスもOffice 2008 for Mac(Entourage 2008)のユーザー向けに無償で提供される。過去のバージョンであるOffice 2004向けには提供されない。

 今回の2つのアナウンスは、いずれも大企業やグループワーク向けのもので、パーソナルユーザーが直接メリットを受ける製品やサービスではないものの、これはMac BUのもつ長期的なビジョンの最初の1歩であり、これ以降も同社が提供するサービスを快適に利用するためのアナウンスが続くことになるということだ。

Office 2008 for Macのプレゼンテーションの様子。このシアターのほか、各アプリケーションごとのコーナーがブース内に設置されている 昨年に続いて、Officeのイメージがレーザー刻印されたMacBookが抽選で来場者1名にプレゼントされたという

□Microsoftのホームページ(英文)
http://www.microsoft.com/
□mactopia(英文)
http://www.microsoft.com/mac/
□ニュースリリース(英文)
http://www.microsoft.com/presspass/press/2009/jan09/01-06Macworld2009PR.mspx
□ニュースリリース(和訳)
http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=3610
□関連記事
【2008年2月4日】マイクロソフト、「Office 2008 for Mac」発売記念イベントを開催
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0204/ms.htm
【2008年1月21日】Macworld展示ホールレポート【Microsoft編】
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0121/mw04.htm

(2009年1月13日)

[Reported by 矢作 晃]

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