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マイクロソフト、知識創造のためのプレゼンソフトを公開
〜東大との研究成果。ソースコードも公開

東京大学総合教育研究センター 岡本和夫センター長

12月5日 公開



 東京大学大学総合教育研究センターマイクロソフト先進教育環境寄付研究部門(略称MEET)は5日、研究成果である知識創造のためのプレゼンテーションシステム「MEET Borderless Canvas」を公開した。

 MEETは、東京大学が進めている教育情報化を実現するための取り組み「Todai Redesigning Education Environment(TREE)」の一環として、2006年から3年間、マイクロソフトから寄付金1億2,000万円を受け、進められている研究活動。すでに研究成果として、放送映像を資料として学生が活用するための探索ソフト「MEET Video Explorer」、批判的読解を高める学習活動を支援するソフト「MEET eJournalPlus」が公開されている。

 今回公開された「Meet Borderless Canvas」は、PC、プロジェクタなどIT機器を教育用ツールとして利用し、情報を効率よく伝達するためのソフトウェア。

東京大学大学総合教育研究センターマイクロソフト先進教育環境寄付研究部門 栗原一貴特任助教

 「教育にプレゼンテーションを利用する場合、発表者が一方的に発表を行なう。本来は大学のような新しい知を生み出す場においては、相互の意見をぶつけ合う交流が必要であるにも関わらず、表層的な理解に留まっている。その原因となっているのが、プレゼンテーションが発表者のペースでどんどん進み、聴衆は理解できないままに進行していることや、発表終了後の質問タイムまで待っていると質問すべき質問を忘れてしまったり、日本人特有の問題で質問が出にくいといった点。新システムは、聴衆がいつでも、どの箇所に対してもコメントを書き込むことが可能であり、プレゼンを聞くためのものから、議論するためのものとして活用することができる」(MEET・栗原一貴特任助教)という。

 操作はWebブラウザから行なう。必要なPCやディスプレイも、「あればあるだけ利用できる」という。授業では学生がプレゼンテーション画面に自由に書き込みをするためタブレットPCを利用しているが、タブレットPCがない場合は、マウスを使って利用することもできる。

 試行程度であれば東大のサイトからブラウザを通して利用することができるが、本格的に利用するためにはWindows 2008 ServerとMicrosoft SQL Serverが必要となる。

 PowerPointで作成したプレゼンテーション資料をそのまま読み込んで活用することが可能で、今後は「Windows Live@edu」と連携し、参加する学生のアカウントを容易に管理できる仕組みを作っていくことも計画している。

 ソフトの無償公開は3月4日から行ない、学生向けということでソースコードも公開する。

 「ソフト公開時には、ソフトだけ提供されても利用シーンを思い浮かべることができず、適切に利用が進まない可能性がある。そこでできるだけ事例を集め、それを反映したすぐに実践できる活用シナリオと共に公開を予定している。公開前に試したいという方は、できるだけ多く事例を集めたいので協力したいので、是非、連絡して欲しい」(栗原特任助教)

 すでに試行している例としては、次のようなものがある。

(1) 初等教育において、生徒全員にタブレットPCを利用させて、郵便の地図記号を書かせたり、教師が指定した動物を描かせるクイズを行なう
(2) 中等教育において、タブレットPCが生徒数分ない場合、グループ発表のためにクラスで3台程度のタブレットPCを利用し、意見をまとめて発表するために活用。各グループの意見を比較するために教師がプロジェクタを利用する
(3) 大学講義の際に3台のプロジェクタを並べることで、ワイド画面で授業を行なう
(4) 教育に限らず、企業などのブレインストーミング用に活用する

 今回は、実際にMEET Borderless Canvasを使って授業を行なっているゼミのデモ授業が発表会の会場で行なわれた。

 この授業では、現実の問題をゲーム化して体験するシリアスゲームと呼ばれるシミュレーションソフト「Virtual U」を使い、大学の学長になって大学を財政的にも、学術的にも健全運営していくための問題解決型学習を議題としている。

 発表者となった学生からは、現実とゲームの相違点や、シミュレーションを学習に利用する際のメリットとデメリットといった問題が提起された。それを聞いていた学生はプレゼンを聞きながら自由な感想を書き込んでいく。プレゼン終了後、講師が聴衆側の学生がつけた感想に対しての確認と、その感想に対する発表者の意見を発表させていくことで、お互いの議論を深めていくことになる。

 東大では、「マイクロソフトと東京大学の知、人財も含めた財などをつぎ込んでいった3年間の研究成果については、期間終了後にあらためて発表していきたい」(東京大学総合教育研究センター 岡本和夫センター長)としている。

 マイクロソフトの執行役 公共インダストリー統括本部長 大井川 和彦氏は、「MEETプロジェクトの成果については、マイクロソフトとしては珍しくソースコードの公開も行なっていく」と話している。

今回の発表タイトル 今回公開された新しいプレゼンテーションソフト「MEET Borderless Canvas」の特徴 初等教育におけるMEET Borderless Canvasの活用事例
ブレインストーミングにMEET Borderless Canvasを活用した事例 特別デモとして公開された授業の概要 マイクロソフト公共インダストリー統括本部長 大井川和彦執行役
デモ授業の風景。講師による授業内容の説明後、発表者となる学生がプレゼンテーションを実施。それを聞いている学生は自由に感想を書き込み、全プレゼン終了後に講師から書き込みに対する質疑応答が行なわれる

□東京大学のホームページ
http://www.u-tokyo.ac.jp/
□マイクロソフトのホームページ
http://www.microsoft.co.jp/
□関連記事
【2007年2月15日】東京大学、タブレットPC/ストリーミング配信を用いた教育環境をデモ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0215/tokyod.htm

(2008年12月5日)

[Reported by 三浦優子]

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