今回のブレッドボーダーズはリアルショップの見学記です。
初心者が電子部品を購入するときは、インターネット通販を利用するほうが良いのではないか、と我々は考えています。ゆっくり自分のペースで買い物が出来ますし、多くの情報と照らし合わせて納得がゆくまで検討できます。我々は秋葉原へ出かける機会も多いですが、必要な部品は通販で調達することが主です。
でも、ショップを訪れての買い物をないがしろにするつもりはぜんぜんありません。それどころか、ショップの棚を眺めながら次に作るものを想像するときが、電子工作における至福の時間であると思っています。良いショップには発見の機会が溢れています。
10月のある日、我々はついに念願適って大阪・日本橋でんでんタウンの共立電子「シリコンハウス」を訪れることができました。通販では日頃からお世話になっていますが、実際に店頭で商品や店員さんと遭遇するのは、また違った体験でした。
店長の四元徹さんの案内で、ショップの隅々まで見学したので、その様子をお伝えします。「電子部品屋さんでの買い物はまだちょっと苦手」という人は、このページでイメージトレーニングをしてみてはいかがでしょう。
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大阪・日本橋に共立電子の店舗は3つあります。今回はその中の1つ、「シリコンハウス」を訪れました。ブログで新商品の情報を発信しています
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シリコンハウスは4フロアからなり、在庫している部品はざっと2万点。電子部品の専門ショップとしては国内最大級の規模です。まずは4階のケーブルとコネクタの売り場から見ていきましょう。
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大量のケーブル類がリールに巻かれた状態で並んでいます。量り売りになっているものは、店員さんに長さを伝えて切ってもらいます |
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コネクタの品揃えが徹底的。PC自作の際にも登場する2.54mmピッチの黒いコネクタはQIコネクタという名称で販売されています。このコネクタの名称はお店によって異なる場合がありますが、共立電子ではメーカーの品番をベースにしているとのこと |
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ケーブル自作派の味方、エンジニアの精密圧着ペンチが説明書付きでありました。工具の使い方の情報はとてもありがたいですね。このペンチは、共立電子とエンジニアが共同で製品化を進めたそうです |
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ブレッドボーディングにも適した0.5mmの架橋ポリエチレン電線。お店の人は「KQEのコンマ5」と呼んでいました。一巻50m。これだけあればしばらく困りません |
コネクタを見ていると時間を忘れる我々ですが、最初からあまり時間をかけると回りきれなくなる可能性があったので、後ろ髪を引かれる思いで3階へ移動しました(4階から1階へ降りながらの見学でした)。3階は抵抗、コンデンサ、半導体などの素子と各種基板、そしてマイコン用の開発環境のコーナーです。
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充実のLEDコーナー。白色や電球色のものが人気とのこと。休日にはこの棚の前にお客さんの列ができるそうです |
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お客さん用のパーツ皿。このなかに買いたい部品を取っていき、会計時にお皿ごと店員さんへ渡します。抵抗器やコンデンサをたくさん買うときは、皿の上で混ざらないようにしたほうが、レジがスムーズになるでしょう |
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ICはレールと呼ばれる細長い容器に入ってお店へやってきます。まとめて購入するときは、「レール買い」が便利です |
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陳列のためレールから部品を出すときには、写真のように持って一気に流し込むのがコツだそうです |
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ブレッドボードもこのフロア。やはり小さいタイプがよく売れるようです |
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タイマーIC「555」専用のプリント基板。ユニバーサル基板とくらべて、かなりラクに組めそうです。定番のICに特化した基板がほかにもいくつかあって、創作意欲を高めてくれます |
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ラグ板やバリコンなど、昔から電子工作で使われている部品もちゃんと揃っています。シリコンハウスのような網羅的品揃えのお店でじっくり物色してみると、電子部品の知識が厚くなります |
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製造中止のため入手が難しくなってきたICのコーナー。電子工作で定番の部品も多く含まれているので、「なくなると困る人がでてくるはず」と店長さんは心配げでした。より小型で高性能な部品が登場する一方で、使い慣れたものが消えていくのはやむを得ないことかもしれません |
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部品の表面の印字が読み取りにくいときがあります。たとえば、ICの型番の0と8が裸眼では見分けられない、というようなことがときどきあります。そういう場合はルーペで確認しましょう |
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純正「Arduino」、adafruitのArduino互換機「Boarduino」、そして「Gainer」もこのフロア。売れ行きは良好だそうです |
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足下には特価品がカゴに入って並んでいます。通販では入手できないお買い得品が見つかるのもリアルショップの楽しいところ |
ここまでで気付いたかもしれませんが、シリコンショップの店内は照明がとても明るいんです。これは共立電子の社長さんが、暗く思われがちな電子部品店のイメージを払拭するためにこだわっているところ。棚の奥まで光が届き、部品が良く見えていい感じです。
続いて2階は工具と測定器のフロア。電池関連もこの階です。
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テスターのコーナーで電子工作を始めようとしている人が最初に買うのに適したものはどれか尋ねてみました。「電圧と抵抗が測れて導通ブザーがあるものから選んでください。最初は安いものでいいと思います。使ってみて何が足りないか分かってきたら、ワンランク上に進むといいですね。アナログ・テスターもいいですよ」 |
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電池ボックスコーナー。金属ケースタイプや、シャーシに取り付けて外部から電池交換できるタイプなど、豊富な品揃え。全種類購入したくなった我々ですが、取材優先で我慢しました |
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一般的な電池に混じって見慣れない電池も並ぶ電池コーナー。自己放電が少ないことが特徴の塩化チオニルリチウム電池には、あらかじめリード線がついているタイプもありました。これをブレッドボードのホールに直接挿入して使うことはできないでしょうか? |
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ハンダゴテは店員さんそれぞれに思い入れがあるらしく、オススメを1つ選ぶのは難しいとのこと。それでも、店長さんに頼んでチョイスしていただいたのが、これです。ANTEXの「小型精密ハンダこてC型」。とても軽量で取り回しがラクそう。BICのボールペンに通じる明るいデザインがナイス |
そして見学最後のフロアとなったのが1階のキット売り場。楽器やオーディオに関連する製品が充実しています。近頃、エフェクタやアンプ、スピーカーなどを自作する人が増えているようです。
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ギターのアクセサリに関連する部品。さきほどの圧着ペンチのコーナーにもありましたが、ここにも自作のための簡単な説明書が用意されていて、初心者の最初の1歩をフォローしています |
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「自分の音」を探す1つの方法がキット製作です。小型のアンプ基板をコンパクトなケースに収めて、デスクトップにオーディオ・システムを構築するのはとても楽しそうです |
これで終了です。時間が過ぎるのを忘れる取材でした。つい買い物に来ている気分になってしまい、部品を見つめながら「これを買って帰って何を作ろうか」と考えている自分に気付きました。皆さんもぜひパーツショップを訪れてイメージを膨らませてみてください。
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最後の写真は「道頓堀でブレッドボーディングの図」です。取材の後、かに道楽の前のスタバでモカを飲みながら、大阪のラジオを聴ききました。次回はこのラジオを作ることにしましょう |
□バックナンバー
(2008年11月6日)
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船田戦闘機、スタパ齋藤、上杉季明によるユニット。電子工作からバンド演奏までさまざまな活動を行なうが、各活動に共通するテーマは“電気が通ること”としている。電子部品・電子回路の玄人ではなく、それらに対して強い興味を抱いている。ブレッドボーダーズは、そんな立ち位置から電子部品・電子回路に触れていくプロジェクトである。 |
PC Watch編集部
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