富士通、初心者が使いやすいキーボードを搭載した
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11月6日 発売
価格:オープンプライス
富士通株式会社は6日、シニアやPC初心者をターゲットとした「FMVらくらくパソコン」を発売した。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は179,800円程度となる見込み。販売目標台数は今後発売する後継機も含めて年間2万台、富士通のコンシューマPCのおおよそ3~4%程度がらくらくパソコンとなる見込みだ。
FMVらくらくパソコン ブラックキーボードタイプ | FMVらくらくパソコン ホワイトキーボードタイプ | 利用頻度の高いキーを色分けした「らくらくキーボード」 |
同社は6月から「FMVらくらくパック」として、通常のPCに訪問セットアップサービス、専用サポートをセットにした製品を富士通の直販限定で販売してきた。この製品の購入者傾向は通常製品とは全く異なる傾向を示し、購入者の75%以上が60歳以上で、男性が8割。購入のきっかけとなった割合は新聞などの紙媒体がほとんどで、インターネット経由での商品認知は1割程度にとどまったという。
新製品はこうした現状をふまえ、専用ハードウェア、専用ソフト、専用のアフターサポートをセットに、専用セッティングサービスは別売りで販売する。販売については、「実機を見たい」という声に応え、大手量販店の一部でも販売し、さらにPCスクール、地域に根付いた家電販売店の一部でも販売する計画だ。
富士通のPCを企画する際のフォーカスポイント | 富士通が考える今後のパソコンビジネス |
6月に発売した「らくらくパック」の購入者傾向 | 「らくらくパソコン」開発の際の課題 | FMVらくらくパソコン 商品構成 |
富士通 パーソナルビジネス本部本部長代理 三竹兼司氏 |
「製品企画段階で悩んだのは、シニアを意識しすぎると特別な製品になってしまう。キーボード以外はなるべく普通のPCと同じにすることで、あくまでも簡単に操作できるPCを作ることを目指した。キーボードについては、好評であれば一般モデルに落とし込むことも検討する」(富士通・パーソナルビジネス本部・三竹兼司本部長代理)。
ベースとなっているPCは「FMV-BIBLO NF70」だが、使いやすさを実現するための専用キーボードを搭載。ローマ字入力が簡単にできるように、利用頻度の高いアルファベット26文字を浮かび上がらせ、さらに母音を色分けする配色を行なった。ファンクションキーには、よく使う機能を日本語で併記した。
キーボードの上に設けられているワンタッチボタンは、FMV-BIBLO NF70は8個用意しているものの、シンプルに操作できるよう6個に絞り込んだ。ボタンの機能についても、操作に困った際にお手伝いをするサポートツールが起動するサポートボタンや、画面全体を拡大するボタンなどPCを操作しやすくする機能を盛り込んだ。
らくらくキーボードの特長 その1 | らくらくキーボードの特長 その2 | キーボードの上部に設けられたワンタッチボタン |
操作については、やりたいことをすぐ始めることができるようにオリジナルのメニューソフト「らくらくメニュー」を用意。インターネット閲覧についてもボタン1つでブラウザが起動し、自分専用のポータルページ「毎日のページ」が起動する。検索についても、初心者でもすぐに検索できるよう「かんたん検索」は、よく利用するカテゴリーを用意。例えば、「旅する」というカテゴリーに自分の行きたい地域を入力すると、初心者でもアンド検索が行なえる。そのほか、年賀状の作成、Eメールの送受信、時刻表や乗り換えを調べるなどのメニューを用意しているが、ある程度操作に慣れてきた人は、らくらくメニューを使わずに、通常のWindows画面に切り替えられるボタンも用意している。
マニュアルについても、専用のものを用意し、A4サイズで手元に置いてすぐに活用できるサイズとした。中の文字は大きめにすることで、見やすいものとなっている。また、マニュアルの中にはキーボード入力方法がわからなくなった人をサポートするため、「ローマ字入力表」を用意し、PCの隣に置いて確認しながら利用できるようにした。
オリジナルメニューソフト「らくらくメニュー」 | らくらくメニューでインターネット接続を選んだ際起動する、自分オリジナルポータルサイト「毎日のページ」 | らくらくメニューの「かんたん検索」を選ぶと登場する頻度の高い検索カテゴリーを集め、初心者でもアンド検索が簡単に行なえる設定とした |
サポートについては、有効期限は1年で、問い合わせ回数の制限がない専用電話相談窓口を設置。ベテランのサポートスタッフが対応し、ゆっくりと話し、お客様の話を聞き出して、トラブル解決に留まらないPC活用を支援する。操作がわからないという問い合わせに対してはリモートサポートも用意している。
訪問セッティングサービス「FMVらくらく訪問サービス」については、販売店を介して販売することから別売りとした。セットアップガイドの項目全てを設定するスタンダードが30,800円、インターネットとメールの設定だけを請け負う「ライト」が21,000円。
見やすさを重視した専用マニュアル | 文字が大きく見やすい、専用ホームページ |
スキルの高いサポートスタッフが常駐する専用電話相談窓口 | セッティングは別売で用意 |
富士通 パーソナルビジネス本部長 五十嵐一浩 経営執行役 |
五十嵐一浩経営執行役員は、シニア向けPCに取り組む必要性について、次のように説明した。
「PCの世帯普及率は85%を超えているが、ネットサービスの利用率はそれほど高くない。これはPCは生活に欠かせないツールとなっているものの、使いこなせる人が限られていることに起因していると考えられる。富士通はこれまでにもPCの家庭への普及に取り組み、最近ではお客様1人1人に向けて、多様化するお客様ニーズに合わせ、外出先で利用しやすい小型モバイルなど利用シーンに最適なPCを提供してきた。それに対し今回の新製品は、使う人にフォーカスすることで使いやすさを実現する製品を目指した」。
なお、ターゲット層に直結しているということで、TVドラマ「水戸黄門」にのみ富士通の直販によるTVコマーシャルを実施する。
□富士通のホームページ
http://jp.fujitsu.com/
□ニュースリリース
http://pr.fujitsu.com/jp/news/2008/11/6-1.html
□製品情報
http://www.fmworld.net/fmv/pcpm0808/rakuraku/
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http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/1106/gyokai269.htm
【6月19日】富士通、シニア向け「らくらくパック」2機種3モデルを発売
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【2005年2月8日】富士通パーソナルズ、シニア向け「らくらくパソコン」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0208/fujitsu.htm
【2003年1月20日】富士通パーソナルズ、シニア向けPC「らくらくパソコン」を発売
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0120/fujitsu.htm
(2008年11月6日)
[Reported by 三浦優子]