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【PDC 2008基調講演レポート】
「Windows 7を初披露」

イントロダクションのスピーチを行なうレイ・オジーCSA

10月26日〜30日(現地時間) 開催

会場:ロサンゼルス コンベンションセンター



 PDC2008の2日目のキーノートは、初日に予告されていた通り、次バージョンのクライアントWindowsであるWindows 7の初披露となった。

 まず最初に登壇したスピーカーは、前日に引き続いてChief Software Architectの肩書きを持つレイ・オジー氏。オジー氏は、この日のキーノートがクライアントプラットフォームにフォーカスしたものであることを述べるとともに、クライアントコンピューティングの重要な3要素、PC、インターネット、携帯電話を融合させる必要性を説いた。この3つは、それぞれに異なる強みを持っており、それぞれに素晴らしいソフトウェアを必要とする。Microsoftは、この3つに対して、強力な開発ツール、開発環境の提供を行なうとした。

シノフスキー副社長によるキーノートのアジェンダ

 レイ・オジー氏の紹介で登壇したスティーブン・シノフスキー上席副社長は、Windows and Windows Live Engineering Groupを率いており、特にこれらによるユーザー体験に責任を持つ。Windowsそのものに加え、IE等の標準アプリケーション、あるいはWindows Liveのようなサービスの提供とその改善を担当する。

 シノフスキー副社長のスピーチは次の7要素で構成されていた。

  • 1. Introduce Windows 7 client
  • 2. Software + Services
  • 3. Transiton from Windows Vista
  • 4. APIs
  • 5. Fundamentals
  • 6. Path to RTM
  • 7. Call to Action

 その大半を占めたのは1であり、デモによるWindows 7の新しいユーザーインターフェイスの紹介だった。

 デモを行なうために壇上に招き上げられたジュリー・ラーソン・グリーン副社長によって、まず紹介されたのが、強化されたタスクバーだ。Windows 7におけるタスクバーは、Windows Vistaのタスクバーアイコンとクイック起動を1つにしたような役割を持つ。実行中でないプログラムを登録でき、ここからプログラムの起動ができるという点では、クイック起動に似ている(Mac OS XのDockに類似しているという批判も当然あるだろう)。

プレビュー上でクリックすることで、探しているウィンドウを選択することが可能 アイコンを右クリックするとJump Listsが表示される ジュリー・ラーソン・グリーン副社長によるデモを見守るシノフスキー副社長

 一方、アイコンの上にカーソルをかざすことでプレビューを表示できるという点ではVistaのタスクバーを継承している。プレビューをクリックすることで、直接そのウィンドウを選べるというのは分かりやすい。

 このアイコンを右クリックするとJump Listsが表示される。Jump Listsは、そのアイコン(プログラム)専用のスタートメニューのようなもの。過去に利用したファイルや場所の履歴等を表示したり、使用頻度の高いアイテムを表示することができる。

 タスクバーの右側、通知領域も改良されており、どのアイコンを表示するか、ユーザーが選択することができる。またBalloonTipsとして表示された警告等のメッセージも、ユーザーの作業のじゃまにならないように、ポップアップせず通知領域の中に表示されるようになる。こうした部分も含め、全体にユーザーによる機能の管理が強化された印象が強い。自分の思うようにPCをカスタマイズして利用したいという、パワーユーザーの声に応えたものだろう。

HOMEGROUPを利用することで、複数の場所に散在するコンテンツを簡単に家族で共有することができる 通知領域に表示するアイコンもユーザーが選択できる Windows 7はSoftware+Serviceのプラットフォームにもなる

 ネットワーキング機能の中ではHOMEGROUPが注目される。従来のWORKGROUPネットワークを拡張したもので、写真や音楽、ビデオといったコンテンツや、プリンタなどの周辺機器を家族で簡単に共有できる。こうしたコンテンツの共有を意識して、複数の場所をライブラリに登録したり、複数の場所を対象に検索することができるのもWindows 7の特徴だ。

 ユーザーインターフェイスのトレンドという点で無視できないのが、複数の指を用いて直接スクリーンに触れて操作するマルチタッチ技術だ。今回のPDCでは、HPのSmartTouch PCを用いて、Windows 7によるマルチタッチのデモが行なわれた。ジェスチャによる操作だけでなく、両手の指を使って絵を描いたり、さまざまな用途がサポートされているようだ。

 さてWindows 7はSoftware+Serviceのプラットフォームでもあり、リッチアプリケーションとしてのWindows Live EssentialsやWindows Liveサービスとの一体化が図られる。その表われの1つは、現在のWindows Vistaで提供されているWindows Mail、Windows Calendar、Windows Photo Gallery、Windows Movie Makerのローカルアプリケーションがなくなり、Windows Liveに置き換えられることだ。Vistaからのアップグレードの場合、データや設定は保存されるものの、旧アプリケーションそのものは利用できなくなるものと思われる。

 こうした特徴を持つWindows 7だが、そのコードベースはWindows Server 2008とWindows Vista SP1である。Windows Vistaはドライバモデルやセキュリティ関連の機能に変更を加えたため、移行が容易でない部分もあった。Windows 7は、Windows Vistaをベースにしているだけに、Windows Vistaとは高い互換性を示す。デバイスドライバやアプリケーションとの互換性で、ユーザーが悩むことは少なくなるだろう。

 その一方で、ソフトウェア開発者は必ずしも従来通りとはいかなくなる。JumpListsや複数ライブラリのサポート、あるいはマルチタッチインターフェイスをサポートしようと考えれば、当然、これらの新機能をサポートしたAPIを利用したプログラムへの変更を余儀なくされる。

 こうした目に見える部分以外の基本的な部分の改良(Fundamentals)としては、メモリ利用量やディスクアクセスの削減、起動の高速化など、さまざまな部分に手が入れられる。シノフスキー副社長は、Windows Vistaのスケーラビリティとして256プロセッサという数字を挙げた。これはWindows Server 2008をコードベースにしているから、ということが理由だと思われるが、256がソケットなのかコア数なのかなど、詳細については来週開催されるWinHECで、と答えるにとどまった。

 ここで注目されたのは、シノフスキー副社長がULCPCを取り出し、1GHzのCPUと1GBのメモリでWindows 7が動いていると述べ、ULCPCを掲げて見せたことだ。実際に動く様子が紹介されたわけではないが、シノフスキー副社長はメモリの半分は残っている、と述べている。プレゼンテーションの様子から、急遽追加されたもののようにも見えたが、Windows 7をULCPC用のOSとしても展開したいのだと思われる。

Windows 7の基本的な開発方針 RTMへの道のり

 さて、今後の動向だが、次の大きなステップとなるのは「β」版のリリースだ。これについては、明言を避け、「Early next year(来年の早い時期) 」と述べるにとどまった。通常であればこの後β2、RC、最終リリースと進むことになる。βとβ2、RCのリリース間隔は3〜4カ月かかる。リリース、フィードバック、改良、次リリース、というサイクルが必要になるからだ。RCの後も必要に応じてRC2やRC3がリリースされるが、これは内部リリースの意味合いも強く、それほど間隔を必要とはしない。

 これらを総合すると、Windows Vistaの時の11月に企業向けリリース、一般リリースを年明け1月、というスケジュールが、今回も最短リリースということになるのではないだろうか。β2あるいはRCの段階では一般ユーザーを対象としたパブリックベータテストも行なわれる可能性が高いから、早ければ来年の夏あたりにも、多くの人がWindows 7の片鱗に触れる機会がやってくるだろう。

□Microsoftのホームページ(英文)
http://www.microsoft.com/
□PDC2008のホームページ(英文)
http://www.microsoftpdc.com/
□関連記事
【10月29日】【本田】Windows 7の概要
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/1029/mobile429.htm

(2008年10月30日)

[Reported by 元麻布春男]

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